若者ニーズを熟知!フジテレビオンデマンド仕掛け人にインタビュー
編集部
かつては12年連続視聴率3冠王の座を貫いた王者フジテレビだが、昨今はその低調ぶりが噂されている。しかし、同社が運営する動画配信サービス「FOD(フジテレビオンデマンド)」は好調にユーザー数を伸ばしており、若年層を中心に人気を博したサービス展開を見せている。今回はデジタルビジネスで先陣を切るFODの人気について、FOD事業執行責任者である野村和生氏に聞いた。
■FODのコンテンツが若年層に人気なワケ
月9のフジテレビといえば、社会現象を巻き起こすほど世に与える影響は大きく、数々の名作が生み出されてきた。月9ドラマがFODでも10代、20代の女性を中心に人気を寄せているという。
「FODアプリのランキングを見ていただくとわかるように、FODには女性会員しかいないんじゃないか? というくらい月9ドラマが若年層の女性にヒットしています。この現象は過去の月9作品もしかりで、FODでは女性がキュンキュンするコンテンツに集まる傾向がありますね」
コテコテのベタな王道恋愛ドラマは、時代が変わっても、常に若者の心をとらえて離さないものなのだろう。月9のトレンディドラマと共に青春時代を送ってきた30代以上の層なら、きっとこの結果はうなずけるのではなかろうか。
「FODでは視聴者属性を正確に把握するため、番組ごとに視聴者層のデータを男女別に1歳刻みで取っています。月9は10~20代女性層に特に人気ですが、木10のドラマは20代後半から40代の女性に、バラエティは全体的に男性にウケるなど、視聴者の傾向がうかがえます。こうしたデータは広告主にとってもターゲットを絞る指標となりうるのではないでしょうか」と野村氏は語る。
写真:(木10ドラマ「営業部長 吉良奈津子」視聴者の属性ピラミッド)
写真:(バラエティ番組「全力!脱力タイムズ」視聴者の属性ピラミッド)
他社の配信サービスでは30代以上の視聴が多い中、FODは若者層の心をガッチリとらえながらも、さまざまなコンテンツを用意し、その他の層にもバランス良く働きかけ、会員を集めていることがわかった。
■売上は当初の10倍に! FODの戦略とは
FODは2005年にサービスを開始。しばらく低迷期が続いたが、2012年以降、会員数は急激に伸び、2016年現在の有料会員数は80万人、月間利用者数は300万人(無料会員含む)に達し、売上げ規模は超拡大。今や民放最大手のデジタルサービスとなったわけだが、その戦略は何にあったのだろうか。
写真:(FODサービスの変遷)
「サービス開始当初は、アクセス数も少なく会員も一桁万しかいませんでした。けれど2012年4月からスマホ対応をいち早く始めたことが会員の拡大につながりました。僕も前身がNTTドコモでしたから、早くからモバイルの可能性に着目しており、スマホとタブレットのUI(ユーザーインターフェイス)に特化し、プロモーションやコンテンツに至るまで、経営資源のほとんどをスマホに投入しました」
結果、売上は当初の10倍まで膨れ上がり、それまでは毎年赤字で撤退議論をなされていたFODが、今日では主力事業となり運営を続けている。予算があるからこそユーザーに充実のラインナップが提供できるし、新たな試みにもどんどんチャレンジしている。また、昨今、問題となっている違法動画対策にも余念がなく、配信中の番組はほぼほぼ駆逐できているのもFODならではの強みだろう。
それでは、FODの魅力とは具体的にどのようなものなのだろうか。また、新サービスとして開始されたFODプレミアムの動向とは?野村氏へのインタビューは、いよいよ本題へ!
[vol.2]フジテレビオンデマンドの魅力と、目が離せないプレミアム会員の動向