理想のコンテンツ配信サービスとは何か?フジテレビオンデマンドの未来
編集部
競合の動画配信サービスとの差別化も重要な課題だが、それよりも大切なことは、最終的にどのようなサービスを目指しているのかという点だ。最終回ではFOD事業執行責任者である野村和生氏に、理想のコンテンツ配信サービスを定義してもらった。そしてフジテレビが目指す、FODの未来についてお聞きした。
■夢は「自分自身が使いたいサービスの実現」
野村和生氏:フジテレビオンデマンド事業執行責任者 フジテレビジョン コンテンツ事業局副部長
では、野村氏が考える理想のコンテンツ配信サービスとはどんなものなのか、率直に聞いてみたところ、「究極は、自分自身が使いたいサービスを実現することです」という返答をいただいた。
野村氏は、テレビ自体はこの先もなくならないだろうと予見する。しかし、テレビはもっと薄く、曲がるようになったり、壁にかけたり吊るされたりするのが当たり前となり、テレビ台といったものはなくなるかもしれないと語る。
「恐らくテレビのスクリーンは変わらないけれど、観方は変わる。そのうちに、新聞のラテ欄も見なくなるでしょうね」
誰にとっても、自分が視聴したいものがすべて揃っているサービスの提供。それが実現するまでにどのくらいの時間がかかるかわからないが、理想に近づくための一歩として、今以上にコンテンツの調達に励みたいと野村氏は語る。
フジテレビの番組でも配信できていないものがたくさんあるそうだ。特に単発ドラマやバラエティは、さまざまな理由で配信されていないものが多い。また、隠れた名作がフジテレビには山ほどある。そんな素晴らしい番組も、もっともっと観てもらいたいという想いを抱えているのだ。
「やりたいことはたくさんあります。もっと使い勝手の良いサービスを提供したいですし、コンシェルジュのような機能もほしいですね。また、配信でしかできないオリジナルコンテンツの制作やドキュメンタリーも配信したいです。それに、アーティストのコンサートやスポーツのライブ配信もできたら面白いですよね」。
■FODを日本一お得で利用しやすいサービスに!
最後に、野村氏にとってFODとは何かを教えてもらった。
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「FODって、コンテンツラインナップがいつもキラキラしてるんです。例えばドラマのラインナップ。これをスクロールして見るだけでも心が躍るんですね。学生時代に観ていた作品も数多くありますから、ラインナップを見つめていると、青春時代に心が戻ったような感覚に陥るとユーザーさんからも言われたことがあります。私にとってFODとは、空気と同じ。生まれたときから当たり前のように隣にあり、成長とともにさまざまな使い方をなされ、最後はFODを観て終わりを迎える。スマホと同じくらい必需品であってほしいですね。だからこそ、日本一お得で利用しやすいサービスを目指しています」。
フジテレビにも、本気でテレビの未来について考えている人がいる。今後のフジテレビがどう変化していくのか、いち視聴者として楽しみでしかたない。
[vol.1]若者ニーズを熟知!フジテレビオンデマンド仕掛け人にインタビュー
――フジテレビオンデマンド事業執行責任者 フジテレビジョン コンテンツ事業局副部長 野村 和生氏のプロフィール
中央大学法学部卒業後、NTT北海道移動通信網(現NTTドコモ)に入社。ワンセグの企画などを担当したのち2005年よりフジテレビ入社。モバイルサイトプロデューサー、CSスポーツ編成、ゲームプロデューサーを経て2012年より現職。同時にインターネットオリジナル番組「めちゃ×2ユルんでるッ!」「めちゃ×2タメしてるッ!」のプロデューサーも務める。
座右の銘は“為せば成る”。
仕事で大切にしているのは直感。愛読家として有名で、欠かさず読むのは「週刊SPA!」、最近読んだのは北方謙三の「水滸伝」「楊令伝」。大のコミック好きでも知られ、15分に1冊のペースで読破する。よく見るのはFacebook、Twitter、Yahoo!、食べログ、Retty、Netflix、Hulu、NHKオンデマンドなど。