放送批評懇談会が2022年12月度ギャラクシー賞月間賞を発表!『silent』など
編集部
放送批評懇談会が日本の放送文化の質的な向上を願い、テレビ、ラジオの番組、関係者を顕彰する「ギャラクシー賞」の「月間賞」を選定し発表した。
ギャラクシー賞テレビ部門は、日常視聴に基づく「月間賞」と、各社からの応募作品を併せて審査を重ね、毎年の受賞作を決定している。
贈賞式は2023年6月初旬開催予定。大賞をはじめとする各賞が決定、表彰される。
2022年12月度ギャラクシー賞月間賞
■大河ドラマ『鎌倉殿の13人』
1月9日~12月18日放送 20:00~20:45
日本放送協会
三谷幸喜の大河ドラマ3作目。兄宗時の「坂東武者の世をつくる」という理想を受け継ぎ、源頼朝との出会いで学び、自ら権力者となる北条義時の孤独と苦しみがよく伝わってくるドラマ。次々と粛清されていく人物や最後まで生き残る政子、義時、三浦義村まで、それぞれ輝きをもって丁寧に描かれ、見ごたえのある大河ドラマとなった。
■木曜劇場『silent』
10月6日~12月22日放送 22:00~22:54
フジテレビジョン
切ない恋愛ドラマとしても惹きつけられたが、人と人とがわかり合うことの普遍的な困難と希望が描かれたドラマでもあった。生方美久の脚本は、メインの2人だけでなくその周囲の人々の物語も説得力豊かに描いて秀逸。特に夏帆の演技には何度も感心させられた。言葉では伝わらない空気感を繊細にすくい取った演出も評価したい。
■ETV特集『デザインには希望がある~三宅一生のまなざし~』
12月24日放送 23:00~24:00
日本放送協会
1970年代の日本から世界のトップ・デザイナーへと活躍の場を広げ、昨夏亡くなった三宅一生。その軌跡をたどり、本人の言葉、デザイン作品、多くの人たちが語るエピソードによって、三宅の人となりや生き方をうかがい知ることができる優れたドキュメンタリー。戦争を知る世代の偉大なクリエイターをまたひとり失った無念を禁じ得ない。
■『エルピス-希望、あるいは災い-』
10月24日~12月26日放送 22:00~22:54
関西テレビ放送
テレビ局で働く主人公たちが、ある事件の冤罪をめぐって国家権力と闘う物語と思って見始めたが、国家権力に行き着く手前のメディアのなかにこそ闘うべき壁があることが描かれた。劇中で政界や権力組織への厳しい視点を随所に入れつつ、この物語が見せたのはなによりもテレビメディアによる辛辣な自己批判であるところが秀逸だった。
※詳報は月刊誌「GALAC」2023年3月号に掲載
関西テレビ、長澤まさみ主演『エルピス』がギャラクシー賞12月度月間賞を受賞
放送批評懇談会について
1963年の発足以来、評論家、ジャーナリスト、マスコミ研究者などを会員に、各種の活動を展開。「GALAC(ぎゃらく)」の編集・発行、優れた番組・CMを顕彰する「ギャラクシー賞」の選考・運営、メディア界の動きを解説するセミナーやシンポジウムの開催などを行なっている。
