“極薄・透明”ディスプレイ新時代から近未来のテレビを想像〜CEATEC JAPAN 2016〜
編集部
毎年10万人以上の来場者が訪れる「CEATEC JAPAN 2016」が今年も10月4日〜7日にかけて幕張メッセで行われた。昨年まではIT・エレクトロニクス総合展として開催されてきたが、今年はCPS(サイバーフィジカルシステム)・IoT(モノのインターネット)の展示会として、コンセプトをまったく新しいものに変えての実施となった。果たして近未来のテレビはどんな新たなサービスやビジネスモデルを展開していくのか。主要ブースを取材してきた。
透明ディスプレイがテレビに!
まず訪れたのは、パナソニックブース。今年は“IoTが変える暮らしやビジネス”をテーマに商業空間、住空間においてテクノロジーが生活を変えていく姿を具体的に提示していた。最新技術を詰め込んだ未来の暮らしでは、テレビはどうなっているのか…。
パナソニックが考案する、人に寄り添い、暮らしのこだわりを引き立てるインタラクティブな住空間とネットワークでつながる先進家電は、これだ!!!
棚の扉や引き戸に組み込まれ、普段はインテリアの一部として溶け込む透明ディスプレイ。テレビを付けた瞬間、終始インテリアを見つめていた来場者から「おぉ〜」「びっくしりた!」などの声が。
一見すると透明のガラスだが、自発光の有機ELディスプレイを採用しており、必要に応じて映像を表示できる。展示されていたパネルは40インチほどで解像度は2Kとのことだったが、ガラスの透過率は様々に変更できるそうで、用途に応じてブラックガラスやシースルーなどを選べるようになるだろう。
薄さ2mmの8Kディスプレイ登場!
次に訪れたのは、4K・8K放送の認知など、次世代放送をわかりやすく解説するNHK/JEITAブースだ。中でも人だかりができていたのが近未来のシート型ディスプレイで、薄さ2mmという極薄8Kディスプレイが展示されていた。
NHKではハイビジョンを超える4K・8Kを「スーパーハイビジョン」と総称。4Kはハイビジョンの4倍、8Kは16倍の画素によって超高精細映像を映し出す次世代のテレビ技術だ。また、今回の展示では、8KのHDR(ハイダイナミックレンジ)のデモ展示といった目新しい催しも実施していたほか、現在行なわれている8Kの試験放送を8Kテレビに受信放映し、まるでその場にいるかのような立体的な音響と圧倒的な臨場感を体験することができた。
世界初!8Kテレビ用「高度BSデジタル放送復調器」を開発
近未来型ディスプレイを拝見し次に向かったのは、CPS/IoTを支えるテクノロジ、ソフトウェアエリアだ。その中にある、半導体チップのソリューションやサービスの設計、開発、販売を手がける株式会社ソシオネクストのブースでは、BS/CS放送用とケーブルテレビ、両方の8K・4K放送の受信が可能な復調LSIが展示されていた。同社は2016年に8Kの試験放送を開始する予定のNHKと手を組み、8K受信機に必要な機能を開発。受信復調チップから8Kデコーダチップまでを提供することが可能に。試験放送では、この「高度BSデジタル放送復調器」が使用予定とのことだ。
2020年東京オリンピックには8Kテレビ導入が実現!?
全体的に今回のCEATECでは、最先端技術を製品に使用するだけでなく、インターネットと繋げてどんなサービスを展開・提供できるかという点を各社PRしていたように感じる。事実、昨今では製品とサービスの一体化モデルの方が収益性も上がっており、多くの社会貢献にも繋がっているそう。筆者も富士通の視覚支援を目指したアイウェアを体験した。これはサングラスのような外観の眼鏡をかけると、フレーム内部の超小型レーザープロジェクタから網膜に画像を直接投影する技術で、弱視(ロービジョン)の方々への視覚支援をはじめ、作業支援やAR(拡張現実)・VR(仮想現実)など多彩なアプリケーションに展開できると注目されている。正直、慣れるまでは多少の違和感を覚えそうだが、裸眼で見るのと遜色ない映像には感銘を受けた。こういった技術が医療の分野でも活躍する日は近いのだろう。
話は戻るが、今回のCEATEC、例年に比べると映像機器を展示していたブースはやや少なめだったが、2018年の冬季オリンピック、そして大本命の2020年東京オリンピックを目標に、8Kテレビの普及に向け着々と準備が進められている手応えが感じられた。