コネクテッドTV、急成長中の広告市場規模とは?
編集者/ライター 村田智博(TAPE)
史上最速の梅雨明けを記録した2022年の日本列島。本稿を執筆しているのは6月末。すでに外出も控えたくなるほどの酷暑が続いています。そうなると、いかにおうち時間を楽しむかが大切になりますが、当然「コネクテッドTV」も日々の楽しみを支えてくれる一つ。
コネクテッドTVとはインターネットと接続しているTVのこと。日本国内でも普及率は50%を超えてきています。コネクテッドTVでは、無料でテレビコンテンツが楽しめる「TVer」をはじめ、「Netflix」「Amazon Prime Video」「ABEMA」などのOTTサービス(※1)が急速に成長しており、コンテンツの選択肢も増えております。テレビのリモコンにも直接サービスにアクセスできるボタンがついていたりして、コネクテッドTVでOTTサービスを楽しむということは、日常的にも浸透してきたように感じます。
※1:ネット動画配信サービス
サービスが普及すれば、それとともに拡大するのが広告市場です。今回はその広告市場についてレポートします。
■米国のコネクテッドTVの広告市場規模は?
まずは、コネクテッドTVの先進国である米国の様子を見てみましょう。
2020年のeMarketerの調査によると、コネクテッドTV向けの広告支出は2021年には113.6億ドル(約1兆4800億円※)、2024年までには182.9億ドル(約2兆3800億円※)に達すると予測されています。ちなみに2021年の米国の総広告費はおよそ2800億ドルと推計されており、コネクテッドTV広告はその4%程度を占めることになりますね。
※1ドル=130円で換算
■日本国内のコネクテッドTV広告市場も急速に規模が拡大
日本におけるコネクテッドTVの広告市場も順調に拡大しています。今年2022年の3月に発表されたSMN、AJA、デジタルインファクトによる調査結果によると、2021年のコネクテッドTVの広告市場規模は344億円。米国に比べると金額的にはまだまだ小さいものですが、前年比で337%の成長をみせています。新型コロナウイルスの流行で、コネクテッドTVの視聴が拡大したこの年、広告市場も大きく伸びました。
今後もさらなる成長が見込まれています。2025年には1695億円と、約5倍もの成長が予測されています。
■コネクテッドTV広告は“効く”のか?
こちらの記事でも触れましたがコネクテッドTVの特性として
●音声ありの視聴がされやすい
●家族や友人と一緒に観る人が多い
●ながら視聴されやすい
●長時間の視聴に向いている
●広告がスキップされにくい
といったことが挙げられます。
では、コネクテッドTVで広告を流す、掲載するということは、他の媒体に比べてどうなのか? 2021年に実施されたフリークアウト社の「消費者のコネクテッドテレビ利用状況と広告への態度変容傾向の調査」の結果を一部ご紹介したいと思います。
上のグラフは、テレビ、スマートフォン/タブレット、PC、各々のデバイスごとの動画広告への印象を聞いたもの。「つい見てしまう」「印象に残る」に注目すると、テレビが他のデバイスにくらべて数値が高いのが分かります。
購買のきっかけとなる体験としても「テレビの広告で知る」を選んだ人の割当が最も多いという結果に。より消費者の購買を後押ししやすいのがテレビの広告であると言えそうです。
デバイスごとの動画広告を通じて、ブランドや商品に対する好感度が上昇することがあるかを聞いた結果が、下のグラフです。テレビにおいては約40%の人が「好感度が上昇したことがある」と回答。他のデバイスに比べると10ポイント以上高い結果になりました。
このような調査結果を見ると、コネクテッドTV広告は他デバイスに比べて“効く”と解釈してもよさそうです。加えて通常のテレビ広告にくらべて、コネクテッドTVの広告配信は、オーディエンスターゲティングやリアルタイムビディングなどが可能で、インターネット広告の側面もあります(詳しくはこちらの記事をお読みください)。
広告に効果が期待できること、広告の効果をより発揮させやすいことが、コネクテッドTV広告の市場拡大を加速させているとも言えそうです。
〜テレビ局のプロが作った番組に最適なタイミングで配信〜
「TVerの運用型広告」
民放の番組を楽しめる「TVer」では、TVを始めとした様々なデバイスで最適な広告を配信することができます。
【第1回】コネクテッドTVとは? その定義と仕組みをシンプルに解説