民放各局が語るTVerの現状と展望―スポーツ配信、CTV戦略、ビジネスへの挑戦 〜TVerウェビナー「在京5社と考えるTVerや配信ビジネス」レポート(4)
編集部
左から)関根龍太郎氏、前田健太郎氏、岡野 恒氏、多田浩行氏、佐竹正任氏、須賀久彌氏
株式会社TVerのオウンドメディアScreens主催のウェビナー「放送局のための配信ビジネス最前線」が、12月6日にオンライン開催。民放連加盟社およびその関係会社を対象とし、放送業界内部で直面する課題や成長戦略について、外部視点からの分析やパネルディスカッションを通じて議論を深めた様子を4回にわたりScreensで紹介する。
4回目は、パネルディスカッション「在京5社と考えるTVerや配信ビジネス」をレポート。在京キー局5社の担当者がTVerの現状と課題に触れつつ、コネクテッドTVやスポーツ配信、SNS活用やデータ戦略の面から、地上波との相乗効果を最大化する取り組みについて語る。
パネリストは日本テレビ放送網株式会社 コンテンツ戦略本部 コンテンツ戦略局 総合編成センター 部次長 関根龍太郎氏、株式会社テレビ朝日 ビジネスソリューション本部 コンテンツ編成局 配信戦略部 戦略担当部長 前田健太郎氏、株式会社TBSテレビ コンテンツ戦略本部 プラットフォームビジネス局 DXコンテンツ部長 岡野 恒氏、株式会社テレビ東京 コンテンツ戦略局 コンテンツ編成部 副部長 多田浩行氏、株式会社フジテレビジョン 編成制作局 編成戦略センター 編成部 チーフ統括担当部長 佐竹正任氏。モデレーターを株式会社TVer 取締役 須賀久彌氏が務めた。
※登壇者の所属・役職等の記載は開催時点のものとなります。
■目覚ましい成長も壁はまだ高く…「日常的にTVerを開く習慣作り」が重要課題
最初に須賀氏が、TVerの最新状況を説明。今年8月の時点でアプリダウンロード数は8000万、月間再生数は4.9億回を突破し、MUB(月間ユニークブラウザ)も4100万に成長。15〜69歳男女の認知度も73.3%に達した。
最初の議題は、“TVerの現状と課題”について。パネリスト5名はそれぞれの切り口を持ちつつ、概ね「コンテンツの埋もれ」や「認知の必要性」に対する問題意識を示した。
関根氏は、「TVerの800以上の番組数は非常に評価でき、日本一のテレビサービスと考えられる」と評価。その一方で「ユーザー数はまだ伸ばす余地がある」とし、「局内では自社の視聴率に加え、TVerでのUB(ユニークブラウザ)数を最優先項目として取り組んでいる」と語る。
「コンテンツが埋もれてしまう課題についても認識しており、技術面でのレコメンド機能の開発などを通じて解決してもらいたいという思いがある。これにより、視聴数のさらなる向上が期待でき、ビジネスとしてももうひと伸びできるのではないかと考えている」(関根氏)
「担当業務の大部分がTVerやABEMAなど無料配信」と語る前田氏は、「コンテンツを多く提供し、ユーザーとの接触を促進することに注力している」と説明。その一方で「遠くない未来に成長が頭打ちになる可能性も懸念している」といい、「個々の番組をさらに見てもらうための努力が必要」と語る。
岡野氏は、TVer立ち上げ当初からの取り組みを振り返り、「6ヶ月で100万ダウンロードだった頃から8000万ダウンロードにまで成長したことに感慨深さを感じている」とする一方で、「各局が多くの番組を出し切った今、サービスをどのように成長させるかが重要な課題」と指摘。「認知率73.3%にはまだ伸びしろがあり、さらなる成長の余地があると考えている」とコメントした。
これを受けて、「ジャンルやコンテンツの種類が増えないとユーザーも増えないという課題をこの2〜3年で実感してきた」と須賀氏。「特に800番組という数字については『もう見逃しとして出せるものは全部出した』といった話も出てきている」と語る。
「800番組というと、各局が毎日20番組以上を提供している計算になる。GP帯に各局4〜5つしか番組がないことを考えると、このペースは限界に近い状況ではないかと思う」(須賀氏)
フジテレビ 佐竹氏は、「電通・北弘樹さんの調査によれば、現状YouTubeのDAU(日別アクティブユーザー)が約3400万のところ、TVerは124万と大きく水をあけられている」と指摘し、この差を改善する必要があるとコメント。TVerにおいてはKPIをMUB(月間ユニークブラウザ)からWUB(週間ユニークブラウザ)に切り替えるなど改善に向けた動きがあるとしつつ、「ユーザーが日常的にTVerを開く習慣を作ることが重要」と強調する。
「多数のテレビ局が運営に関わる形態である以上、他のプラットフォームと比較して意思決定やPDCAのスピード感が見劣りしてしまっている可能性もある。関係者が一丸となり、自由度の高い運営体制でTVerを進化させる必要がある」(佐竹氏)
「サービス成長の観点で見ると、今年のオリンピックを通じてライブ配信が可能であることが認知拡大にプラスになったと思う」と多田氏。「スピード面で追いついていないところもあるが、ビジネス面ではもっと成長できるポテンシャルがあるのではないか」といい、潜在的な力をどう引き出すかが重要な課題だと述べた。
■“スポーツ×CTV”に集まる期待「視聴率への影響少なく、タッチポイントが増える」
今年のパリ五輪の競技中継を始め、TVerがコンテンツ強化の軸に据えているのが、スポーツライブコンテンツだ。
「パリ五輪では、これまでのポータルサイト『gorin.jp』に代わり、すべての配信をTVerで行うという初めての試みを行った」須賀氏。「この1年間を通じて『スポーツならTVer』という思いで取り組んできた」といい、TVerがスポーツと結びつく認知を広げることを目指してきたと語る。
さらに各局によるスペシャルライブの事例として、多田氏が2024年2月の「世界卓球」を紹介。地上波と同一の競技を独自実況でTVerスペシャルライブで同時配信を行ったほか、一部競技ではTVerオリジナルの配信を提供。TVer全体で80万UBを達成しつつ「視聴率も前年と比較して大きく減少しなかった」といい、タッチポイント増の効果を実感したという。
「大会中、男子と女子の試合時間が被る問題が発生し、地上波では女子を中心に、男子はTVerで配信するというマルチ編成を実施した。一部視聴者から問い合わせがあったものの、配信と地上波が補完し合い、概ね良い結果を得られたと思う」(多田氏)
「配信と地上波が食い合うのではなく、一緒に成長する可能性を示した」と多田氏。「今後も配信でスポーツコンテンツを補完しつつ、地上波とのシームレス展開を検討する必要がある」と述べた。
岡野氏は、今年6月に実施したバレーボール ネーションズリーグでの事例を紹介。本件では五輪に向けたトライアルとして、TVerのコネクテッドTVアプリでも配信を実施した。「結果、視聴者の約5%がコネクテッドTV経由で視聴し、スポーツコンテンツとして一定の利用があった」と岡野氏。バレーボール人気も追い風となり、同時接続数は5〜10万に達したという。
「地域ごとのデータを見たところ、放送エリア外の地域でコネクテッドTVの利用割合が高いことが顕著に表れた。データが限定的であるため確定的な結論には至っていないが、それでもコネクテッドTVの導入は一定の効果があると感じた」(岡野氏)
「地上波放送があればそちらを見るという人が多い一方、競技を見たい人が渇望するコンテンツが配信で見られるチャンスを作れる重要性は大きい」と須賀氏。パリ五輪配信では、再生数ベースで約35〜36%、利用者全体の約3分の1がコネクテッドTV経由であったという。
「地上波放送あり・なしの競技でそれぞれコネクテッドTVの利用比率を比較したところ、『放送あり』の場合では18%程度であったのに対して『放送なし』の場合は27%に上昇した」と須賀氏。「当たり前だが放送が有る競技は放送で見られる。放送がない競技でもテレビ画面で視聴できる環境を提供する価値は大きい」と強調し、「スポーツ×コネクテッドTV」の可能性について期待を示した。
■スポーツ配信の比重が高まる中、放送権と収益化の課題も「局同士の連携が必須」
同時に須賀氏は、「TVerにおけるスポーツ配信には、まだ多くの課題もある」とコメント。配信の現状とともに、今後取るべき対策について議論した。
前田氏は、「スポーツコンテンツの需要が、配信領域で高まってきている」と述べ、ABEMAにおいてもメジャーリーグや大相撲中継が大きな成果を上げていると報告。また、サッカーのワールドカップ中継などを例に挙げ、「放送局同士や外部プラットフォームとの競争が激化する中で、権料や収益構造にどのような影響が出るか注目している」と語る。
岡野氏は、スポーツ中継の現状について、「放送・配信権の競争が今後さらに激化しそうだ」と指摘。収益化の工夫が必要だと強調した。
これに対して佐竹氏は、「放送権に関する取り組みが今後変化していく可能性がある」とし、これまでのスタイルを見直す必要があると示唆。関根氏も「外部からの新たなプレーヤーの出現に備え、放送局間での連携や新たな契約形態の検討など、放送局が一丸となって柔軟に対応する必要があると述べた。
また、多田氏は「配信の取り組みにはメリハリをつける必要がある」と述べ、「放送と配信をどう連携させるかが課題」と指摘。須賀氏も「ユーザーを育てるとともに、それをマネタイズする仕組みを整えることが重要」と述べ、配信の未来に向けた取り組みを一層強化する必要性を強調した。
■「TVerがテレビ画面で存在感を高めるには」コネクテッドTVにかける各局の思い
続いての話題は、浸透が進むコネクテッドTV環境の活用について。須賀氏は、テレビデバイスのリモコンにおける「TVerボタン」の対応がほぼ全機種に浸透した点や、五輪期間中の利用者増加によって基盤が強化された点を挙げつつ、今後の課題に向けて議論を呼びかけた。
関根氏はコネクテッドTV領域の成長について、「配信事業として良い側面がある一方、地上波や他サービスとの競争が激化する脅威も感じている」とコメント。「地上波やSVODとTVerが共存する世界が進んでいく」としつつ、「広告のパイを系列局間だけでなく、他のサービスとも奪い合う時代が来るのではないか」と懸念を示す。
一方、岡野氏は「テレビ局以外のサービスがテレビの画面を奪うのが最大の脅威」と語り、「YouTubeやNetflixなどの配信サービスが拡大する中で、テレビコンテンツへの視聴に対する受け皿としてTVerの存在はますます重要になる」とコメント。「他サービスと競争する中で遅れを取らないためにも、アプリのUIや視聴体験の向上させる必要がある」と強調した。
これについて須賀氏も、「TVerがテレビ画面での存在感を高めるためには視聴体験の進化が不可欠であり、アプリの機能やデザインの進化が重要」と同意。「リモコンボタンが普及したことはプラス」としつつ、「それを活かしていく取り組みがさらに求められる」と語った。
■新たな視聴習慣を生み出したリアルタイム配信 “報道インフラ”としての役割も
テレビコンテンツの強みを活かしつつ、習慣的なアクセスを定着させる取り組みとして、リアルタイム配信にも力を入れているTVer。「27時間テレビ」をはじめとする地上波特番の同時配信のほか、24時間ニュース専門チャンネルの配信など、緊急時にいち早く情報を伝える報道インフラ的な役割など、さらなる視聴体験の拡充を志向しているが、各局はどのように捉えているのか。ここでも議論が交わされた。
須賀氏はリアルタイム配信の現状について、「オリンピック期間中の速報配信や日本シリーズ全試合配信、また安倍元首相襲撃事件などの重大事件や災害においてアクセス数が一時的に大きく増加した」とする一方、「日常的な視聴数は横ばいの状態」とコメント。「習慣的に利用される仕組みになるためには、まだ課題が多い」と語る。
佐竹氏は「27時間テレビ」の同時配信の事例を挙げ、若い世代が夜間に個別視聴を行う傾向が見られることや、継続的なコンテンツが一定の価値を提供している点を評価。「リアルタイム配信をどう収益化するか、さらに成長させる方法を見つける必要がある」と課題感を述べた。
これを受けて関根氏は「リアルタイム配信が持つ速報性や同時性が視聴者を引き付ける鍵」と述べ、TVerにおけるニュース専門チャンネルの配信開始を「放送局の価値を高めるもの」と評価。「報道は放送局のブランド価値を高めるコンテンツであり、YouTubeや他のプラットフォームにはできないこと」と強調する一方、コンテンツとしての収益の難しさにも触れる。
「報道コンテンツはその使命上、有事に広告を流せないモデルでありコンテンツの価値を高める取り組みが必要。地上波と配信の連携を再設計し、事業全体としての収益構造を見直す必要がある」(関根氏)
岡野氏は、ニュースコンテンツのリアルタイム配信について「速報性を提供し、視聴者が必要なときに情報にアクセスできる新しい価値を生み出した」とし、「社会インフラとしての役目にフォーカスした新しいビジネスモデルの構築が必要」とコメント。また、レギュラー番組の配信が現状GP帯に限定されている現状についても触れ、「配信時間帯の拡大やサービスの多様化が必要」と重ねた。
一方、佐竹氏は「27時間テレビ」の同時配信の事例を踏まえ、「若い世代が深夜に個別視聴を行う傾向が増えるなど、放送と配信が補完し合う形でリアルタイム配信が若年層の視聴習慣を変えつつある」とコメント。GP帯以外の時間帯での配信拡大に課題がある点を認めつつ、「こうした取り組みを続ける中で、リアルタイム配信のビジネスモデルを設計していく必要がある」と述べた。
■各局が語る再生数増の“秘訣”「知らない視聴者にも丁寧に届ける努力が重要」
続いて須賀氏が、ローカル局や独立局の番組配信の現状を説明。
現在、在京在阪をのぞいた地上波放送局117局中80局が163番組を配信し、そのうち54局がTVerに直接参画。独立局やBS局も多くの番組を提供しているほか、「ローカル局がTVerの広告代理店契約を結び、地域の観光PRなどに活用している」と述べる。
「ホーム画面やマイページが主な流入経路であり、再生回数の向上については『お気に入り登録』が重要。出演者の人気やジャンル、特にバラエティによる流入増加もデータで確認されている」とし、「一度見たユーザーにお気に入り登録を促すことが、数字を押し上げる鍵」と語った。
一方、パネリスト各局では、再生数増加のためにどのような取り組みを行っているのか。
テレ東 多田氏は「再生回数を伸ばす魔法のテクニックはない」としつつ、ドラマ『夫の家庭を壊すまで』の例を挙げて説明。「視聴率は高くなかったが、配信で多くの視聴者に見てもらえた」と語る。
「配信を単なる二次利用ではなく、一次利用と考えた。番組中にはU-NEXTやTVerへの告知を15秒ずつ設け、地上波視聴者に配信プラットフォームの存在を丁寧に伝えた」(多田氏)
多田氏はさらに、SNSを活用した切り抜き動画プロモーションについて言及。「TikTokの動画本編内には配信告知を記載せず、自然に楽しんでもらえる動画を投稿し、概要欄でTVerへ誘導する方法が功を奏した」と述べ、「作品を知らない視聴者にも丁寧に届ける努力が重要」と強調した。
佐竹氏は、「配信の重要性を社内全体に理解してもらうため、視聴率だけでなく『総合視聴数』と名付けた新指標をイントラで共有する仕組みを導入した」と説明。地上波の全国リアルタイム視聴やタイムシフト、配信のデータを合算し、平均視聴者数を可視化することで、制作や営業の現場にもコンテンツの正確な価値を伝えているという。
「例えば『海のはじまり』の初回放送について、地上波リアルタイム視聴の到達人数は1400万人だが、全体でならした平均視聴人数は670万人、同様に地上波タイムシフト視聴の平均視聴人数は560万人、そして独自に算出した配信の毎分平均UB数は250万という数字になっている。これを足し上げて一部重複を排除した『総合視聴数』1440万というデータを、社内全員が把握できるよう、視聴率と共にイントラで開示し始めた。まずはコンテンツの正確な価値を把握してもらい今後の番組制作やプロモーションにつなげていきたいが、将来的には営業資料としても活用できればと考えている」(佐竹氏)
前田氏は「深夜番組などリソースが限られた状況でのプロモーションが重要」と述べ、SNSを活用した具体例を紹介。Instagramのリール動画を活用し、「宣伝感を出さずに内容を伝える」ことに注力しているという。
「ターゲット層の明確化が成功の鍵。具体的には、ママさんをターゲットに据えた『夫が寝たあとに』が配信で大きな支持を得たほか、ゴールデンウィーク最終日に狙いを定めたプロモーションとして、ドラマ『Destiny』に出演する石原さとみさんと亀梨和也さんのオンラインファンミーティングを行い、話題化してもらうことでドラマ再生数の向上に繋げた。それぞれの番組に適したプロモーションを徹底することが重要」(前田氏)
一方、岡野氏は、再生数の減少を防ぐための「減価償却の食い止め」に言及。「新作が公開後すぐのタイミングで再生数はピークを迎えるが、その後急速に減少する」と述べ、この課題に対処するため、SNSや地上波を活用したプロモーションに注力していると説明した。
「『ラヴィット!』では、前半部分を午前中に、後半部分を夕方に分けて配信することで、旬の内容を旬のうちに届けることを実現している」と岡野氏。TVerオリジナルのコンテンツ配信も試みており、「放送に収まらなかった素材を活用することで、番組認知と再生数アップにつなげている」と述べた。
■「民放各局が競争しつつ協力する」TVerは“協調の象徴”
最後に須賀氏は、パネリストに今後のTVerに向けた期待と展望をたずねた。
佐竹氏は、「TVerは『協調領域の象徴』であり続けてほしい」と強調。「各局がコンテンツで競争する一方、協調すべき分野も多い」といい、「TVerがその中心となり、さらなる連携を進めてほしい」と述べる。あわせてコネクテッドTVの広告価値について、スマートフォン環境での視聴と比較した実験結果を紹介。「コネクテッドTVにおける広告コンバージョン率はスマートフォンをはるかに上回る結果が得られた」とし、コネクテッドTV分野への積極的な展開を提案した。
多田氏は「配信の世界では、視聴者が膨大なコンテンツから自分に合ったものを選ぶ、エンゲージメントを大切にした視聴が主流になってきている」とし、「TVerのプラットフォームがパーソナライズされた体験を提供し、視聴者が求めるコンテンツを届けられる環境を整えていくことも重要」とコメント。「大手の競合プラットフォームに対抗するためにも、TVerがより価値のある存在になることを目指して進化してほしい」と期待を込めた。
岡野氏は「TVerが社会インフラ的な存在へと成長しつつあることは非常に喜ばしい」と述べた一方で、「まだ多くの課題やチャレンジ領域が残されている」と指摘。「今後はテクノロジーを活用し、より優れたユーザー体験を提供するプラットフォームとして進化しつつ、放送局全体としてもビジネス面で連携を深め、TVerとともにグロースしていくべき」と述べた。
関根氏は「TVerは放送局由来の大規模プラットフォームとして、世界的にも珍しい存在」とし、「文化を守りつつ、ビジネスを展開する場であるべき」とコメント。「これまで電波や系列に縛られていた各局の枠を超え、TVerを活用して新たなパートナーシップや企画を展開することで、新しいムーブメントを生み出せる」とし、「放送局が一致団結してTVerを通じた新たな可能性を模索すべき」と力を込めた。
前田氏は「TVerはテレビの集合体としての役割を果たしてきたが、これだけではもはや不十分」とし、配信領域においては、テレビ業界全体が競争から協力へとシフトしていく中で「各局が連携して良質なコンテンツを提供し、ユーザーを引き付ける仕組みを確立すべき」とコメント。「10年後、さらにはその先を見据えて、外部のプラットフォームとも連携し、新たな生活の一部としてテレビコンテンツの存在感を高めるべき」と提案した。
COOが語るTVerの現在地と課題 〜TVerウェビナー「放送局のための配信ビジネス最前線」レポート(1)