宣伝部初心者必見!テレビCMはどのくらい打てばいいの?
編集部
普段何気なく見ているテレビCMも、打つ側になれば話は別。初心者が抱く「どのくらい打てばいいか」という疑問に対して、王道の回答とは?
「新商品TV出稿したいから見積もり取って!と突然社長に言われた」
「突然の宣伝部異動で、初めての仕事が宣伝予算の割り振り。テレビはざっくりどのくらい?」
テレビCMを購入する仕事をすると、新しい単語や細かな方法論はどんどん出てくる。しかし、そもそもCMをどのくらい打つべきかという疑問に対して、シンプルな回答をしてくれる人はなかなかいない。だが、これは無理もない話だろう。マーケティングというものは、千差万別。商品や競合、顧客メディア環境といったさまざまな要素のなかで、皆がそれぞれ、もがいているのである。
今回は、そんな多様な要素をすべて「一旦置いといて」、CM出稿量を規定する王道をお伝えする。
テレビCM出稿の一般的な目的
そもそも「CMを打って何をしたいか」から逆算すると、一般的な流れはこれだ。
- 「モノを売りたい」から、買いたいと思ってもらいたい(購入意向※a)
- 購入意向を上げるには、テレビCM認知がどのくらい必要?(テレビCM認知※b)
- テレビCMが認知されるためには、CM何回接触が必要?(フリークエンシ―※c)
- CM必要回数以上接触者の比率をb%以上にするには、何GRP必要か?(GRP:毎分視聴率1%の番組に、テレビCMを1本流す=1GRP)
購入意向とテレビCM認知
多くの広告会社は過去のCMキャンペーンの事例から、「購入意向×テレビCM認知」の相関図を描ける。
ここでは仮に、テレビ広告認知50%以上で購入意向が上がり始めると判断して話を進めよう。
テレビCM認知とフリークエンシー
目指すべき、テレビCM認知率を分かったと安心してもまた、次の疑問が生まれる。
「そもそも人々はCMに何回当たれば、そのCMを認知してくれるのだろうか」
もちろんこの答えは、クリエイティブ表現や秒数、業種によっても変わってくる。そこで本記事では、クラグマン(H.E.Krugman)が提唱した理論「スリーヒッツセオリー」に則り、ずばり「3回」とする。
※スリーヒッツセオリー
広告の露出回数に関する理論で、「広告の露出頻度(Frequency)は3回目で広告のターゲットに有効な効果を示す」とする理論。
「CMに3回当たった人」を「50%以上」にするには?
ここまで来たら、ゴールは近い。「CMに3回当たった人(=R3+)」を「50%以上」にするCMの出稿量は何GRPなのか、考えてみよう。
世帯GRPとリーチの関係
この図は、「ターゲットリーチ」と「世帯GRP」との関係を描いた図、いわゆるリーチ曲線と呼ばれるものの一例だ。
今回のお題では、R3+を50%にしようということだから、紫の線が50%に達する「約500GRP」が答えとなる。
複雑化するデジタルマーケティング。その時テレビは……
今回は、初めてテレビCMを検討する人に分かりやすい王道の手順を紹介したが、現実には「予算〇万円を消化する」「競合A社より多く露出する」といった、他の要素を組み込まなければならない局面もあるだろう。他にも、広告会社の持つさまざまな指標でCM出稿量を検討することができる。ひとつの考え方として、本記事が参考になれば幸いだ。
一方で、デジタル広告と比べ、テレビCMは効果や指標が曖昧だと指摘されることも多々ある。
そこで次回は、テレビCMの得手不得手に迫っていきたい。