TVerなどに流すCM出稿が“EC並の手軽さ”に「テレ東広告」が拓く新たな広告取引の形
編集部
左から)株式会社テレビ東京・桑原佑介氏、株式会社テレビ東京コミュニケーションズ/株式会社テレビ東京・堀龍介氏、株式会社テレビ東京・今田智仁氏
株式会社テレビ東京と株式会社テレビ東京コミュニケーションズは2024年2月20日、テレビ東京グループの広告ポータルサイト「テレ東広告」にて、動画広告をオンライン上で簡単に申し込めるサービスを開始。同局公式動画配信サービス「ネットもテレ東」、民放公式テレビ配信サービス「TVer」上のCMにおいて、出稿番組の検索、見積もりから広告審査、申込みまでを全てオンラインで行うことが可能となった。
本記事では、サービス立ち上げに携わった株式会社テレビ東京コミュニケーションズ コーポレートオフィサー 兼 メディア事業開発本部長/株式会社テレビ東京 マーケティング局・堀龍介氏、株式会社テレビ東京 マーケティング局 マーケティングセンター 副部長・今田智仁氏、同センター・桑原佑介氏にインタビュー。立ち上げの背景から同サービスの持つ強み、今後に向けた展望までを伺う。
■既存の取引に加え、CM出稿の間口を拡大する「オンライン営業拠点」
──今回のサービス立ち上げの背景についてお聞かせください。
堀氏:他局と比較して人的リソースの少ない弊社では、広告会社の力をお借りしつつ、対面取引という形でお客様と案件のマッチングに取り組んできましたが、デジタル広告においてこのアプローチには一定の限界があると感じていました。昨今はSNS広告をはじめとして、お客様が自らツールを用いてプランニングを行うケースが増えつつあり、弊社でもオンラインの営業拠点を作ることで接点を拡大できないかと考えました。
桑原氏:「俺たちのテレ東」と呼ばれることもあるように、弊社は視聴者の方々との距離の近さが大きな強みですが、企業のみなさまにとっても距離の近い存在となり、広告媒体としてご検討いただく敷居を下げていきたいと考えました。その一環として、これまで媒体資料の配布やお問い合わせの窓口として運営していた「テレ東広告」へ会員登録機能を追加し、動画広告のお取引をオンラインで直接行っていただける仕組みを構築しました。
──新たな広告取引の形を設け、間口を広げていこうという取り組みなのですね。
今田氏:はい。現在お付き合いいいただいている広告主様、広告会社様との対面取引はこれまで通りしっかりと行わせていただきつつ、新たな広告取引の方法を設けることで、まだテレ東へ出稿されたことのない新たな企業様との接点を作っていきたいというのが今回の趣旨となります。
■番組選択から出稿までワンストップ。EC感覚の手軽さと高精度ターゲティングを両立
──出稿番組の検索から申し込みまでオンライン上で完結するという点が非常に画期的ですが、サービスとしてはどのような点が特色でしょうか。
桑原氏:一言で表すならば「ECサイト感覚」です。「テレ東広告」では通販の商品を購入するかのような手軽さで、より多くの企業様に自社のビジネスを伸ばす手段としてテレ東の広告をご活用いただくことを目指しています。
堀氏:「テレ東広告」会員向けメニューでは、現在テレ東が配信する190以上の番組情報を確認可能です。視聴者層の性年代やおおよその再生数ボリュームといった基本的な情報に加え、結婚、有職、持ち家有無の比率や、自家用車の保持割合、お子様の有無など、従来のデモグラから踏み込んだ詳細なデータを通じて、それぞれの番組をどのような人々が視聴しているのか、高い解像度で把握いただけます。
──よりターゲットの含有率が高い番組を選んで出稿することが可能なのですね。
堀氏:内容やジャンル、出演者などのキーワードを通じて番組を絞り込めるほか、「グルメ系パック」「お子様&ママパック」など特定の番組グループに絞り込んだ出稿も可能です。お申し込みにあたってはご希望の期間や予算などの条件に応じた配信インプレッション数、配信単価が表示されますので、具体的な効果をあらかじめ把握のうえ、お申し込みいただくことができます。
また、出稿のハードルを下げ、オンライン限定で税別10万円から出稿をいただけるパッケージをご用意しています。
──出稿申込みはどのような手順で可能でしょうか?
堀氏:ご希望の配信パッケージをお選びいただき、ECサイトのようにカートに入れる形で簡単に出稿をお申し込みいただけます。お申込み後は通常のCM出稿フローに則って業態・内容の考査を行わせていただいたのち、最短4営業日で配信まで行うことが可能です。
──CM出稿に関する一連の取引がすべてオンライン上で完結できるのですね。
堀氏:一般的なECサイト同様、24時間いつでも出稿のお申し込みが可能です。このほか、営業時間内に弊社担当者と直接やり取り可能なオンラインチャットもございますので、ご不明な点もお気軽にお尋ねいただけます。
──他にはどのようなサービスが利用可能でしょうか?
堀氏:CM素材をお持ちでないお客様を対象とした「簡易CM制作オプション」をご提供しています。弊社がご用意した多数の動画フォーマットからお好きなものをお選びいただき、入稿いただいた画像やテキストをもとに簡易動画を制作いたします。こちらのオプションは100万円以上の出稿で無償付帯が可能です。
今田氏:このほか、将来的にはクレジットカードなど決済方法の柔軟化や、レポーティング機能の拡充、プランニングのセルフサービス機能、審査の簡略化など、広告取引に便利な仕組みを充実させていきたいと考えています。現状は動画広告のみを対象としたサービスですが、中長期的には地上波CM取引への対応も検討しています。
■熱量高いファンが集まる「テレ東の番組」出稿で高いエンゲージメント獲得も期待可能
──電通が2月27日に発表した「日本の広告費2023」では、コネクテッドTVの利用拡大を受け、インターネット広告費における「テレビメディア関連動画広告費」が前年比126.6%と大幅に増加しました。サービス開始の背景には、このような流れも関係しているのでしょうか。
今田氏:コネクテッドTVの視聴比率が非常に上がり、さまざまなコンテンツがテレビ画面を介して視聴されるようになりました。放送広告はこれからも変わらずテレビ局の重要な商品ですが、同時に動画広告もまた大きな存在となってきています。このサービスを通じて、これまでテレビ向けの出稿ということが選択肢に入れづらかった中小企業の方々にもテレ東の番組を知っていただき、広告効果を試していただきたいという思いがあります。
堀氏:「テレ東広告」では、スマートフォンアプリやPCサイトに向けたデジタル広告と同等のインターフェースで、より専念視聴傾向の高いコネクテッドTVに向けた広告配信を手軽に行っていただくことが可能です。たとえば放送広告を出稿される前に本サービスを通じてテレ東がTVer上で配信する番組に出稿いただき、「テレビ画面向け広告」の効果を確かめていただくトライアル的なご活用もぜひご検討いただけたらと考えています。
──番組に対するファンの熱量の高さがテレ東の大きな特色である、というお話がありましたが。強い思い入れを持つ視聴者が多く集まる番組に出稿できるということは、広告媒体としても大きな強みになりそうですね。
堀氏:業態や商品と番組カラーのマッチはもちろん、「自分たちの大好きな番組を応援してくれている」と視聴者の方々が一種の“仲間意識”を覚えることで、広告主様との間に強いエンゲージメントが芽生えることも期待できます。テレ東の番組が持つ多彩な個性と広告主様をマッチさせるツールとして、「テレ東広告」を発展させていきたいと考えています。
──最後に読者の方々に向けてメッセージをお願いいたします。
桑原氏:大変光栄なことに、2月20日の会員向けサービス開始以来、これまで弊社とお取引のなかった企業様、広告会社様から続々とご登録をいただいています。エッジの効いたコンセプトと厚いファンダムを持つテレ東の番組とさまざまな企業様との接点を「テレ東広告」を通じて作っていきたいと思います。
堀氏:「テレ東広告」の真髄は単なる広告取引のオンライン化ではなく、新しい広告案件、広告事業者様との取引の形を創造していくことにあります。この取り組みを通じて広告取引の間口を広げ、より多くの企業様、広告会社様との関係性作りを進めていきたいと考えています。
今田氏:これまで対面取引をさせていただいている企業様、広告会社様との関係性はいままで通り大切にさせていただきつつ、新たなつながりを深めていく“もうひとつの営業拠点”として「テレ東広告」をご活用いただけたら幸いです。会員登録は無料ですし、こちらから営業電話がかかってくるなどはありません(笑)ので、まずは登録いただき、サービスを御覧いただき、配信プランや見積もりを確認してみてください。