日テレが動き出した! サバイブを賭けた日テレ施策『日テレラボ』って何?
編集部
この夏、日本テレビに「日テレラボ」という研究チームが発足しました。でも、日テレラボって一体何を研究しているの? ということで、日テレラボ室長に就任した田代早苗さんにお話を伺ってきました!

日本テレビ放送網株式会社 日テレラボ室長 田代早苗さん
■「日テレラボ」とは?
「日テレラボは、日テレの基礎研究所です。コンテンツメーカーとしてサバイブしていくために、日テレラボで得た情報を社内に展開していきたいと考えています」。
これまでも日テレでは、各部署で日常業務と並行して走りながら調査や研究、勉強を重ねていました。しかし、普段の業務とは切り離したところで、時間軸も守備範囲もさらに広げて調査や研究、情報収集に専門的に取り組む独立した機関が必要という声が生まれ、この6月に日テレラボが設立されたのだそうです。
※ちなみに『日テレラボ』の名称は、「laboratory」の「ラボ」からきているそう。研究に特化した部署ということで、シンプルに『日テレラボ』と命名されました。
■日テレラボ設立の“真の目的”

昨今のテレビと言えば、日テレの番組が軒並み高視聴率を押さえています。特に「世界の果てまでイッテQ!」は、日本のテレビ番組の代名詞と言っても過言ではないほどの人気を博しています。そんな好調のさなかにいる日テレが「コンテンツメーカーとしての生き残り」を賭け、「次の打ち手」を仕掛けようとしているのには、どんな理由があるのでしょうか。
「現代は、たった五年後の生活環境ですら想像しきれない世の中になっています。環境の変化はもちろん、テクノロジーの進化の速さも尋常ではないことを考えると、『テレビ』の将来を予測するのは難しい。その中で我々は、東京オリンピック開催後も見据えて継続的成長を目指した事業の“破壊と創造”をし、海外でも確固たるポジションを獲得することと併せて、地域や個人に寄り添った社会貢献をし続けていかなければなりません。
そうしたサービスを会社一丸となって皆様にご提供できるよう、社員すべてが能力を高め挑戦できる人材育成・環境整備の構築が、我々日テレラボに課せられています。基礎研究にしても人材育成にしても、日テレラボで得られたものを社内に展開し、同じ目標に進んでいけたらと思います」
つまり日テレラボは、日テレを視聴する人々の幸せや笑顔につなげるための調査・研究と人材育成という、大きなミッションを与えられた部署だといえます。
■日テレラボに課せられた3つのミッション
ミッションその1:基礎研究
現在、日テレラボは18人の精鋭で構成されています。従来の編成局マーケティング部が日テレラボに移管されたこともあり、これまで通り「視聴率」の実態と「生活者(視聴者)動向」の基礎研究に励むチームが存在するのです。
「基礎研究を大切にしているのは、『テレビ』放送ビジネスの“今そこにある危機”への対応が必要とされるから。また、視聴者(生活者)の、テレビコンテンツへの接触などファクトを把握し、データの分析を進化させなければなりません」
ミッションその2:自由研究
社員一人一人の発案による研究をサポートするのも、日テレラボの仕事の一つです。
「日テレらしく、部署・役職に関係なく、誰もが自由に発言できる場を提供したいです」
たとえば、将来の事業環境を見据えた研究テーマがあれば、チーム編成を考案したり、情報収集と分析、予測といったところまでとことん追求する。そして得られた知見を社内に共有する役目を担っています。
ミッションその3:人材開発
「日テレラボでは、未来の日テレを支える人材の開発もしていきます」
次世代構想プロジェクトと題し、以前は人事部主管で“NEXT10”の取り組みをしていましたが、現在は“Change15(チェンジフィフティーン)”というチームを構成し、主に21世紀以後入社の社員が集まって勉強や意見交換をする場を設けています。社内とはいえ、異業種間の交流によって新たな知見の獲得・活用の場にもつながっており、未来の自分たちの在り様を想像し、「今できること」を考えるきっかけづくりを狙っています。
「今後はミッション2の自由研究と連携した新たな取り組みも視野に入れながら、部署、会社、業界を超えて議論・情報収集していく中で、うまく人を育てる機会を作っていきたいと日テレラボでは考えています。」
コンテンツメーカーの生き残りに注力すべく生まれた、日テレラボ。室長である田代室長は、テレビの今後についてどのように考えているのでしょうか。次回はテレビの未来と情報について、お伺いしたいと思います。

――日本テレビ放送網株式会社 日テレラボ室長 田代早苗氏プロフィール――
幼い頃、日テレの子ども番組に2度ほど出演した際にテレビの裏方の仕事に興味を持つ。就職活動時、四大卒の女子を受け入れている会社が少ない中で日本テレビに入社。趣味は音楽とスポーツ観戦で、夏場は野球の生中継を観ることが多い。座右の銘は特にないが、会社生活で得た教訓として、「人を見上げたり、見下ろしたりしない」。真っ直ぐに、いろいろな角度から物事を見るよう心がけている。プライベートでは高校生の子どもが2人おり、テレビを観ている子供たちを観察しながら現代の若者の傾向を探るのが面白いと語る。