成長・成熟が期待される動画広告―2017年インターネット広告媒体費分析
編集部
電通グループ3社(D2C/サイバー・コミュニケーションズ/電通)は28日、「2017年 日本の広告費・インターネット広告媒体費詳細分析」(以下、本調査)を発表した。
本調査は、電通が2018年2月に発表した「2017年日本の広告費」の調査結果のうち、インターネット広告媒体の分析に焦点を当てたもの。日本の2017年の総広告費、6兆3,907億円のうち、「インターネット広告媒体費」は1兆2,206億円(前年比117.6%)となっており順調に成長を続けている。これまで「日本の広告費」では分析されてこなかったインターネット広告媒体費の広告種別、取引手法別、デバイス別の内訳を調査して、2018年の予測を加えた。
■「2017年日本の広告費・インターネット広告媒体費詳細分析」のポイント
・インターネット広告媒体費のうち、ディスプレイ広告(40.9%)とリスティング広告(39.6%)で全体の約80%を占める。ビデオ(動画)広告は1,155億円で全体の9.5%を占める。
・取引手法別構成比は、運用型広告(77.0%)、予約型広告(14.4%)、成果報酬型広告(8.6%)。
・デバイス別構成比は、モバイル広告が68.1%、デスクトップ広告が31.9%。
・2018年のインターネット広告媒体費は全体で1兆4,000億円を上回り、うちモバイル広告は1兆円を超える見込み。
・ビデオ(動画)広告は、2018年には約1,600億円まで拡大する見込み。
■インターネット広告媒体費・広告種別構成比
2017年のインターネット広告媒体費は1兆2,206億円。そのうち、構成比が高いのはディスプレイ広告(40.9%)とリスティング広告(39.6%)で、合わせて約80%を占める。ビデオ(動画)広告は1,155億円で全体の9.5%で、次いで成果報酬型広告(8.6%)、その他のインターネット広告(1.5%)と続く。
【広告種別の定義】
ディスプレイ広告:サイトやアプリ上の広告枠に表示する画像、テキストなどの形式の広告およびタイアップ広告。
リスティング広告:検索キーワードやコンテンツに連動して表示するテキスト、画像(動画)形式の広告。
ビデオ(動画)広告:動画ファイル形式(映像・音声)の広告。
成果報酬型広告:インターネット広告を閲覧したユーザーが、あらかじめ設定されたアクションを行った場合に、メディアや閲覧ユーザーに報酬が支払われる広告。
その他のインターネット広告:上記以外のフォーマットのインターネット広告。メール広告、オーディオ(音声)広告など。

■インターネット広告媒体費・取引手法別構成比
インターネット広告媒体費を取引手法別にみると、運用型広告が最多で(インターネット広告媒体費の77.0%)、予約型広告(同14.4%)、成果報酬型広告(同8.6%)と続く。さらに取引手法別×広告種別で分解すると、運用型のリスティング広告の構成比が39.6%と最も規模が大きく、次いで運用型のディスプレイ広告が29.4%と続いた。また、プライベートマーケットプレイス(PMP)やプライベート・エクスチェンジなどの媒体社と広告主を限定したクローズドな広告取引市場を通じて取引された媒体費は、およそ100億円~120億円規模と推定された。
【取引手法の定義】
運用型広告:リスティング広告、およびデジタル・プラットフォーム(ツール)やアドネットワークを通じて入札方式で取引されるもの。
予約型広告:純広告やタイアップ広告として、代理店・メディアレップ経由もしくは直接広告主に販売されるもの、およびデジタル・プラットフォーム(ツール)やアドネットワークを通じて非入札方式(固定価格)で取引されるもの。
成果報酬型広告:インターネット広告を閲覧したユーザーが、あらかじめ設定されたアクションを行った場合に、メディアや閲覧ユーザーに報酬が支払われる広告。

■インターネット広告媒体費・デバイス別構成比
2018年のインターネット広告媒体費は前年比117.9%と、総額で1兆4,397億円まで拡大すると予測される。デバイス別では、モバイル広告が前年比125.3%となり、2018年には1兆円を超え、デスクトップ広告は、前年を上回る102.3%になると予測される。

■2018年の展望
2018年のインターネット広告媒体費は前年比117.9%と、総額で1兆4,397億円まで拡大すると予測される。デバイス別では、モバイル広告が前年比125.3%となり、2018年には1兆円を超え、デスクトップ広告は、前年を上回る102.3%になると予測される。


2018年に向けてさらなる成長が予測されるのがビデオ(動画)広告市場だ。2017年のビデオ(動画)広告費は1,155億円、うち77.1%はモバイル広告が占める。2018年には、モバイル広告の大幅な伸長(前年比148.8%)に加え、デスクトップ広告の着実な伸長(同108.2%)が期待されることから、ビデオ(動画)広告費は1,612億円まで拡大(同139.5%)すると予測される。

2015年に広告市場規模が逆転したモバイル広告とデスクトップ広告だが、年を重ねるごとに広告費の差は開き続けており、その傾向は今後も続くことが予想される。そのなかで年間の広告費のうちモバイルが70%以上を占める動画(ビデオ)広告は、モバイル広告時代の主力事業になりうる。2018年にはより一層の成長と成熟が期待されるといえるだろう。