次世代映像配信における最新トレンドと視聴履歴を元にした広告効果測定ツール【Inter BEE 2017プレゼンレポート(後編)】
編集部
放送・メディアの技術革新を紹介し、国内外に新たなメディアの可能性を示す情報発信力を持つ国際展示会『Inter BEE 2017』が、千葉・幕張メッセで開催(2017年11月15日~17日)。
Screensは 多くの展示や企画のなか、INTER BEE CONNECTED内プレゼンテーションコーナーで行われた出展者プレゼンテーションを傾聴。ICT(Information and Communication Technology)とメディア環境が日々広がり変化するなかで、テレビ放送をはじめとしたメディアコミュニケーションはどんな可能性を広めるのか、前編では「高品質で安定、低価格なCDNサービスの最新動向を探る!」を紹介したが、後編となる今回は、伊藤忠ケーブルシステム株式会社と株式会社HAROiDのプレゼンテーションの模様をレポートする。
■【伊藤忠ケーブルシステム株式会社】次世代映像配信における最新トレンド
放送、映像、音響と通信に特化したトータルシステムインテグレータである伊藤忠ケーブルシステム株式会社は、「次世代映像配信における最新のトレンド情報と実現方法のご紹介」というテーマでプレゼンテーションを行った。
同社と言えば、ダイナミック広告挿入分野においてサーバーサイドのフレーム精度広告挿入・差替を実現する技術により、配信システムと広告プラットフォームの連携を実現させているYospace Technologies Ltd(イギリス・ステインズ、CEO:Tim Sewell、以下「Yospace」)とパートナー契約を締結したことでも記憶に新しい。
協業により、これまで困難だった、ライブ配信でのコンテンツマスク・差し替えを可能とし、ライブ配信でのターゲット広告挿入ができるこのソリューションは、日本国内でも着実に実績を積んでいる。
プレゼンテーションでは、業界トレンドとして、ライブ・リニア配信のニーズの高まりを指摘。また、最新トレンドとして、高画質化とCDNのコスト削減を挙げた。こちら詳細については「CDNのコスト削減が配信事業のトレンドに~After NAB Show-Tokyo 2017-レポート」をご覧いただければと思う。
■【株式会社HAROiD】2018年春リリース予定の新サービス「HAROiD x AD」
ネットとテレビを連携したコミュニケーションやコンテンツ制作といった、新しい価値を創造する、ユニークなサービス展開でもおなじみの株式会社HAROiDからは、2018年春リリース予定の「HAROiD x AD」の話題を中心としたプレゼンテーション「テレビ視聴データは宝の山!マス・デジタル・リアルの合わせ技で効果を最大化するHAROiD x ADの挑戦」が行われた。
プレゼンテーションでは、“効果測定が困難/正確な効果測定ができない”という、マス広告の大きな課題点を挙げ、その解決策として、“ウェブ広告を扱うようにコンバージョン、視聴データを集めることが必要”とし、同社で取り組んでいる3つのメニューが紹介された。
あわせて、昨年リリースが開始された、視聴体験をアップデートする放送局向けのプライベートDMP「HAROiD DMP」の紹介がなされ、同サービスにより、見逃し配信のテレビ視聴回帰や、枠移動の場合の効果検証番宣の効果検証が可能になったという。
そして来年リリースを予定しているのが、「HAROiD x AD」である。同サービスは、ドラマやテレビショッピングなど番組やCMの視聴履歴を元に、その人がスマホなどで表示したウェブにも関連するオンライン広告を表示させるというもの。その広告に実際にユーザーがアクセスしたかどうかを測定し、広告の効果を確かめられるのが特徴だ。加えて、テレビで観たCMを元に、ウェブでクーポンを発券し、実際に店舗で使われるかという測定も可能に。同サービスは、視聴履歴と広告配信を結びつけることを同意したユーザーをターゲットとして放送局・代理店・広告主に提供する予定だという。
3日間にわたり行われた出展者プレゼンテーションのうち、今回は4社だけをピックアップしレポートしたが、放送と通信の最新トレンド、ならびに新サービスのリリース情報等、各社、非常に中身の濃い内容となった。