TSSテレビ新広島、平和推進企画「Hiroshima Peace Program TSS アーカイブプロジェクト」にてウクライナ難民の現状を伝える
編集部
株式会社テレビ新広島(以下、TSS)では、被爆関連のニュースや特集・番組に英語字幕を付け、世界へ向けて配信をする平和推進企画「Hiroshima Peace Program TSS アーカイブプロジェクト」を実施している。本企画では、ロシアによるウクライナ侵攻直後の2022年3月から「ロシアのウクライナ侵攻に関する被爆地・広島の動き」のコーナーをスタートし、広島県におけるウクライナ避難民やその周辺のニュースを英語と日本語の字幕付きで世界配信している。
ロシアによるウクライナへの侵攻から3年経った。2025年1月時点で、ウクライナから広島県に避難している人は38人。そのうち、夫と離れ、広島県へ子供と避難している女性の今を取材した。
アンナ・セメネンコさんは、ウクライナから福山市に避難して2年半が経過。アンナさんは日本語がずいぶん上達し、検定試験を受けるという目標もできたという。


ウクライナで2番目に大きい東部の町「ハルキウ」。アンナさんは3年前まで、その美しい町で家族4人、穏やかに暮らしていたが、ロシアによるウクライナへの侵攻が開始され、侵攻から4カ月後、夫を残し二人の娘を連れ、以前、滞在したことがある広島県福山市へ着の身着のまま避難した。避難を決断したのは、2人の子どもたちの存在だった。
<アンナさん>
もし子供が怪我を負ったり殺されたりしたら自分を責めると思いました。(男性は原則国外に出られないため)夫は避難できない。全部自分一人で、怖くても逃げるしかなかった。


アンナさんは当初、避難は長くても3カ月だと思っていたが、先はまったく見通せない。夫・アンドリーさんとは毎日、テレビ電話で話している。しかし、一時避難だったはずの生活は変わらないまま、福山市に来て2年が過ぎていった。長女エヴァちゃんは小学校に進学。自宅ではウクライナの小学校のリモート授業も受けている。
民間の生活支援金は3年間の期限付きで、2025年7月で終了する。「この笑顔を守るためにも、戦争が続く限りは戻れない」アンナさんは、日本語や子育てとの両立など不安もある中、週に2回、福山市内のレストランで働きはじめた。
「早く戦争が終わりたいだけ。私は早く家族を会わせたい」
あの日からずっと変わらない、アンナさんのたったひとつの願い。
(『TSSライク!』2025年2月24日放送 取材担当:TSS報道部 石井百恵)
▼日本語版(TSSニュース)
https://www.youtube.com/watch?v=WmkefgBIyZ4
▼TSSアーカイブプロジェクト(日本語・英語併記)
https://www.tss-tv.co.jp/web/archive_project/