『3000万』『ライオンの隠れ家』に高い注目度!REVISIO、視聴者をくぎづけにした2024年10月クール秋ドラマ初回放送の注目度ランキングを公開
編集部
REVISIO株式会社(以下、REVISIO)は、2024年10月にスタートした秋ドラマについて、初回放送の注目度ランキングを作成し、人気の傾向を分析した。注目度が高いとは、テレビの前の視聴者がくぎづけになっていたことを表す。なお、分析は家庭に人体認識技術を搭載した機器を設置し、テレビスクリーンへの「アテンション(注視)」を測る方法で行われた。
※全てのドラマが対象ではない
■秋ドラマ初回注目度1位はNHK『3000万』
NHKの土曜ドラマ『3000万』が、個人全体注目度73.4%で1位を獲得。今回の調査では、上位2番組とそれ以下で、注目度に大きな開きがある結果となった。2位の『ライオンの隠れ家』は73.2%、3位の『若草物語ー恋する姉妹と恋せぬ私ー』が67.2%で、6%もの差がある。7月クールの初回放送個人全体注目度は、1位の『マウンテンドクター』が68.4%だったことからも、秋ドラマ上位2番組の注目度が非常に高かったことが伺える。
上位2番組については、男女共に注目度が高かった点も特徴的なポイント。1位の『3000万』は「普通の夫婦がある日突然大金を手にしてしまう」という設定で、近年問題となっている「闇バイト」がテーマとして絡んでいる。また、2位の『ライオンの隠れ家』は「児童虐待」や「家族愛」がテーマ。このように、性別関係なく興味を惹かれる設定やテーマが高い注目度につながったのではないかと考えられる。この高い注目度を最終回まで維持できるか、この先の動向に注目したい。
トップ3にランクインしたドラマにおいて、どのような要素が視聴者の関心を集めたのか、注目度データを読み解きながら詳しく分析していく。なお、REVISIOの視聴質ブログでは本ランキングについて、より詳細な分析を公開している。
▼視聴質ブログの秋ドラマ分析はこちら
https://revisio.co.jp/blog/VYEnhadG
個人全体ランキング トップ3をピックアップ
■1位:NHK『3000万』
出演:安達祐実、青木崇高、野添義弘、愛希れいか、森田想、味元耀大 他
個人全体の注目度:73.4%
平凡な夫婦が、ある事故をきっかけに突然3000万円という大金を手にし、事件に巻き込まれていく……というクライムサスペンス。社会問題となっている「闇バイト」が絡んだストーリーで、男性注目度1位、女性注目度2位と、性別問わず高い注目を集めた。
事件に巻き込まれる夫婦が「どこにでもいる普通の夫婦」であったことも、視聴者をくぎづけにした理由の一つかもしれない。祐子がスーパーで少し高めのロールケーキを買うことを躊躇したり、職場でパワハラのような目に遭いながらも耐えて働いたりする姿に共感した人は多かったのではないか。また、少し無神経ながらも愚直で憎めない、義光のキャラクターも非常にリアル。「突然大金が手に入る」という現実にはあり得そうにない設定ながら、キャラクターやストーリー展開に無理がなく「もし自分がこの立場だったら……」と視聴者が自分ごとのように楽しめたのだろう。
また、このドラマは「ライターズルーム」という手法を取り入れたことでも話題になった。この手法は、複数の脚本家がライターズルームという場に集って共同で脚本を執筆するもので、海外ドラマでよく採用されている。NHKは「日本発の面白いドラマを作る」という目標を掲げ、2022年にライターズルーム方式を取り入れた「WDRプロジェクト」をスタートさせた。今回の『3000万』は、このプロジェクトで選出された4人の脚本家によって書かれている。複数の脚本家が互いの持ち味や得意分野を掛け合わせることで、ストーリーに意外性や奥行きが生まれ、目が離せない展開に仕上がったのではないか。「日本発の面白いドラマを作る」というNHKの試みは、見事成功したといえるだろう。
視聴率は2.6%と奮わなかったが、SNSでは「緊張感があって面白い」「スリリングな展開に期待大!」といった声が挙がっており、今後の視聴率上昇も期待できる。
■2位:TBS『ライオンの隠れ家』
出演:柳楽優弥、坂東龍汰、佐藤大空、齋藤飛鳥、桜井ユキ、岡山天音、向井理 他
個人全体の注目度:73.2%
柳楽優弥のTBSドラマ初主演となる本作品。弟のために生きる兄・洸人(ひろと)と、自閉スペクトラム症の弟・美路人(みちと)は平穏に暮らしていたが、2人の前に「ライオン」と名乗る男の子が現われ、ある事件に巻き込まれていく。本作品は、1位の『3000万』と同じく、男性注目度2位、女性注目度1位と性別問わず高い注目を集めた。
「家族愛」や「兄弟愛」を描きながらもサスペンス要素が含まれており、謎の多い展開に目が離せない視聴者が多かったのだろう。特にライオンが虐待を受けていたと思わせるような描写があり、母親の立場である視聴者が注目したことが、女性注目度1位の獲得につながったのかもしれない。
キャスト陣の高い演技力も、このドラマの魅力を高めている要素の一つ。主演の柳楽優弥の、優しさがにじみ出るような芝居は流石だった。今注目の若手俳優・坂東龍汰は自閉スペクトラム症の青年という難しい役どころだが、その演技に絶賛の声が集まっている。SNSでも「自閉スペクトラム症の息子と同じ仕草・表情でびっくりした」「めちゃくちゃリアル」という声が挙がっているほど。ライオン役を演じている子役の佐藤大空も、その可愛らしさと自然な芝居で多くの視聴者の心を鷲掴みにしている。
早くも「今期ナンバーワンドラマ」との声が挙がっている本作品。初回はほのぼのした雰囲気だったが、今後謎が明らかになるにつれシリアスな展開になることが予想される。注目度がどう変化していくのか、その動向にも注目が集まる。
■3位:日本テレビ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』
出演:堀田真由、仁村紗和、畑芽育、長濱ねる、一ノ瀬颯、深田竜生、生瀬勝久 他
個人全体の注目度:67.2%
オルコットの自伝的小説「若草物語」を原案に、令和に生きる四姉妹と恋のあれこれを描いた作品。女性目線の強いメッセージ性とテンポの良いストーリー展開で視聴者をくぎづけにし、見事3位にランクインした。
四姉妹の物語なだけあって、キャストの華やかさにも注目が集まっている。主人公の次女・町田涼を演じるのは、1年で13作品もの映画やドラマに出演し話題となっている堀田真由。長女の恵役には仁村紗和、三女の衿役には長濱ねる、四女の芽役には畑芽育と、今注目の若手女優たちがズラリと顔をそろえた。
このドラマの見どころは、四姉妹の恋愛模様をコミカルに描きながら「女性の生き方」に焦点を当てているところ。次女の涼は「恋愛しなきゃもったいない」「女の幸せは結婚」という価値観の押し付けに生きづらさを感じている。初回では、ドラマ制作会社で働く涼が「恋愛至上主義」の風潮に異議を唱え、大御所脚本家(生瀬勝久)に盾ついて会社を辞める……というストーリーが描かれた。そんな自分らしさを貫く涼の姿に、共感した女性は多かったのではないか。一方で、長女の恵は結婚願望が強く、四女の芽は「結婚するならお金持ち限定」と割り切って恋愛するなど、姉妹で価値観がまったく違っている点も面白いポイント。視聴者が、自分の価値観に近いキャラクターに感情移入できる点も、注目度が上がった理由の一つといえるだろう。
また、視聴質の観点から注目したいのは、男女の注目度がほぼ同じであったという点。女性の視点から描かれたドラマのため、女性注目度が高くなるのでは?と予想されていたが、男性も同じくドラマを楽しんだことが伺える。女性はストーリーを自分ごと化して楽しみ、男性は若手人気女優が四姉妹として共演するというキャスティングに惹かれて楽しんだ人が多かったのかもしれない。
■テレビ番組の視聴率・注目度を無料でチェック!視聴データ公開サイト「RE.Source」
REVISIOの視聴データ公開サイト「RE.Source」では、過去1週間の関東・関西地域での地上波6局7チャンネルの世帯視聴率・注目度を毎日更新中。誰でも無料で視聴できる(注目度を確認する際は名前とメールアドレスの登録が必須)。
REVISIOでは、視聴者がテレビに目線をどれだけ向けたかという視聴データを毎秒で独自に取得。今後も注目のテレビ番組やCMの分析を予定している。
なお、秋ドラマの最新視聴率・注目度は以下からチェックできる。
▼最新の視聴率・注目度
https://rating.revisio.co.jp/
■今回の分析に利用した指標について
注目度とは、テレビの前にいる人(滞在者)のうち、テレビ画面に視線を向けていた人(注視者)の割合を表す。シーンに注目している度合いがわかる。