テレビ静岡が金賞受賞!フジ系列各社の技術部門、第32回FNSテクニカルフェア「あんたが大賞」発表
編集部
【金賞受賞】テレビ静岡「AWSを活用したマスター運行支援システムの自社開発」
株式会社フジテレビジョン(以下、フジテレビ)系列各社の技術部門は、第32回FNSテクニカルフェア「あんたが大賞」を発表し、テレビ静岡が金賞を受賞した。
今回の選考は、10月31日(木)に開催されたFNS理事社技術責任者会議にて決定。同賞は、日常業務の中から生まれた身近なアイデアやちょっとした工夫から、独自の技術開発や研究までを対象としており、FNS系列全社のイベントとして定着している。今年は、FNS系列19社から25件の応募があった。
■「Amazon Web Serviceを活用したマスター運行支援システムの自社開発」が選出
今年の「あんたが大賞」金賞には、テレビ静岡の“Amazon Web Service(以下、AWS)を活用したマスター運行支援システムの自社開発”が選ばれた。
重大な事件・事故、災害などの事態が発生した際、放送局では当初予定していた番組を急遽変更し、「報道特別番組(以下、報道特番)」が編成される。突発的な番組変更の場合、マスター室(主調整室)にて、報道特番への切り替えやCM差替え等の緊急作業が行われるが、ローカル局のマスター室では常に限られた人的リソースの中、様々な対応を行う必要がある。
そのため、多くの放送局では報道特番が編成された際、速やかに応援要請を行い、人員を増強して緊急作業にあたっているが、夜間や休日など、応援人員の到着まで時間を要する場合があり、初動対応を行う担当者にとって大きな負担となっていた。そのため、「報道特番編成が決定した直後の人員が手薄なマスター室を外部からサポートする体制」を構築するために、本システムが開発された。
マスター運行支援システムの2つの機能について
■(1)マスター運行状況リアルタイムストリーミング及び双方向コミュニケーション機能
PC・スマホなどのWEBブラウザから専用ページにアクセスすることで、放送中の番組(映像・音声)や放送運行に必要な画面を超低遅延で確認しながら、マスター担当者との双方向通話が可能となる。
外部から各種画面や操作内容をリアルタイムで確認しながらマスター担当者と通話することで、“複数の目”によるチェック機能が働くほか、従来の電話などによるコミュニケーションよりも圧倒的に状況を共有しやすく、社外からでも放送運行状況の確認や、的確な指示が容易に行えるようになった。
■(2)報道特番対応に必要な情報の自動共有機能
報道特番の編成が決定すると、フジテレビから系列局に対して、報道特番対応に関する連絡や指示が専用のインカムシステムを通して矢継ぎ早に行われるほか、番組構成(報道特番フォーマット)などが記載された資料がメールやFAXで共有される。
従来、これらの情報はマスター担当者から情報共有が無ければ、社外から把握できなかったが、本システムを利用することで、関係者への自動共有が可能となった。これにより、社内外に関わらず特番運行状況を即座に把握でき、マスター担当者の作業負担の軽減や応援要請・情報共有の迅速化にもつながった。
本システムは、マスター業務における緊急対応として通常番組を「報道特番化」する際、人員が手薄な初動時に、迅速に遠隔から業務支援することを実現し、業務効率化と放送運行の安全性向上に大きく寄与したことが高く評価され、今回の金賞受賞となった。
<金賞受賞 渡辺博之(テレビ静岡 技術局技術部)のコメント>
マスター室では、報道特番の編成決定から最初の20~30分が最も慌ただしい時間となります。しかし、私の場合、自宅から本社まで1時間弱掛かることもあり、有事の際に応援要請を受けて急いで駆けつけても、本社に到着した時点で既に対応が一段落していることがしばしばありました。そこで、自宅からでもマスター担当者の力になれないか、と考えたのが本システム開発のきっかけです。
幸いにも、システム開発後、私が社外にいる際に報道特番が発生した事例はまだありませんが、今後はこのシステムを活用することで、夜間や休日などの状況に応じて外から初動対応(マスター運行支援)を行い、長期化する場合には落ち着いたタイミングで出社対応に切り替えるなど、柔軟な対応が可能になります。更に、報道特番以外のケースでも本システムを積極的に活用することで、放送の安全運行や業務効率化に広く役立てていきたいと考えています。
多くの優れた事績がある中で、この度、金賞を頂戴したことは大変光栄に思います。本システムの開発にあたり、ご協力いただいた皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
■第32回FNSテクニカルフェア「あんたが大賞」受賞事績
▼金賞:テレビ静岡
AWSを活用したマスター運行支援システムの自社開発
▼銀賞:石川テレビ放送
データ放送の裏で働くシステム「CATs」の開発
▼銅賞:テレビ大分
ゼロから始める「社内生成AI アプリ」