毎日放送×インテック、エンタメイベントにおけるWeb3.0時代の次世代デジタルID「SSI」を活用した国内最大級の実証実験を実施
編集部
「ちゃやまち推しフェスティバル2024」で、株式会社毎日放送(以下、毎日放送)主催の街回遊型イベント「ナゾ解き!Aぇ!!!!!!ゐこ〜調査員入団試験をクリアせよ!〜」(2024年6月8日~9日)が行われ、TISインテックグループの株式会社インテック(以下、インテック)が、本イベントを実証フィールドとしたイベントDXプラットフォームの実証実験を実施した。
本実証において、Web3.0時代の次世代デジタルID(SSI※1)を活用したイベントDXプラットフォームを提供することにより、番組コンテンツを絡めた2,500人規模のイベント運営を支援できる効果を確認できた。
※1 SSI(Self-Sovereign Identity:自己主権型アイデンティティ):SSIは、Web3.0時代における新しいデジタルアイデンティティ(デジタルID)管理の考え方です。従来のように企業(サービス事業者)などが個人情報を所有・管理するのではなく、エンドユーザー自身が自分の個人情報を所有・管理して、プライパシーを保ったまま個人情報を適切に活用できる仕組み。
■背景と目的
エンタメ領域では、旧来の広告ビジネスに加えて、番組コンテンツ(以下IP)を絡めた「ファンイベントの開催」「IPの提供・販売」を行うなどビジネスモデルが変化している。
IPを保有する企業は、ファンイベントの開催とともに、個人情報を管理しながら、ファン専用サイトの運営やサイトを通じた限定コンテンツの提供を行うことで、IPとファンの接点強化に取り組んでいく。一方で、昨今の情報漏洩などのセキュリティリスクやプライバシー保護の観点から、ファンから個人情報を極力取得せずに、IPを活かしたビジネスが展開できる新たな仕組みづくりの必要性が高まっている。
インテックは、次世代デジタルID(SSI)を起点とした「新たな情報流通の仕組み」の研究開発の中で、エンタメ領域の課題に対してSSIの技術が活用できないか検討を重ねており、その技術を活用したイベントDXプラットフォームの有効性の確認を目的として、今回実証実験を行った。
■実証実験の概要
毎日放送の番組コンテンツ『Aぇ!!!!!!ゐこ』と企画コラボした街回遊型イベントにおいて、イベントDXプラットフォームの効果検証を行った。
本イベントでは、参加者が謎解きクイズストーリーをもとに、大阪茶屋町一帯に設置された謎解きクイズ会場を回遊し、クイズに正解することでSSIによる各会場限定のデジタルIDカードを取得していく。この取得したデジタルIDを提示することで、イベント参加者であることを証明でき、イベント当日や後日に公開されるイベント参加者限定のオリジナル動画を視聴できる。
【期間】2024年6月8日~6月9日
【場所】「ちゃやまち推しフェスティバル2024」ナゾ解き!Aぇ!!!!!!ゐこ〜調査員入団試験をクリアせよ!〜
【役割】毎日放送:番組コンテンツと企画コラボしたイベントの企画、限定コンテンツの制作・提供
インテック:イベントDXプラットフォームの構築・提供
【検証結果】
1.イベント・エンタメ領域におけるSSI活用
従来は、ファン専用サイトを提供する際に、ユーザーの年齢や趣味といった個人情報を企業側で保持する必要があったが、SSIを利用することでユーザー自身での個人情報管理が可能になり、情報提供を必要最低限に抑えた形で、同等の仕組みを提供できることが確認できた。
2.複数会場を回遊するイベントにおけるSSI活用
SSIによるデジタルIDを発行することで、従来、イベント企業側が参加者の個人情報を保持していない場合に確認が困難だった参加者証明や、大阪茶屋町一帯に設置された複数会場の回遊履歴の確認が、個人情報を保持することなく可能となったことを確認した。
3.大規模イベントにおけるシステム負荷耐性の検討
2,500人を超える本イベントにおける「デジタルID発行」「限定コンテンツの閲覧」システム負荷耐性は想定範囲内であり、サーバ台数を増やすなどのシステム冗長化により数千人規模のイベントでも対応可能であることを確認した。
■実証実験で利用したイベントDXプラットフォームについて
イベントDXプラットフォームは、IPを保有するイベント企業が、参加者の個人情報を保持せずにイベントを運営できるようにするための仕組みで、以下のシステムで構成されている。
1.デジタルIDウォレットアプリ「わたしID」
インテックが提供するデジタルID管理プラットフォーム「わたしID」は、単なるデジタルIDウォレットアプリとしてだけではなく、企業がSSIの考えに則ったデジタルIDを簡単に導入できることが特長で、デジタルIDの発行および検証を行うための認証APIの基盤、エンドユーザーがデジタルIDを管理するための同名のスマートフォン用デジタルIDウォレットアプリから構成されている。
本実証においては、イベント参加者が後述の「謎解きクイズスタンプラリーシステム」と「デジタルコンテンツ配信システム」にアクセスするためのデジタルIDの管理を行った。
2.謎解きクイズスタンプラリーシステム
イベントのストーリーやクイズ内容を表示・提供するシステム。本実証では、イベント参加者が謎解きクイズの各会場に掲示された二次元コードを読み取ることで、クイズ内容などが表示される仕組みとなっており、クイズの正解ごとに「わたしID」とAPI連携して各会場限定のデジタルIDの発行を行った。
3.デジタルコンテンツ配信システム
イベント参加者のみが閲覧できる特別なデジタルコンテンツが掲載された配信システム。本実証では、イベント参加者が謎解きクイズの各会場で取得したデジタルIDカードを本システムに提示することで、イベント参加者であることを証明できる仕組みとなっており、「わたしID」とAPI連携してイベント参加者限定にコンテンツ配信を行った。
■今後の展望
インテックは、Web3.0時代におけるデータ授受の在り方を創造して、次世代デジタルID(SSI)を活用した新たな情報流通の仕組みの更なる企画・検討を進めていく。
その中でエンタメ領域では、今回の実証実験で見つかった課題やフィードバックへの対応など、本仕組みの精緻化を図り、イベント・エンタメDXの進展に貢献するサービスを検討していく予定。
■株式会社毎日放送からのエンドースメント
毎日放送は社会に、人々に新たな価値を提供し続ける企業でありたいと思っております。今回はインテック様と組んで、Web3.0時代の新たな技術に弊社のエンターテインメント力をかけ合わせる実証実験を実施し、エンタメの新たな発信方法を試すことができました。今後はこの結果をアップグレードして、地域活性化という社会課題への新たな価値を創造し続けていきます。
株式会社毎日放送 末永久人
※記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標。
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■株式会社インテックについて
お客様の経営戦略に沿った情報化戦略の立案からシステムの企画、開発、アウトソーシング、サービス提供、運用保守まで、IT分野において幅広く事業を展開。インテックは、1964年の創業以来培ってきた技術力をもとに、AI、RPA等のデジタル技術の活用や、新たな市場の創造にも積極的に挑戦している。常にオープンな姿勢で、人、企業、社会を技術でつなぎ、自らも変革しながら「豊かなデジタル社会の一翼を担う」企業としてお客様に新しい価値を提供していく。