TVer、再生数4億5000万回突破で成長に加速!2024年度の注力領域も発表〜TVer Biz Conference 2024レポート<その1>
編集部
左から)株式会社TVer広告事業本部プロダクト統括 大野祐輔、取締役サービス事業本部長 薄井大郎、代表取締役社長 若生伸子、常務取締役COO 蜷川新治郎、執行役員広告事業本部長 古田和俊、広告事業本部営業部長 次郎丸達也
株式会社TVer(以下、TVer社)のオンラインカンファレンスイベント『TVer Biz Conference 2024』が、2024年4月25日に開催。民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」(以下、TVer)のサービス概況をはじめ、TVer広告の開発ロードマップ紹介、広告主や放送局の担当者らを交えたトークセッションが行われた。
この中から本記事では、株式会社TVer 取締役 薄井大郎氏による「TVerサービス概況」の模様をレポート。このセッションではTVerサービスの概要、2023年度のトピックス、2024年度の注力領域が述べられた。
■再生数「4億回突破」から2ヶ月で4億5000万回突破!右肩上がりがさらに加速
現在TVerでは、民放すべての系列をまたぐ750番組を見逃し配信。基本の配信期間は放送から1週間だが、「一部のバラエティやドラマでは1ヶ月にわたって視聴可能なものもあるなど、より長くご覧いただける作品がこの1年間で多くなってきた」と薄井氏は語る。
今年1月には月間ユニークブラウザ数が3500万を突破し、ダウンロード数も7000万件に到達。月間再生数は今年1月に4億回、さらに3月に4億5000万回を突破するなど、ハイペースの右肩上がりが続いている。
ユーザー構成比は引き続き人口形態に近い形で分布。デモグラフィック別の構成比ではM2(男性35〜49歳)、F2(女性35〜49歳)層がボリュームゾーンとなっている。
「最近はバラエティやスポーツライブといったコンテンツが充実してきていることもあり、若年層、特に男性層の割合も増加している。アンケート調査では、無料ということもあってか、若年層ほど、TVerの認知や利用意向が高いという結果が出ている」(薄井氏)
■強化進むコネクテッドTV対応「2人以上で視聴され、1再生あたりの価値が大きい」
普及が進むコネクテッドTVへの対応もますます充実が進んでいる。
デバイスを横断してお気に入りなどのユーザー情報を適用できる「TVer ID」機能のひとつであり、コネクテッドTVと設定を連携できる「TVerリンク」は、これまで各放送局単位であった設定が2023年10月に民放5系列まとめての設定に対応。
リモコンへの「TVerボタン」搭載については、2023年4月にAmazon「Fire TV Stick」が対応し、ほとんどのメーカーのテレビデバイスへの搭載が実現した。
コンテンツ面の強化も進んでおり、2023年にはコネクテッドTVでも一部スポーツのライブ配信を実施。現在、TVer全体における総再生回数のうち、33.4%以上がコネクテッドTV経由となるなど、視聴環境としての存在感が増し続けている。
「コネクテッドTVでの視聴ユーザーは平均1.7人となっており、他サービスと比べても2人以上で視聴される割合が非常に高い」と薄井氏はいい、「1再生あたりの価値が大きい点が、TVerにおけるコネクテッドTV利用の特徴」と強調する。
■ドラマ、バラエティがユーザー増を牽引、リアルタイム配信は報道面での活用広がる
続いて薄井氏は、2023年度のコンテンツ展開について紹介。ドラマ、バラエティ、スポーツ、アニメ、ニュース、オリジナルコンテンツの6分野に分けてトピックを紹介する。
このうちドラマは1〜3話の常設配信やスピンオフが充実し、ドラマの人気過去作を大量に配信する「名作ドラマ特集」も人気。ジャンル、放送年代別など、さまざまな軸での視聴導線で再生数・ユニークブラウザ数を伸ばしている。「最近は1話のダイジェストを配信するケースが多く、タイムパフォーマンスを重視する若年層にとっても視聴のきっかけになっている」(薄井氏)
バラエティも「週によってはドラマを上回る再生数を記録することもある」といい、ドラマに次ぐ大きな柱に。ローカルエリアのバラエティ番組を含め、M1(男性20〜34歳)層を中心に視聴ユーザー数を伸ばしている。2023年度は『M-1グランプリ』準々決勝からの敗者復活戦で約90組のネタを配信。ユーザー投票1位のコンビが準決勝に進む「ワイルドカード企画」など、TVer独占の大型企画を実施し、多くの視聴者を獲得した。
リアルタイム配信は『報道ステーション』『WBS』などのニュース番組を地上波同時配信のほか、2024年1月1日の能登半島地震や、4月3日の台湾大地震による沖縄への津波警報発令など、災害時の報道特番でも活用の動きが広まっている。
「期間限定で『日テレNEWS24』『TBS NEWS DIG powered by JNN』の24時間ニュース配信の実証実験も行われるなど、少しずつだが有事における使われ方にも広がりを見せている」(薄井氏)
■“民放公式”の強み活かした企画を実施。TVerアワードではローカル軸での特別賞も
民放公式テレビ配信サービスとしての強みをフル活用したTVerオリジナルコンテンツの展開も活発だ。
2023年9月に配信を開始したTVer初オリジナルドラマ『潜入捜査官 松下洸平』では、俳優の松下洸平が「実は潜入捜査官として芸能活動を行っている」という設定で各局の人気バラエティ番組へ出演。その模様をドラマとして撮影、配信した。「制作においては各放送局さんの協力が不可欠。TVerだからこそ実施できた企画」と薄井氏は語る。
2024年3月からはTVer初となるデイリーでのスポーツニュースのライブ配信『すぽると! on TVer』がスタート。ライブ配信はコネクテッドTVでの視聴にも対応している。また、毎日のライブ配信後には見逃し配信も実施。大谷翔平選手らが活躍するMLBや国内の野球などを中心に、地上波では見られないシーンを余すことなく届けている。
また、キャンプ、グルメなど、さまざまな興味関心のテーマに沿って番組をまとめる特集企画も人気。「ドラマ、バラエティ、アニメなど、ジャンルにとらわれず、ローカル局制作コンテンツも含めて新しいコンテンツとの出会いの場にもなっている」と薄井氏は強調する。
1年間に最も再生された番組を表彰する「TVerアワード」ではドラマ部門で『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ)、バラエティ部門で『水曜日のダウンタウン』(TBS)が大賞を受賞したことに加え、さまざまな軸での「再生数1位」番組を表彰する特別賞が登場。「『TVer』とともに検索された番組名 検索1位」として『VIVANT』(TBS)が受賞した。
このほか、「関西の放送局制作のバラエティ番組 総再生数1位」は『相席食堂』(ABC)、「東京・大阪以外の放送局制作 全国ネットでない番組 総再生数1位」は『いろはに千鳥』(テレ玉)が受賞。キー局のみならず、ローカル局制作番組に広くスポットが当たった。
「2023年のTVerリアルタイム配信 総再生数1位」は『SMBC日本シリーズ2023』が受賞。スポーツコンテンツの人気の高さを裏付けた。
■2024パリ五輪はTVer単独配信、新機能「カテゴリホーム」でファン向け導線創出
最後に薄井氏は、TVerにおける2024年度の注力領域について説明。中でも今夏に開催されるパリ2024オリンピックへの注力、新機能「カテゴリホーム」の活用を挙げる。
これまでのオリンピック関連配信は民放オリンピック公式動画サイト「gorin.jp」を通じて行われてきたが、パリ2024オリンピックでは初めてTVer単独配信を実施予定。地上波放送との同時配信をはじめ、TVerアプリでの一部競技ライブ配信を行う。
「パリと日本は時差が大きいため、ライブ配信だけでなくハイライト動画のオンデマンド配信に対する需要も大きいと見込んでいる」と薄井氏。「オリンピックをきっかけにTVerへアクセスしたユーザーが継続して利用していただけるよう注力していきたい」と期待を語る。
TVerの新機能である「カテゴリホーム」は、ドラマ、バラエティなど、ジャンルごとに分類された新たなホーム画面。
「ジャンルごとのファンがいつアクセスしても楽しめる場所を作っていくことを今年度は目指していく」と薄井氏は述べ、「今後、この『カテゴリホーム』の1つとして、地域ごとのローカル番組をまとめていく、ということも有り得るかもしれない」と、ローカルコンテンツに対する動線強化を示唆する。
さらに注力予定の項目として、「ライブ配信のさらなる強化」や「TVerの魅力を伝えるマーケティングやコンテンツPRの強化」を挙げた薄井氏。「月間ユニークブラウザ数3500万を達成した2023年度に続き、今年度はさらなる成長を目指す」とし、「なくてはならない国民的サービスに少しでも近づいていきたい」と抱負を述べた。
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