日本テレビ、視聴率に加えインプレッション指標化を検討 「ARMプラットフォーム」は2024年度末のサービス開始
編集部
日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区、以下日本テレビ)は、地上波広告でインターネット広告と同様のリアルタイムなプログラマティック取引を実現するアドプラットフォーム(ARMプラットフォーム)の開発を進めていることを発表した。「ARMプラットフォーム」は2024年度末のサービス開始を目指しているという。
■背景
地上波を中心としたテレビ局の広告枠セールスは仕組みやルール、オペレーションにおいてアナログテレビ時代の商習慣を色濃く残し、取引もオフラインに閉じられてきた。一方でデジタル技術の目覚ましい進化によってインターネット広告と地上波広告の“差”は広がり続けている。そこで地上波在庫にアドテクノロジー ※1 を適用し、地上波広告の強みを活かしながらインターネット広告の利点を取り込むことを目指して「ARMプラットフォーム」の研究開発に取り組んできたという。
※1インターネット広告においてキャンペーンの効率を最大化・最適化するため、データを元に適切な広告枠を自動的に選定して配信等する技術全般
■放送数秒前の広告素材の即時決定と数理最適化モデルの活用
ARMプラットフォームではテクノロジーの活用によって放送の数秒前に広告素材を即時的に決定することが可能になる。そこで日本テレビはARMプラットフォームのコアテクノロジーとして広告枠と契約や広告素材の紐付けを自動化する“数理最適化技術”※2 の導入を検討。膨大なデータを処理できる最適化技術の導入によって契約時に決定した広告の露出量をリアルタイムの枠運用によって達成を目指すことや、特定のマーケティングKPIを自動的に最大化することを想定している。さらにユーザーは放送の直前まで広告素材を選択することが可能となり地上波広告枠の運用性が飛躍的に向上する。
※2 株式会社Fixstars Amplify(https://amplify.fixstars.com/ja/)と共同で数理最適による広告割り当てエンジンを開発中
■インプレッションベースの発注
広告取引の指標として「インプレッション ※3」の採用を検討している。これまで地上波広告は「視聴率」を主な取引指標として採用してきたが、スマートデバイスやコネクテッドTVにおけるインターネットを通じた動画コンテンツの視聴が増加しており、地上波広告とインターネット広告の統合的なバイイングに対応するために「インプレッション」の指標化を検討中。
※3インターネット広告においては広告が表示された回数を表す指標
■地上波×インターネット 統合在庫セールス
地上波広告とインターネット広告を組み合わせた「統合在庫」のセールスを開始する。これまで地上波とTVer であっても異なるルールや取引指標での広告枠セールスを行ってきたが、ARMプラットフォームの稼働とインプレッションベースの取引によって地上波広告をインターネット広告と同様に扱うことができるようになる。そこでブランドセーフティーな放送局コンテンツに限定した優良な統合在庫のセールスを実施する。
■地上波広告におけるオークション型の取引
地上波広告枠を用いたリアルタイムなオークション取引を目指す。ARMプラットフォームでは広告枠への契約や広告素材の紐づけが実際の放送の数秒前まで“直前化”されるため、リアルタイムデータに応じた効率や効果の見極めが放送間近まで可能となる。そこで直前入札によるオークション取引、RTB(リアルタイムビディング)の導入に向けた研究を行っている。
■ARM(アドリーチマックス)とは
2023年6月に営業局営業戦略センターにアドリーチマックス部を新設した。ARMではテクノロジーを活用して広告取引やオペレーション業務を高度化し、多様化するスポンサーのニーズにスピード感を持って対応することを目指している。
<黒崎太郎 取締役常務執行役員 コメント>
アドテクノロジーの急速な発達でインターネット広告の利便性が目立ってきていますが、最近の民放連研究所の調査では地上波広告が認知効率や購買率においてインターネット広告より優れているという調査結果も出ています。最新のアドテクノロジーを地上波広告にも適用していくことで、地上波広告の価値を高めていきたいと考えています。