メディアの未来を議論!見逃せない「INTER BEE BORDERLESS」セッション全貌
テレビ業界ジャーナリスト 長谷川朋子
■基調講演は多様なローカル局社長が語る“未来ビジョン”
今年もInter BEEの会場はメディアとエンターテインメント分野に関わるトレンドと多様な最新テクノロジー発信の場として熱気に包まれそうだ。59回目の開催となる今回、幕張メッセの6つの展示ホールを会場に、昨年よりも規模を拡大して2023年11月15日から17日の3日間開催される。国内外から出展者810社・団体、来場者数2万6901人を記録した昨年より、今年の出展者数は昨年比で25%の増加を見込む。
旬な話題を扱うコンファレンスも充実し、その数は100を超える。展示ホール4に位置する特別企画「INTER BEE BORDERLESS」内のオープンステージで行われるコンファレンスでは、多様なビジネスを生み出すメディアの現在と未来を繋げるプログラムが用意される。
「INTER BEE BORDERLESS」コンファレンスを象徴するセッションの1つとして企画されるのが「ローカル局社長が語る地域メディアの“未来ビジョン”」【11月16日(木)・13時~14時30分/国際会議場】と題した基調講演だ。東日本放送の藤ノ木正哉氏とCBCテレビの松波啓三氏、山陰中央テレビジョンの田部長右衛門氏、そして南海放送の大西康司氏という4人の社長を迎えて、未来へのビジョンを聞いていく。
本セッションを企画し、モデレーターを務めるNHK放送文化研究所メディア研究部研究主幹の村上圭子氏は「登壇して頂くのは、規模も状況も背景も、多様なローカル局です。地域内連携や地域を超えた連携などにも積極的に取り組まれています。画一的に語られがちのローカル局の将来像ですが、このセッションを通じて、選択肢の広がりを感じていただき、ご自身の局はどのような方向性か、状況と重ね合わせながら考えてもらえるような議論を目指します」と想いを語る。
「INTER BEE BORDERLESS」コンファレンスはこの基調講演が行われる中日の16日(木)を地域に焦点を当てた「LOCAL DAY」とし、また初日の15日(水)は「INTER BEE CONNECTED」から今年、企画名称を変更し、進化した新名称から名付けた「BORDERLESS DAY」、最終日の17日(金)は未来を語る「FUTURE DAY」と、曜日ごとにテーマを設定した。それぞれテーマに合わせて組まれたプログラムの注目ポイントも紹介していきたい。
■「BORDERLESS」「LOCAL」テーマも必見
「INTER BEE BORDERLESS」コンファレンス「 BORDERLESS DAY」のトップバッターは、電通メディアイノベーションラボが送る毎回好評を集める「配信・放送ボーダレスの時代~先行するオーディエンスにビジネス、制度は追いつけるのか~」【11月15日(水)10時30分~12時】だ。
同ラボ責任者で電通総研フェローの奥律哉氏がモデレーターを務め、同ラボ主任研究員の森下真理子氏と共に最新調査データが紹介されると共に、青山学院大学内山隆教授を迎えて、放送制度の在り方についてクロストークも試みる。
続くセッションも必見だ。「ウェブニュースの現在地~放送局のデジタル報道とプラットフォーム~」(11月15日(水)13時~14時30分)と題し、ウェブニュースを発信するテレビ局にとって関心度の高い話題を共有していく。
YouTube Japanの永原錬太郎 氏の講演からスタートし、後半はLINEヤフーの藤原光昭氏とテレビ朝日報道局の西村大樹氏を迎え、本セッションを企画した日本テレビ報道局所属の三日月儀雄氏がモデレーターを務める。
「BORDERLESS DAY」のキーワードは効果を最大化する“トータルリーチ”にある。3つ目のセッションはTVドラマのトータルリーチ戦略に焦点を当てた「ドラマの未来を変える、広告とデータアナリティクス」【11月15日(水)15時~16時30分】を送る。
関西テレビのコンテンツビジネス局局長竹内伸幸氏がドラマにおける収益化の新指標を明かすと共に、カンテレ制作ドラマ「魔法のリノベ」協力社のLIXILの五十嵐千賀氏がプロモーション効果を報告、またREVISIO共同創業者の河村嘉樹氏が検証データを発表する。モデレーターは筆者の長谷川朋子が務める。
2日目の「LOCAL DAY」は「ローカル局の地域課題解決ビジネス〜地域の声が未来を紡ぐ〜」【11月16日(木)10時30分~12時】から始まる。地域や地元に注目した放送外の取組みが増えるなか、そんな地域解決ビジネスを展開するローカル局を迎えて、今後担うべき新たな役割を考えていくものになる。
札幌テレビ大阪しの氏、メ~テレ安藤全史氏、宮崎放送グループのトレードメディアジャパン市原智氏、岡山放送篠田吉央氏を迎えて、本セッションを企画したTVQ九州放送永江幸司氏がモデレーターを務める。
地域メディアとしての重要度が増すケーブルテレビに注目するセッションもある。「CATV発、地域“超”密着コンテンツの作り手に学ぶ、地域メディアの可能性」【11月16日(木)15時~16時30分】だ。
日本ケーブルテレビ連盟の協力により、同連盟常務理事二瓶浩一氏がモデレーター役となって、創造性あふれる3人の作り手として、ひまわりテレビと組んだ元日本テレビプロデューサーの土屋敏男氏、長崎ケーブルメディア大野陽一郎氏、アマゾンラテルナ貝本正紀氏が登壇する。
■10年先も見据える「FUTURE DAY」
最終日となる3日目の「FUTURE DAY」もタイムリーなものが揃った。昨年の基調講演で好評を博したテーマを深掘りする「FAST・CTVの海外最新動向と日本のリアル」【11月17日(金)10時30分~12時】セッションからスタート。各国で急成長する無料広告型リニア配信サービス「FAST」とネット結線されたテレビ「CTV」の最新トレンド情報を包括的に捉えていく。
SHIFT社の奥村文隆氏とPwCコンサルティングの山畑健太郎氏、そして筆者の長谷川朋子をパネリストに、本セッションを企画したTBSテレビの高澤宏昌氏が進行する。
さらに、配信サービスのキーマンが集まる「配信サービスはVODの次に進むか」【11月17日(金)13時~14時30分】と題したセッションも見逃せない。
U-NEXT取締役COO本多 利彦氏とフジテレビジョンプラットフォーム事業部長の野村和生氏、TVer常務取締役COO蜷川新治郎氏をパネリストに迎え、「INTER BEE BORDERLESS」コンファレンスの主査を務めるメディアコンサルタント境治氏がモデレーター役となり、日本の配信市場の今後の方向性を占っていく。
トリは「FUTURE」のさらに先を行くような内容で攻める。「テクノロジー視点で放送業界の“ブループリント”を構想する」【11月17日(金)15時~16時30分】と題し、村上圭子氏による企画・モデレーターで、コンサルタントの「企」クロサカタツヤ氏と元TBSで株式会社イコーゼの大吉なぎさ氏、NHK財団の上級研究員武智秀氏を迎えて議論を進める。
さらに、時間が許す限り、会場を巻き込む参加型セッションも予定されている。柔軟な発想力で10年先のメディアの全体像を共に考える場が期待される。
「INTER BEE BORDERLESS」コンファレンスはメディアの現在地を確かめながら、ビジョンを描き、仲間と共有できる場として機能することを狙う。主査の境治氏、村上圭子氏、高澤宏昌氏、永江幸司氏、三日月儀雄氏、そして私、長谷川朋子のメンバーで企画作業し、準備を進めている。ぜひ会場でお会いしましょう。
「INTER BEE BORDERLESS」各セッションの詳細;
https://www.inter-bee.com/ja/forvisitors/conference/borderless/
https://www.inter-bee.com/ja/magazine/special/detail/?id=56397
https://www.inter-bee.com/ja/magazine/special/detail/?id=55954
https://www.inter-bee.com/ja/magazine/special/detail/?id=56050
https://www.inter-bee.com/ja/magazine/special/detail/?id=55659
https://www.inter-bee.com/ja/magazine/special/detail/?id=56343