TBSテレビのゲームブランド「TBS GAMES」の“強み”とは? 担当者インタビュー
編集部
左から)木村萌氏、蛭田健司氏、福田健太郎氏、渡辺匠氏、鳥居翔氏
TBSテレビは2023年7月5日、自社ゲームブランド「TBS GAMES」のティザーサイトをオープン。TBSグループが進めるオリジナルIPの開発・拡張戦略「EDGE(Expand Digital Global Experience)」の一環として、ゲーム事業へ本格参入すると発表した。
本記事では、同局「TBS GAMES」事業の中心メンバー、蛭田健司氏(株式会社TBSテレビ 特任執行役員 / 「TBS GAMES」事業責任者)、福田健太郎氏(株式会社TBSテレビ 総合編成本部 新規IP開発部 部長)、渡辺匠氏(株式会社TBSテレビ 総合編成本部 新規IP開発部 部次長 /eスポーツ研究所 所長 / アニメ映画イベント事業局 映画事業部)、鳥居翔氏(株式会社TBSテレビ 総合編成本部 新規IP開発部)、木村萌氏(株式会社TBSテレビ 総合編成本部 新規IP開発部)にインタビュー。テレビ局としてゲーム事業への参入を決めた経緯をはじめ、メンバーそれぞれが考える“強み”、今後の展望までを伺う。
■「まだTBSが取り組んでいないことは?」社内の声から生まれた「TBS GAMES」
──「TBS GAMES」事業立ち上げの経緯をお聞かせください。
渡辺氏:昨年よりTBSテレビでは「新規IP開発部」を設け、社内のさまざまな部署から集まったメンバーでIPコンテンツの創出に関する検討を行ってきました。TBSグループ全体がオリジナルIPの開発・拡張を掲げるなか、「まだTBSが取り組んでいないことは何か」とメンバーで議論したところ、「ゲーム事業」を挙げる声が多くあり、これが「TBS GAMES」立ち上げのきっかけとなりました。
これまでも、TBSが外部の企業様にライセンス許諾を行うかたちでゲームをリリースした事例がありましたが、今回は自社としてしっかりゲーム事業に取り組むという姿勢を明確にするため、自社ブランドとして「TBS GAMES」を立ち上げました。
──TBSテレビが制作する番組を始め、日々蓄積される膨大なコンテンツを活用される予定などはありますか? 現時点での構想をお聞かせください。
鳥居氏:まだ現時点では多くを語れないのが恐縮ですが、TBSテレビの人気バラエティ番組や、番組内コーナーのゲーム化企画などをいくつか進めています。
蛭田氏:これまでTBSではドラマの映画化、番組のイベント化やグッズ化といった展開を多数行ってきましたが、ゲーム化や、逆にゲームを題材とした番組の制作については未踏でした。ここからの大きな一歩として、「TBS GAMES」ではゲームを入り口としたIPの創出、ゲーム発のオリジナルIP創出にチャレンジしていきたいと考えています。
■番組制作で磨かれた“ゼロイチ”のアイデア力、社内・グループ内の強い連携力を活かす
──「TBSテレビが取り組むゲーム事業」として、ここが強みだと思われる点をお聞かせください。
福田氏:コンテンツのプロが集結するTBSは、バラエティもドラマも“ゼロイチ”で創れる点が大きな特長です。さらに地上波テレビ・ラジオ・BS・CSなど、TBSグループが展開するさまざまな放送媒体を活かして、強いリーチ力でのプロモーションも可能です。日々の番組制作を通じて蓄積したアイデアや局としてのカラーを活かした「TBSならでは」の展開力は、他にはない強みであると思います。
渡辺氏:TBSは一つのIPの「多面利用」が得意な会社だと思います。グループ内にはクオリティの高いコンテンツづくりを支えるデザイナー、制作スタッフが多数在籍しています。今回オープンした「TBS GAMES」のティザーサイトや、社内を中心に掲示しているポスターも、TBSのデザイナーが手掛けたものです。
放送のみならず、TBSではイベントやマーチャンダイジング事業も盛んに行っていますし、グループ会社として音楽パブリッシャーの「日音」や、人気デジタル漫画プラットフォーム「マンガボックス」、アニメ制作会社の「Seven Arcs」、グッズやイベント展開を行う「TBSグロウディア」など、多くのコンテンツ関連企業を擁しています。多種多様な出面を持つ特長を活かし、開発したゲームIPをテレビのみならず、さまざまな形でお客様にお届けし、楽しんで頂けるのではないかと考えています。
蛭田氏:ドラマやバラエティの制作に携わるプロデューサー、ディレクターは、ゲーム制作においても、その魅力を見極める「目利き」としても力を発揮してくれると考えています。会社としても部署間の垣根が非常に低く、一人ひとりを周りでバックアップする風土が根付いているため、非常にスピーディーで多面的な展開が期待できそうです。
■「これからノウハウを積み上げていく」積極的な協業でデジタル・アナログ問わず展開
──7月5日にティザーサイトがオープンし、SNSなどでの情報発信もスタートしましたが、現時点では社外からはどのような反響が寄せられていますか?
木村氏:窓口担当として、日々企業様からのお問い合わせに対応していますが、「こんなにも『TBS GAMES』に興味を持ってくださる方がいるんだ!」とびっくりするほどたくさんのご連絡をいただいています。
蛭田氏:ティザーサイトオープンから1週間の時点で、160を超えるお問い合わせをいただきました。この勢いはいまも続いており、多くの企業様から大きなご関心をお持ちいただいています。
──さまざまなプラットフォームが登場し、ゲームに対するタッチポイントが増え続けていますが、「TBS GAMES」としてはどのようなリリース展開を予定されていますか?
蛭田氏:「TBS GAMES」では、特定のプラットフォームに限定しない、幅広い展開を行っていけたらと考えています。スマートフォンはもちろん、家庭用ゲームやブラウザゲーム、
PCゲームまで、あらゆるプラットフォームがリリース対象となります。デジタルに限らず、ボードゲームやカードゲームなど、アナログゲームでの展開も視野に入っています。
生まれたばかりの「TBS GAMES」は、ゲーム開発のノウハウをこれから積み上げていく段階です。ジャンルや展開の方法に制限を設けず、さまざまな得意分野をお持ちの企業様と広く協業させていただけたらと考えています。
■ゲームプロデューサーのキャリア採用を実施中「ゲーム業界の方を積極的に迎えたい」
──最後に、「TBS GAMES」にかける意気込み、読者のみなさまへのメッセージをお聞かせください。
福田氏:これまで取り組んできた番組作りとはまったく異なる、ゲーム開発という領域へ新たに入らせていただくにあたり、これまで持ってきた価値観や先入観を一切捨てたいと思っています。まっさらな新参者として、いろいろ勉強をさせていただきながら、一つひとつ積み重ねていきたいと思います。
木村氏:SNSを通じて、「TBS GAMES」に対するさまざまなご期待やご意見の声を目にしました。本当にゼロからの立場ですので、いただいた声を全部吸収する勢いで取り組んでいきたいと思います。
渡辺氏:蛭田の話にもありました通り、「TBS GAMES」ではさまざまな企業様との協業を通じて幅広い展開を行っていきたいと考えております。少しでもご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせ、ご提案をいただければ幸いです。世界で愛される日本発のIPをゲームで作っていきたいと思います。
鳥居氏:「テレビ局がゲーム開発に参入する? 畑違いじゃないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。現在「TBS GAMES」ではゲーム業界で活躍されている方々を対象としたキャリア採用を積極的に実施し、ノウハウの取り入れを行っています。ゲームファンのみなさまにご満足いただけるゲームを作って行こうと思いますので、ぜひご期待いただければ幸いです。
蛭田氏:私自身、ゲーム業界からTBSへ転身した身ですが、実際に入社してみると、部署やグループの垣根を感じさせない協力関係の強さに感銘を受けました。いまは毎日の出社が楽しみで仕方ありません。こうした会社全体の前向きの雰囲気は、事業の成功にとっても大きな礎となっていくと思っています。
現在、「TBS GAMES」ではゲームプロデューサーのキャリア採用を行っております。ゲーム業界でご活躍の方々で、私たちの事業にご興味をお持ちいただける方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご応募ください。