TVer×KINTO~新たな価値を創造する両社の広告戦略~ TVer Biz Conference 2023レポート
編集部
左から)モデレーター:フジテレビアナウンサー海老原優香氏、株式会社KINTO 代表取締役社長 小寺信也氏、株式会社TVer 取締役 COO 蜷川新治郎氏
株式会社TVer(以下、TVer社)のオンラインカンファレンスイベント『TVer Biz Conference 2023』が、2023年4月27日に開催。民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」(以下、TVer)のサービス概況をはじめ、TVerにおける新たなタイアップ広告事例やTVer広告の開発ロードマップの紹介、さらに広告主や放送局の担当者らを交えたトークセッションなどが行われた。
この中から本記事ではトークセッション「TVer×KINTO~新たな価値を創造する両社の広告戦略~」の模様をレポートする。登壇者は株式会社KINTO 代表取締役社長 小寺信也氏と株式会社TVer 取締役 COO 蜷川新治郎氏。モデレーターは、フジテレビアナウンサー海老原優香氏が務めた。TVer完全オリジナル番組『褒めゴロ試合』へのKINTO社“一社提供”の経緯を中心に、広告メディアとしてのTVerの強み、KINTO社が目指す広告戦略について語った。
■「じっくりサービスの中身をアピールしたい」KINTOがTVerを出稿先に選んだ理由
株式会社KINTOが提供するサービス「KINTO」は、自動車のサブスクリプションサービス。2019年のサービス開始時はサービス名が一般的に知られておらず、「認知のため、KINTOという名前を売り込むパターンのテレビCMを数多く出稿していた」と小寺氏は語る。
2〜3年を経過し、認知を広げることには成功したが、「今度は『KINTO』という名前は知っているものの、それが何のサービスかがわからないという声が聞こえた」と小寺氏。「じっくりとサービスの中身をアピールしたい」と思いを抱くなかで、TVerが持つメディアとしての特性に強く惹かれたという。
「なんとなくテレビを見ている人々に伝えるよりも、TVerには自らアクセスして一生懸命に番組を見ているお客様がいる。さらに広告がスキップされないので、CMの中身がきっちりと頭の中に入る。TVerならば、お客様との間で密度の濃いコミュニケーションができるのではないかと考えたのです」(小寺氏)
これに対して、「多くのインターネットサービスがあるなか、TVerには『テレビ局が集まってコンテンツを作っている』という強みがある」と蜷川氏。「コンテンツにおいてもCMの挿入タイミングがきちんと考えられており、CMがスキップされないのでじっくりと見ていただくことができる」と、そのメリットを語る。
「ファクトチェックされた非常に質の高いコンテンツを提供することで、広告主様のブランドリフトに貢献しやすい環境が整っています。昨今、アドフラウド(不正広告)問題が取り沙汰されていますが、TVerでは広告そのものに関しても放送と同等の考査を行い、出稿によって広告主様のブランドが毀損されないことを強く意識しています」(蜷川氏)
■“一社提供”の完全オリジナル番組で「本当に伝えたいメッセージを一緒に作る」
2023年1月にスタートしたTVer完全オリジナル番組『褒めゴロ試合』では、KINTO社が “一社提供”のスポンサーとして参加。ユニークなアニメーションでの提供クレジット表示や、番組とのタイアップによるオリジナルCMなど、KINTOのブランドを視聴者に強く印象づける仕掛けがふんだんに盛り込まれている。
「通常のテレビ番組をスポンサードすることも選択肢として考えていたが、密度の濃いコミュニケーションをしようと考えると、ターゲットにはまる番組がなかなか見つからなかった」と小寺氏。「人気の番組は複数のスポンサーがついていることも多く、そのなかで一社提供という形をとることが難しかった」というなか、TVer完全オリジナル番組立ち上げの提案を受け、大きな魅力を感じたという。
「TVerのスタッフのみなさんの表情がとても自信に満ちており、『絶対にいい番組を作ります!』と力強い言葉をいただきました。KINTOもマーケティング戦略としていろいろ新しいことにトライしたいと思っていたので、『ここは1回やってみよう』と、一社提供へのチャレンジに踏み切りました」(小寺氏)
「ユーザーコンテンツを集めるという性質のUGC(ユーザー生成)プラットフォームに対し、TVerの場合はテレビ局というプロフェッショナルが自分たちでコンテンツを作り出す環境」と蜷川氏。「本当の意味で広告主様が伝えたいメッセージに寄り添ったコンテンツを、一緒になって作っていくことができる」とし、「この部分をわれわれの大きな特長として打ち出していきたい」と強調する。
■今までの放送ではできなかった新しい表現で、広告の価値を新しく生み出す
「KINTOが提供するサービスは『車をサブスクリプションで利用する』という、これまで世の中になかった発想であり、なかなか理解していただきづらいところがある」と小寺氏。「だからこそ、今回のようにTVerさんと一緒になってコンテンツを作っていくというアプローチがとても有効にはたらいている」と力を込める。
「先日開始した『KINTO Unlimited』は、納車後も車のソフトウェアやハードウェアを継続的にアップデートし、進化させていく新サービスです。しかし、仕組みの説明がなかなか難しく、15秒のテレビCMではその魅力を十分にお伝えしきれない。だからこそ、今回の『褒めゴロ試合』のようにコンテンツを通じてお客様と深くコミュニケーションし、われわれのことをよりご理解いただくことにチャレンジし続けていきたいと思います」(小寺氏)
「今回、KINTOさんと一緒にコンテンツを作らせていただくなかで、本編のみならずCMの制作もTVerが手掛けたり、オリジナルの新しい提供クレジット表示を試みたりと、新たなトライが生まれた」と蜷川氏。「今までの放送では提供できなかった、精度の高いターゲティングや新しい表現に、インターネット広告媒体として、当たり前のように取り組んでいきたい」と意気込みを語る。
「KINTOさんのような広告主様とご一緒させていただくことで、広告の価値を新しく生み出していきたい」と蜷川氏。「それがユーザーの皆様にとって有益なものになり、広告主様のメッセージが伝わる素晴らしいメディアにTVerを成長させていけたらと思います」と結んだ。
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