ニールセン、消費者のマルチスクリーン利用状況、コンテンツの視聴動向を発表
編集部
視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区)は、消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2022 (Nielsen Digital Consumer Database 2022)」をもとに、デジタルコンテンツの視聴動向について分析結果を発表した。
消費者のメディア視聴環境が多様化するにつれ、様々なデバイスやプラットフォームで費やされる視聴時間の分散化が続いている。中でもインターネット上の動画視聴は今までも多くの注目を集めてきたが、特に近年はSNSでも動画を視聴する機会が増加し、ショート動画の人気が高まるなど、さまざまな形態での動画視聴が定着しつつある。
動画視聴環境が多様化し続ける中で、消費者に効率的にリーチするだけでなく、共感を得るためにはどのようなことを考慮すべきなのか。
消費者の動画視聴動向を把握する上では、投稿動画サービスや有料動画サービスに注目されがちだが、SNS上での動画視聴に注目することも重要だ。実際に2022年の9月時点では40%のインターネット利用者が主要SNS上で動画を視聴し、若年層ほどその傾向は強く、30代以下では62%がSNS上で動画を視聴していた(図表1)。
その中でも30秒以上の動画が最も多いものの、30秒未満の短編の動画は昨年から7ポイント増加し60%に利用されている。数年前に「Instagram」にリール機能が追加されるなど、各サービスでの機能追加によって短編動画視聴は着実にSNS利用者の中で定着してきていることがわかる(図表2)。
短編動画の場合、限られた時間の中で様々なコンテンツを手軽に楽しむことができるため、短編動画視聴者はより短い時間の中でより多くの情報を得ることを重視していることが考えられる。自分の好きなコンテンツを中心に視聴する短編動画視聴者は、各メディアに費やす視聴時間の分散化を促し、自分の興味に合わせてコンテンツを部分的に選んでいることが考えられる。
実際にSNSで動画を利用する人では複数デバイスを利用する傾向も高く、インターネット利用者全体では43%の人が複数デバイスの同時利用経験があるのに対し、SNSで短編動画を視聴する人では60%にものぼっていた。また、テレビを視聴しながらのスマートフォン利用が最も多く85%、30秒未満の短編動画を利用している人ではその傾向が特に高くなっていた(図表3)。
消費者がどのようなタイミングでどちらのメディアに集中しているのかを考慮し、効率的にコミュニケーションを取るために、例えばテレビでは「音」で消費者の注目を惹くのに対し、デジタルではターゲットの関心の高いテーマを設定するなど、広告に注目してもらう方法を考えることが一層重要になっている。
ニールセン デジタルのシニアアナリストであるコヴァリョヴァ・ソフィヤは、「スキマ時間に利用できるような、短編動画の利用が増加傾向にあります。マーケティング担当者としては、新しく定着しつつあるサービスや機能が消費者に与えるメディア視聴環境の変化を把握し、効率的にコミュニケーションをとるためにも、その利用動向にあったメディアプランを設計していくことが重要になるでしょう。」と述べている。
調査は2022年9月2日~9月6日にかけて実施され、スマートフォン、パソコン、タブレット、従来型携帯電話のいずれかのデバイスを通して月1回以上インターネットを利用している日本全国の16歳(高校生)以上の男女、計2,745人を対象に調査を行った。