TVer、月間動画再生数2億5000万回突破!右肩上がりの成長を続けられる理由は? 〜TVer Biz Conference 2022レポート(第1回)
編集部
左から)古田和俊氏、龍宝正峰氏、良原安美アナウンサー、中島和哉氏、矢部怜史氏
株式会社TVer(以下、TVer社)のオンラインカンファレンスイベント『TVer Biz Conference 2022』が、2022年4月27日に開催。同月1日にフルリニューアルを実施した民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」(以下、TVer)のサービス概況をはじめ、急激な成長を続ける「TVer広告」の戦略方針、広告主や放送局の担当者らを交えたトークセッションなどが行われた。
TVer社からは、同社代表取締役社長・龍宝正峰氏、取締役・須賀久彌氏、プロダクトオーナー室 室長・中島和哉氏、広告営業部長・古田和俊氏、同広告営業部・矢部怜史氏、伊藤有弥氏が登壇。司会進行役はTBSテレビの良原安美アナウンサーが務めた。トークセッションでは動画広告の活用法、リアルタイム配信の現状と今後がテーマに掲げられた。
本イベントの模様は、全4回にわたりお届けするが、第1回となる本稿では、中島氏によるTVerのサービス概況、古田氏による「TVer広告」の戦略方針プレゼンテーションをレポートする。
■TVerサービス概況:月間動画再生数は2億5000万回突破 右肩上がりの成長を堅持
TVerの2022年3月の月間動画再生数は、歴代最高記録となる2億5000万回を突破。アプリのダウンロード数も堅調に推移し、5000万ダウンロード達成が目前となった。一方、月間アクティブユーザー(MAU)は、TVer単体で昨年度比122%となる1846万を突破。総再生回数も昨年度比166%と、右肩上がりの勢いを保ちつづけている。
デバイス別の総再生回数では、コネクテッドTV(CTV)を経由しての視聴が25%以上に伸長。テレビデバイスを大きな存在感を示しているとした。
この状況の背景として、中島氏は「安心安全なテレビコンテンツを大画面のテレビを楽しみたいというユーザー行動が現れている」と解説。コロナ禍による巣ごもり需要やホームエンターテインメントへのニーズの高まりとともに、テレビ画面を通した視聴ニーズが根強い状況を示した。
さらに中島氏は、デモグラフィック別のユーザー構成グラフを紹介。ティーン層(13〜19歳)の利用比率が昨年の6.2%から10.2%と約2倍に伸長し、若年層の利用が急増していることをアピールした。
■500番組以上をレギュラー配信。局横断企画やTVerオリジナルコンテンツも
TVerでレギュラー配信中の番組は、昨年度比で350番組から500番組へと1.5倍に拡大し、4月11日からは民放5局によるリアルタイム配信もスタート。中島氏は関東エリアの番組表を示しながら、「見逃し配信も含めると、全国ネットで放送されるGP帯番組のほぼすべてをカバーしている」と胸を張る。
四半期ごとに展開される局横断型の特集企画「TVerフェス」では、過去作をふくむ各局のドラマ・アニメ・バラエティに加え、既存番組のスピンオフをはじめとしたTVerオリジナルのコンテンツを配信。TVerにて最も視聴された番組を表彰する「TVerアワード」の開催など、積極的な導線作りが行われている。
ローカル番組の認知拡大と価値向上に向けた施策としては、関西エリアの人気のバラエティ番組を特集する「大阪おもろ祭」企画のほか、「このローカル番組がおもしろい!」と題して、熱狂的な人気を誇るローカルバラエティを特集。一部の番組にはTVerの社員が出演し、再生ランキングの順位やお気に入り登録をアップさせる方法を制作スタッフとともに考えるなど、ローカルコンテンツ全体を盛り上げる取り組みが進められている。
さらに中島氏は、ライブ配信の取り組みとして、リアルタイム配信スタートを機にスタートした中継企画「Special Live」を紹介。世界最大のエクストリームスポーツ大会「X Games」やプロ野球「巨人vs阪神戦」の中継を紹介し、「今後も各放送局の協力を得ながら、放送に載らないようなコンテンツや、放送以外のコンテンツも積極的に配信していく」とアピールした。
■「TVer ID」でデバイス間の横断視聴を実現。将来の機能拡張に向けバックエンドも刷新
プレゼン終盤、中島氏は4月1日に実施したTVerのフルリニューアルについて紹介。新たに実装された「TVer ID」では、異なる複数のデバイス間で視聴状況やユーザー設定の同期が可能となったほか、リアルタイム配信を任意の箇所から再生する「追っかけ再生」の実装など、利便性の大幅な向上を強調した。
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「ユーザー機能に加え、サービスの運営を司る管理画面などのバックエンドシステムもすべて一新した」と中島氏。
今回のフルリニューアルは、「今後の機能拡張に備えるためのリニューアルという位置づけである」とし、「デバイス編成、コンテンツを基軸に、これまでのテレビの枠を開放した、様々なコンテンツ体験の提供を目指していきたい」と結んだ。
■急成長するTVer広告、売り上げは昨対比約20倍に
続いて古田氏が、TVer広告の現状を紹介。昨年4月の正式セールス開始以来、この1年間での契約社数は、メディア広告の「TVer広告」、運用型広告の「TVer PMP」合わせて、広告主533社、広告会社200社に達し、「テレビコンテンツと相性の良いエンタメはもちろん、ほぼすべて業種のお客様とお付き合いできている」と語る。
「TVer広告」に関して古田氏は、2022年3月時点の売り上げが昨年比で約20倍に達したと発表。急伸の背景として「サービス自体の成長」「コネクテッドTV利用者の増加」「ファーストパーティデータの拡充」を挙げる。
ユーザーデータの取得が難易化する現状に言及しつつ、古田氏は「コネクテッドTVにおいてファーストパーティデータを用いたターゲティングが行える点が『TVer広告』の大きな強み」とアピール。「コンテンツジャンルでのターゲティングに加え、ユーザーの興味関心アンケートを元にした広告配信も可能となっています」(古田氏)
「広告認知調査によれば、『TVer広告』の接触者は非接触者に比べて約228%の高いリフトアップ率をたたき出している」と古田氏。「今後も『TVer ID』を利用したクロスデバイスターゲティングや、既存ファーストパーティデータのさらなる拡充、新たなジャンルのデータ取得も進めていきたい」と展望を述べた。
■2022年度の「TVer広告」戦略方針:安全性の担保を継続しながら、コネクテッドTVマーケットでのナンバーワン獲得、プロダクト情報の発信強化に注力
2022年度における「TVer広告」の戦略方針について、古田氏は「安心安全な広告プラットフォームの提供」「コネクテッドTVのマーケットでのナンバーワン」「プロダクト情報の発信強化」の3点を挙げる。
「安心安全な広告プラットフォームの提供」については、「TVerはJIAA(日本インタラクティブ広告協会)への加盟や、JICDAQ(デジタル広告認証機構)による認証を通じ、広告媒体としての安全基準を遵守している」と古田氏。「コンテンツはもちろん、広告に関しても、放送局基準の厳しい業態考査を実施している」といい、「ブランド毀損がなく、安心して出稿いただけるプラットフォームになっている」と語る。
さらに古田氏は、マーケターを対象に行ったアンケートを紹介。「コネクテッドTV広告から想起される媒体として、『TVer広告」が1位に挙がった」という。
「テレビデバイスで観られることを前提に制作されているTVerのコンテンツは安全が担保されており、コネクテッドTVと非常に相性が良い。視聴デバイスの拡充やUI/UXの向上によって最適な視聴体験を提供し、コネクテッドTVマーケットでの売り上げナンバーワンを目指していきたい」(古田氏)
「プロダクト情報の発信強化」においては、「TVer広告」の魅力を定期的に発信する施策として、フリーアナウンサーの宇賀なつみ氏が出演する販促プロモーション動画を制作。概要を説明する30秒の短尺バージョン、すべての詳細な説明を盛り込んだ6分の長尺バージョンを「TVer広告」のオフィシャルサイトで閲覧できるとし、プレゼンの中で30秒バージョンをデモンストレーションした。
「今後は、定期的なプレスリリースなどに加え、媒体各社のイベント登壇などを通じて、『TVer広告』のアップデート情報を随時発信していく」と古田氏。「今後もみなさまのマーケティング活動に『TVer広告』を活用いただければと思います」と締めくくった。
〜テレビ局のプロが作った番組に最適なタイミングで配信〜
「TVerの運用型広告」
民放の番組を楽しめる「TVer」では、TVを始めとした様々なデバイスで最適な広告を配信することができます。
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