ニールセン デジタル、消費者の動画コンテンツに関する利用動向を発表
編集部
視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区)は、動画コンテンツと動画広告の利用動向調査「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2022(Nielsen Video Contents & Ads Report 2022)」を発売。そのレポートを元に若年層のリニアテレビとインターネット動画の視聴状況の分析結果を発表した。
ここ数年消費者のエンターテイメントの選択肢が増えるのと同時に、インターネット上での動画視聴にも多くの注目が集まっている。様々なメディアやプラットフォームで費やされる視聴時間が分散化するにつれ、多くのマーケティング担当者は消費者にリーチするための最善な方法を模索しつづけている。特に若年層においては、デジタル上の動画利用が拡大するにつれ、リニアテレビ視聴の減少が懸念されてきた。
多くの消費者にとって、インターネット上の動画はリニアテレビの代わりではなく、追加のエンターテイメントオプションとして利用されている傾向が伺える。インターネット動画の利用が拡大している中でも、若年層を含む消費者の多くは、毎日リニアテレビを視聴していることがわかる。
実際「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2022(Nielsen Video Contents & Ads Report 2022)」によると、35歳未満の約80%がリニアテレビを視聴し、半数以上は毎日視聴(図表1)。また、これらの若い視聴者のもう一つ重要な特徴として、リニアテレビを視聴しているだけでなく、様々な形式のインターネット動画を利用する傾向もあることがわかった。リニアテレビを視聴している35歳未満の人の70%以上が、インターネット投稿動画や無料のインターネット動画も視聴している(図表2)。
リニアテレビでリーチできない消費者とコミュニケーションする場合や、リニアテレビでは接触回数が少ない消費者に対してデジタル上で接触回数を増やすために、テレビとデジタルと組み合わせて活用している企業も多いのではないだろうか。場合によっては、テレビで放送している広告がYouTubeのようなプラットフォームで利用されることも少なくない。
ただし、特にリニアテレビを視聴する多くの若年層がインターネット上の動画サービスも利用していることを考えると、デジタル上で広告を配信することで必ずしもインクリメンタルリーチが改善され、目標どおりのリーチとフリークエンシーが獲得できるわけではない。場合によっては同じ人に過度に広告があたってしまう可能性もあるため、ブランド毀損につながってしまう可能性もある。そのため、マーケティング担当者は、より効率的に広告キャンペーンを実現するためにも、意図した人にリーチできているか、リニアテレビとデジタルの両方のメディアで接触した場合に過剰フリークエンシーになっていないかを評価するために、重複を除いた“人”ベースの計測指標で測定していくことが重要になる。
若年層の大多数がリニアテレビを視聴しているが、一方で23%は視聴していないこともわかっている。マーケティング担当者はこれらの層にリーチするために、どのようにコミュニケーションを設計していくべきなのだろうか。リニアテレビを視聴しない若年層は、利用するインターネット動画サービスの数も少ない傾向があり、31%は無料のインターネット動画や投稿動画などのカテゴリーのうち、1つの動画カテゴリーのみを利用する傾向がある。つまり、リニアテレビを視聴しない人が利用するインターネット動画サービスは分散化しているため、より多くの人にリーチするためには様々なサービスをメディアプランに取り入れることが必要になってくる。
また、リニアテレビ視聴者のうち82%の人は動画コンテンツを見ながら別のことをすることがあると回答しているが、非視聴者では63%にとどまっている。「バラエティ」「ニュース」「国内ドラマ」などのコンテンツは「ながら見」されやすい傾向があるが、このようなカテゴリーでもリニアテレビの非視聴者では、「ながら見」する割合は一桁にとどまっている。
つまり、リニアテレビを視聴しない人は、動画を視聴する際にコンテンツに集中して視聴する特徴があるため、コミュケーションを図る際にも、注目してもらい覚えてもらうきっかけに繋がりやすくなる。マーケティング担当者としては、このような動画コンテンツを活用することで、より効果的にコミュニケーションをしていく一つの手段になってくるだろう。
■ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アドレポート 2022(Nielsen Video Contents & Ads Report 2022)について
ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アドレポート(Nielsen Video Contents & Ads Report 2022)は、近年大きく変化してきている動画市場について、消費者の動画コンテンツの利用状況と動画広告に対する意識を調査することで、今日の消費者が、「どのような動画コンテンツを視聴し」「どのようなサービスを利用し」「どのような動画広告を求めている」のかを俯瞰できるレポート。
本調査は2022年3月7日~16日にかけて実施され、パソコン、従来型携帯電話、スマートフォン、タブレットのいずれかのデバイスを通して月1回以上インターネットを利用している日本全国の15才(高校生)以上の男女、約2,800人を対象に調査が行われた。
サンプル数は、上記4デバイスからのインターネット利用者の人口構成比によって割り当てられ、インターネットユーザーを代表するように割りつけられている。
また、2021年12月時点のPCおよびスマートフォンからのインターネット視聴率情報(PC版:ニールセン ネットビュー、スマートフォン版:ニールセン モバイルネットビュー)をもとに、消費者の記憶に頼らない各種動画サービスの利用実態(利用頻度や利用時間など)もレポートに含んでいる。