コネクテッドTVの普及率は?広告配信で必要な視点や海外の利用状況も解説
編集部
昨今、多くの家庭に普及し、新たなテレビの形として、放送以外のコンテンツを扱うことの出来る"コネクテッドTV"(Connected TV 略:CTV)が注目を集めていることをご存知でしょうか。民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」など、多くの動画配信サービスでもテレビ画面を使った使用率が上がってきており、今後もその勢いは増していくことが予想されます。
ここでは、長年にわたりテレビ放送の視聴率などを計測・分析・発信してきた株式会社ビデオリサーチに、コネクテッドTVとは一体何で、どのように使うものなのか。そして、国内外での利用実態や広告市場での特徴など、新たな視点と共に紹介してもらいました。
■コネクテッドTVとは?
・コネクテッドTVの定義について
コネクテッドTVとは、インターネット回線に接続されたテレビ端末のことを指し、CTVという略称で用いられることもあります。
テレビ端末をインターネット回線と接続する方法は大きく分けて3つあります。
1.スマートテレビを使用する
スマートテレビとはインターネット接続の機能を持つテレビ端末のことで、無線(Wi-Fi)または有線接続(LANケーブル)で、インターネットに接続する。
2.ストリーミング・デバイスでつなぐ
ストリーミング・デバイスはテレビのHDMI端子に差し込んで使用する小型端末。無線接続によってインターネットに接続する。
3.ブルーレイプレイヤーやゲーム機など外部機器を介してつなぐ
テレビ端末にブルーレイプレイヤーやゲーム機を繋ぎ、ブルーレイプレイヤーやゲーム機を介してインターネットに接続する。接続方法が無線か有線接続かは、機種によって異なる。
■コネクテッドTV、現在の普及率と利用の実態について
近年、動画ストリーミングや見逃し配信の視聴者数の増加に伴って、コネクテッドTVの普及が進んでいます。
テレビ端末のネット結線率は、2015年に23.3%から2021年には51.5%と半数を超え、2015年からの7年で2倍以上に増加しています。
2021年の結果をみると、無線LAN(Wi-Fi)での結線が25.4%を占め、ネット結線全体における割合は48.7%と約半数を占めています。結線方法としては、特に、テレビ本体に無線LAN(Wi-Fi)で接続する方法が増加傾向にあります。
また、コネクテッドTV利用者は直近4年に購入したテレビが多いことが当社のACR/exでわかりました。テレビデバイス買い替えの視点から考えても、故障を待たず上位機種購入するケースも一定の割合あるため(内閣府消費動向調査2021年3月)、今後もネット結線テレビの普及は拡大すると考えられます。
・どのように利用されている?
テレビ端末とインターネットを接続すると、各プラットフォームやリモコンに設置されたボタンから動画ストリーミングサービスのアプリにアクセスできるようになり、地上波や衛星放送等のプログラムに沿った番組だけでなく、NetflixやAmazon Prime Videoといった動画ストリーミングサービスや、TVerなどの見逃し配信をテレビ端末で楽しめます。また、コネクテッドTVでのゲームアプリも充実しており、ゲームでの利用も増えています。
・コネクテッドTV、利用者はどういう人なの?
コネクテッドTV利用者全体のうち親子2世代世帯が65%を占め、コネクテッドTV非利用者より割合が高いです。この人たちは、世帯年収が高めで、家族とのコミュニケーションを重視するタイプです。TV利用は居間などの家族共有スペースが91%を占めることから、複数人でTV共視聴をするシーンが多いと考えられます。
また、コネクテッドTV利用者の特徴として、テレビのリアルタイム視聴に加えて、タイムシフト、動画(有料・無料とも)の視聴時間量がコネクテッドTV非利用者より多いことから、映像メディア全般の関与度が高いといえます。
年々、テレビデバイスによる動画サービス利用率が上昇していますが、特に見逃しサイトの利用が拡大しています。
■コネクテッドTVの海外の利用状況について
・海外ではここ数年でコネクテッドTVは急上昇、日本でも今後さらに伸びていく?
アメリカにおける世帯内のコネクテッドTV保有率は、2011年の約30%から、2016年65%、2021年には82%に達し、ここ10年で急速に増加しており、もはや定着しつつあるといえそうです。アメリカでは年齢が若い層ほどコネクテッドTV利用が高いとのデータもあり、高い利用率に影響していると思います。また、コネクテッドTVの中でもスマートテレビのシェアは右肩上がりで、全世界の保有率が2020年の34%から2026年には50%を超えるとの予測データもあります。このように世界的に保有率が上昇していることを考えると、日本のコネクテッドTV普及も継続するといえるでしょう。
・海外におけるコネクテッドTVの動向に関して教えてください。
テレビデバイスで、テレビ放送、ネット動画、ゲーム、音楽など多種多様なサービスを楽しめるようになると、いかにして利用者にサービスを選んでもらうかが重要になります。ハード面では、利用者の興味や嗜好性にマッチしたコンテンツをおススメするレコメンド機能や(例えば、スマホのような)直感的なUIが期待されると考えられます。ソフト面では、放送局や動画配信事業者は、M&Aや技術提携等を実施してコンテンツ制作力の強化を図っています。Amazon Prime Video、Netflixはコンテンツ制作費に、年間100億ドル以上と巨額な金額を投じ、高品質な作品・豊富なラインナップを実現しようとしているようです。アメリカではコネクテッドTVの普及に伴い、コネクテッドTVへの広告出稿も増加傾向にあり、2021年のアップフロントにおけるコネクテッドTV広告出稿は前年比5割増で、リニアのアドレッサブル広告を上回る金額との報告があります。
■コネクテッドTV、広告市場でも注目!
・広告業界ではコネクテッドTVに関してどんなことが注目されている?
1.テレビ端末でもターゲティングが可能に
これまでパソコンやスマートフォン・タブレット等のデジタル端末向けに行っていたインターネット広告の技術がテレビ端末でも実現可能になり、ターゲティングによって広告の出し分けができるようになります。広告効果検証においても、他デジタル端末と合わせた検証が可能です。複数デバイスでの横断的なキャンペーンを実施した場合でも、個別の評価だけでなく、テレビ端末を含めた総合的な検証を実数ベースで実施することができます。
2.テレビ端末そのものの広告の特徴
テレビ端末で動画を見るときの視聴特性として、パソコンやスマートフォンに比べ、広告がスキップされにくいという点があります。大画面だからこその迫力があり、テレビ端末だと比較的、広告を早く飛ばしたいと感じる人も少ない傾向にあります。また、広告がインパクトを持って受け止められるため、CMの認知にも繋がるといわれています。
他にも、スマートフォンやパソコンで見るより、テレビ端末では「共視聴」や、「ながら視聴」、「長時間視聴」が起きやすくなるといわれています。テレビ画面で見ることで、家族や友人との共視聴も生まれやすくなり、家事やエクササイズをしながらなどのマルチタスクな視聴態度も誘発しやすくなります。また、画面が大きいほど、長時間の視聴になりやすい傾向も見られます。パソコンやスマートフォンでの視聴は個人での視聴が多い一方、テレビ端末での視聴は、一度に複数の人と一緒に視聴したり、より長く視聴する傾向が生まれたりと、広告に接触するチャンスも多くなっています。
テレビ業界におけるコネクテッドTV普及の影響は?
コネクテッドTVが普及することで、テレビデバイスで様々なサービスを享受できるようになります。つまり、テレビ画面に放送以外のコンテンツが入ってきていることを放送局は意識し、ネット動画配信サービス会社はウィンドウの拡大を意識するでしょう。
近年、放送局も様々なデジタルプラットフォームにコンテンツを出しており、ビデオリサーチは放送以外の領域における放送局由来のコンテンツも数値化していかなければいけないと考えています。
コネクテッドTV普及によって到来する動画時代では、映像視聴する際には「何で見るか」より「何を見るか」を最初に考える傾向が強いとの結果が当社のひと研究所の研究でわかりました。テレビ番組であれ、ネット動画のコンテンツであれ、映像視聴する際に、いかに視聴者の頭の中にコンテンツを想起してもらえるかが重要となっていくと考えられます。
・サービスのTVer、及びTVer広告の可能性について調査会社はどんなところに注目されていますか?
>TVerに対して
ユーザーがコンテンツを選ぶ時代において、TVerは、プロの作り手による豊富かつ鮮度の高い番組ラインナップをかなえたショーウィンドウだと思います。放送エリアに縛られず、ローカル番組を含めバラエティに富んだ作品に触れることができるのも魅力です。コネクテッドTV、他のデバイスにおいても確実にコンテンツ検索時の選択肢として存在感を増しており、最新回は放送へ、アーカイブは各SVODへ、とコンテンツとユーザーをつなぐ役割を担っていくのではないでしょうか。また、これだけのコンテンツをタイムリーに視聴者が楽しむことができるのは、権利処理など関係各社の努力のお陰ということも重要なポイントです。調査会社としても、TVerを起点にどのようにコンテンツ視聴が循環しているのか、視聴ボリュームに留まらないTVerのパワーを明らかにすることで、権利者、広告主の皆様のご理解の一助となり、巡りめぐってユーザーがより一層楽しめるような環境作りの一端を担えればと考えております。
そんなTVer上で広告を配信できる『TVer広告』の特徴は、高精度ターゲティングなどいくつかあると思いますが、生活者目線で考えた際、一定の審査基準をクリアした広告素材である安心感、広告ポジションの最適化による不快感の少なさは、TVerならではだと考えます。広告によるユーザーストレスを0にするのは至難の技ですが、極力軽減できるような配慮がなされている設計と言えると思います。そして、何よりユーザーが見たいプロによるハイクオリティなコンテンツが豊富に揃っているからこその完視聴率の高さは、TVerで出稿することの何よりのメリットではないでしょうか。
〜テレビ局のプロが作った番組に最適なタイミングで配信〜
「TVerの運用型広告」
民放の番組を楽しめる「TVer」では、TVを始めとした様々なデバイスで最適な広告を配信することができます。