スマホでつながる「ライブな応援空間」BS日テレ4K × LIVEPARK ラグビーW杯パブリックビューイング in 横浜 開催レポート
編集部
2019年10月26日(日)、横浜みなとみらい地区・臨港パークにて『ラグビーワールドカップ2019 4Kパブリック・ビューイングin 横浜市・臨港パーク』が開催された。
このイベントでは、BS4K放送『BS日テレ4K』の映像を使用し、横浜国際総合競技場で開催された同杯準決勝「ウェールズvs南アフリカ戦」の模様を会場内の大型ビジョンで放映。あわせて株式会社LiveParkのイベント参加型ライブ配信アプリ「LIVE PARK」と連携し、試合中にスタンプ画像やチャットを通じての“声援”が送れたり、ハーフタイムでは独自のクイズコンテンツが楽しめる仕組みなどが導入された。
観るだけでなく、よりインタラクティブに“参加”しながら、ライブ感を味わえる今回の“仕掛け”は、観客たちにどう使われたのか。当日の会場の模様をレポートする。
■スタンプとチャットでチームに“声援”
午後5時、キックオフに先立ってパブリックビューイングイベントがスタート。フリーアナウンサーの佐藤哲也氏とドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系、2019年7月期ドラマ)でトキワ自動車社員・吉田夏帆役を演じたシンガー・南端まいな氏がMCを務め、「LIVE PARK」アプリの操作案内が行われた。
まずは、「LIVEPARK」アプリにログイン後、応援するチームとアバターを選択。親しみやすいメッセージアプリ型のインターフェースを操作し、友人にスタンプを送るような感覚でチームへの“声援”を送ることができる。
画面には試合観戦中に感想をつぶやけるメッセージ欄のほか、パブリックビューイング会場の風景や特設ブースからのライブ映像も配信。会場の外から参加する視聴者も同じ空間で一丸となって試合を応援できる仕掛けが導入された。
南端氏はウェールズ側の応援を選択。「わかりやすい(インターフェースである)ので、(会場の)みなさんと一緒に盛り上がれる。パブリックビューイングの雰囲気を楽しみつつ、最後まで楽しみたい」とコメントした。
会場の大型ビジョンには『LIVEPARK』のアプリ画面も同時放映。場内の参加者を含むユーザーたちがどのチームを応援しているのかをカウント数字で表示するなどの演出がなされた。ちなみに試合開始時点ではウェールズ側が僅差ながらリード。勝利すれば史上初の「北半球vs南半球の決勝」になるとあって、期待が高まっている様子が伺えた。
■いざキックオフ!「熱気」が画面を覆い尽くす
試合は定刻通りの午後6時にキックオフ。積極的なフォワードと相手のペナルティで得点のチャンスを狙う「パワー志向」のウェールズと、冷静なボール運びと綿密なディフェンスで堅実な得点を志向する「戦術型」の南アフリカが互角な戦いを見せる展開となった。
見どころ十分な試合展開に会場は大いに湧き上がり、「LIVEPARK」でもライブカメラの映像を多用して雰囲気を“実況”した。
南アフリカ側が優勢な流れになると、一点南アフリカ側の応援者カウントが増加。その一方で対抗するウェールズ側には「応援スタンプ」が大挙して流れるなど、観戦者たちの応援の気持ちをまさに視覚化した熱い展開がアプリ画面でも見られた。
アプリ内に表示されたライブ配信画面では、佐藤・南端両氏による特設ブースでの「オリジナル実況」も配信。会場外で参加するユーザーも共に楽しめるよう、細やかな配慮がなされた。南端氏も本人名義でアプリに参加し、自らコメントを書き込んでユーザーと積極的に交流を図った。
前半、ゴール手前でのスクラムからウェールズが勝負をかけ、見事トライを決めたシーンでは、アプリ上で同チームの応援を選んだ南端氏が歓喜の表情を浮かべる様子が「生中継」される一幕も。
これに呼応するかのように、アプリ内のコメント欄にも「ちょー面白い(試合)!」「(手堅いペナルティキックでの得点ではなく、リスクの高いスクラムを選んだウェールズが)ギャンブルした!」など興奮の声が殺到し、同チームの応援者数カウントがふたたび南アフリカを上回る展開となった。
試合のハーフタイム中は、日本におけるラグビーの歴史や豆知識をテーマとしたオリジナルのクイズプログラムを実施。「日本のラグビー発祥の地は神戸・横浜どっち?」「今回の試合に臨んだ南アフリカの前回W杯での最終成績は?」など、ラグビーに対する興味が深まる仕掛けを参加者たちが楽しんだ。
試合は16-19と僅差で南アフリカが決勝進出。終盤まで両者ともに激しい攻防戦が繰り広げられたドラマチックな試合に、画面上は両チームを称える応援アイコンが舞い踊った。
試合の感想を尋ねられた南端氏は「今もドキドキが止まらない。引き続き決勝まで試合を見守りたい」と興奮気味にコメント。今回の『LIVEPARK』による“参加型応援システム”については「新しい感覚で会場のみなさんとつながりながら(試合を)一緒に見られるのが楽しかった」と述べた。
■「同じ時間に、一緒に盛り上がる」ライブエンターテイメント時代は目前に
今回、会場のバックステージには「LIVEPARK」の運営チームがベースを設置。株式会社LivePark代表取締役の安藤聖泰氏による陣頭指揮のもと、イベント現場真っ只中でのオペレーションが行われた。
「不測の事態への対応を想定し、現場でのオペレーションに踏み切った」と、安藤氏。しかし今回は「嬉しい予想外」の成果も多く得られたという。
安藤氏は、「試合と同時に行っていたMC2人のトークを当初は会場内にもPAで流していたが、徐々に会場の観客たちが試合に見入っていくのを感じ、観戦に集中できるようライブ配信のみで流すよう柔軟に対応した。場内の参加者から直接要望をもらう場面もあり、実際の現場に身をおいてオペレーションすることの意義を感じた」。
同社としては今回初の取り組みとなるリアルイベントとの連動についても、大きな手応えを覗かせており、「パブリックビューイング独特の盛り上がりも一緒に伝えることができたと思う。リアルな会場にいない人も“同じ場所”で楽しめるよう、(会場の様子を伝える)ライブ配信にも力を入れた」と語っていた。
来年に控えた東京五輪をはじめ、これから日本国内には大きなスポーツイベントが目白押しだ。次世代通信規格となる5G回線の普及も現実的となり、「(世間は)ライブエンターテイメントをやりやすい環境になりつつある」と安藤氏は期待を込める。
安藤氏「『好きなものを好きな時間に見られる』(オンデマンド型の)インターネットコンテンツが多い今だからこそ、私たちは『同じ時間にみんなで一緒に盛り上がれる仕組み』先んじて開拓していきたい」。
長い歴史の中でテレビが育んできた「共時性」のコミュニケーション。誰もが高速回線でつながるインターネット環境が整ってきたことで、物理的な場所すらも飛び越えて「ライブコンテンツ」が人々の“集合場所”になっていくのかもしれない。