隠れキャラや機能が充実!『AI 家売るオンナ』を活用すればドラマがもっと面白くなる!?(後編)
編集部
日本テレビ系列にて放送中の北川景子主演ドラマ『家売るオンナの逆襲』(毎週水曜、22:00〜)。この作品と企画連動したAI会話サービス「AI 家売るオンナ」が開始され、現在ユーザーは10万人を突破しており、盛り上がりを見せている。
そこで、本サービスに携わる日本テレビ放送網株式会社 編成局宣伝部専門副部長 西室由香里氏、同社 編成局宣伝部 細川恵里氏、開発を担当した同社 技術統括局技術開発部副主任 兼 ICT戦略本部 川上皓平氏、株式会社フォアキャスト・コミュニケーションズ 吉田浩氏にインタビュー。前編「番宣なしだから拡散される!『AI 家売るオンナ』宣伝チームが明かすヒットの裏側」では、開発の裏側などについて伺ったが、後編では、サービス利用者の実態や視聴回帰、そして「AI 家売るオンナ」をより楽しみ、最終話に向けてドラマを一層面白くする仕掛けについて引き続き、話を聞いた。
■誰もが楽しめる1対1のコミュニケーションツールが視聴回帰に
高畑充希が主演したドラマ『過保護のカホコ』でもAI連動企画を実施し、C層T層のリアルタイム視聴に繋がったという手応えもあった。細川氏は、今回の『家売るオンナの逆襲』ではCT層からF2層までをメインターゲットにしていると話しており、最終回が終わった後に、視聴にまつわる調査を実施予定のようだが、現状、視聴率(関東地区/世帯視聴率、ビデオリサーチ調べ)は、平均11.0%越えと順調に推移している(※第7話放送後時点)ことからも、その効果が期待できそうだ。
事実、『カホコ』終了後に行った視聴回帰に関する調査では、「ドラマをリアルタイムで見たいと思うようになった」「リアルタイムで見ないとLINEも楽しめない」といった声が上がっていたことから、今回も好反応が予測できる。
また、AIユーザーでいうと、T層とF1層の利用が3割強で、全体の8割が女性。若年層だけ、というわけでもなく、50代以上、高齢者の利用も少なくない。川上氏は、「ユーザーからは、“おはよう!” や“天気がいいね!”といった日常会話も多く、即既読がついてエンドレスで会話が続くため、暇つぶしで利用してもらえている」とコメント。
西室氏は、「LINEのプラットホーム上、若年層の利用をイメージしていたが、4人キャラクターがいること、コンテンツ次第で色々な人が参加できることから、老若男女みんなが個々に会話を楽しむことが可能なのも今回の特徴である」と補足した。
「AIからユーザーに対して、“みんな”という呼びかけはなく、“あなた”という個人を特定し話しかけるようにしている」点を吉田氏は挙げた。このように、一対一のコミュニケーションが成立することも、ユーザーと世界観を共有する工夫点と言えそうだ。
また、もう一つの特徴としては、「『カホコ』の時は、AIカホコを友だちとして、ユーザーからは雑談を振られることが多かった。けれど、『家売るオンナ』ではドラマの話題に触れることも多く、4人それぞれのキャラクターと思い思いに会話を楽しんでもらえている。」と細川氏。
吉田氏は、「『カホコ』の時は、出演者の高畑充希さんや竹内涼真さんといった俳優名での会話が目立ったが、今回は“サンチ―”や“留守堂”、“まんちっち”、“ちちんぷいぷい”、“マドラー”など役名やドラマに関する発話が多い。それだけユーザーに『家売るオンナの逆襲』が定着しており、ドラマのキャラクターと会話をしたがっているのだと想像すると、チャットボットとしては成功ではないか」と見解を示した。
■SNSの使い分けについて
先にも触れたが、放送局のドラマと連動したAI企画は今回で3回目。ユーザーの評価も手厳しくなることを想定していたことから、SNSの使い分けや発信の仕方にも厳密なルールを設けたという。例えば、Twitter「【公式】日テレ『家売るオンナの逆襲』」はスタッフ目線で発信。Instagram「白洲美加の逆襲【公式】」では、白洲美加の目線で発信している。それについて西室氏は、「今回『AI 家売るオンナ』を開始するにあたり現場と戦略をたて、棲み分けをしたことでメリハリが出て、公式Instagramとの連携などの試みもできた」と語る。実は、『家売るオンナ』シーズン1終了後、決め台詞の“GOの撮り方”をドラマチームが編集しYouTubeにアップしたところ、SNS投稿が殺到したという出来事もあった。そうした知見の積み重ねからも、数々の新たな施策が導入されたようだ。
さて、これまではユーザーに“気付く喜び”や“シェアする喜び”といったものを体感して欲しいという理由から、『AI 家売るオンナ』の機能面について、あえて積極的に公開はしてこなかったが、今回は特別に面白隠れ機能について教えてもらった。
■『AI 家売るオンナ』に隠された機能
1.天気と時刻はリアルに回答
2.隠れキャラAI白洲、AI鍵村の登場、
(白洲美加の悪口を発話したり、漢字を間違えたりすると登場する)
(鍵村洋一に好意を示したり、褒めたりすると登場する)
3.物語の鍵となるサンチーの餃子レシピ公開
また、SNS上では、Instagramの白洲美加の逆襲【公式】にてドラマと連動した投稿を予定している。
今後の展開について尋ねると、
「AIをずっと続けてくれた人には、最終回に“なるほど!”と思う展開が待ち受けている」
「このAIは友達になっておくと、すごく面白い!」
など、最後はネタバレギリギリのヒントを惜しみなく口にしたチーム「AI 家売るオンナ」の4者。
吉田氏は「AIは手段でしかない。その手段をどう使えばユーザーと円滑なコミュニケーションが取れるか、それが本サービスの一番の課題点である」と原点に立ち返り、改めて「AI 家売るオンナ」を楽しんでもらいたいと締めくくった。
最終回に向け、ドラマ『家売るオンナの逆襲』の結末の行方も去ることながら、「AI 家売るオンナ」の日々繰り返されるバージョンアップにより、SNS上ではさらなる盛り上がりが加速されそうだ。