報道の魂を一歩進めること!テレビ局ならではの強みを活かした「ホウドウキョク」のコンテンツ制作
編集部
フジテレビのニュースメディア「ホウドウキョク」のコンテンツは、あらゆる手法を駆使し、伝えたいことを、伝えたい人に的確に届けられるように制作されている。運営責任者に、その狙いとジャーナリズムとしての矜持を聞いた!
■Skype、LINE、VR…、多様な「ホウドウキョク」コンテンツの作り方
フジテレビの24時間ニュースメディア「ホウドウキョク」が発信するコンテンツは、単なる動画やテキストだけではなく、Skypeを利用したライブ中継、LINEのトークのような会話再現ニュース、VR撮影の臨場感あふれるものなど、取材対象やユーザーの特性に合わせて多種多様な方法で制作されている。
この狙いを説明してくれたのは「ホウドウキョク」運営責任者、コンテンツ事業局のニュースコンテンツプロジェクトリーダー清水俊宏氏。
「地上波では、いつ落ちるか分からなく、画質も悪いSkypeの中継は難しいですね。でも事件、事故、災害の現場に最初に到着した記者が自分のスマホでSkypeをつなげて現場の状況を伝えることは、リアリティを伝える報道機関として有効な手段だと考えています」
また、非常に注目度が高かった安倍首相と蓮舫議員の初の党首討論も、やり取りをLINEのトーク風に要約したもので配信。もちろん全文掲載をしたテキスト記事もあるが、ユーザーによってはLINEのトークで見る方が理解できることもあるだろう。
そして、民放では最初にVR事業部を立ち上げ、新しい形のニュース配信にも取り組んでいる。
「今はまだ話題先行で、メディアの方が喜んでいる傾向はありますが、VRも視聴環境がもっと進化すればさらに見られると思いますし、VRで終わりではなくてAR、MRと時代はより先へと進むと思います。その時に出遅れないように、VRでできることはやる、というスタンスでもあります」
「ホウドウキョク」は、これら先端的な手法を用いたコンテンツを一度に見ることができるメディアなのだ。
■情報の信頼度を強みとして、報道の魂を捨てないように!
それでは、報道の中身とあり方はどうなのだろうか? 清水氏は、医療関連メディア「WELQ」の記事が問題視されたことなどに強い関心を持っていて、メディアのあり方を探るためアメリカにも飛んでいる。
アメリカを代表するメディアのABC News、VICE、BuzzFeed、YouTube、そしてTHE HUFFINGTON POSTの本社を直撃し、特集「日本のメディアが米メディアから学ぶこと」と題し、「ホウドウキョク」にテキスト記事として投稿した。
そこで最も感じられたことは「みんなジャーナリズムを目指している」という考えだった。そして清水氏は、「ホウドウキョク」、またフジテレビの報道の姿勢について、このように語ってくれた。
「僕らは50年以上の歴史を持って取材をし続けています。首相官邸や防衛省などにも人を置いて常時取材を続け、そこから来る一次情報を署名入りで書くことを基本として情報を発信しています。そして、ユーザーが見たいものだけではなく、僕たちは正しい取材をしている、そして伝えるという報道の魂は絶対に捨てないようにしています」
このテレビ局ならではの強みが、多くの方に信頼され支持を得ている理由なのだろう。そして「ホウドウキョク」の意義は、この報道の魂を一歩進めることだと言う。
「どうやって届けるか、の意識をもっと報道の中で持つこと。『ホウドウキョク』を立ち上げることもそうですし、報道の中にもそう考えている人が増えていることも、この事業を始めて良かったことです」
最後に、2017年、清水氏が取材してみたい人について聞いてみた。
「フィリピンのドゥテルテ大統領のインタビューは、ものすごく読まれていました。今年はトランプ次期アメリカ大統領の取材をぜひ行いたいですね。国内では、歴代の総理大臣に“あの時どうだった、この時……”みたいな企画を実現させたいです。それもネットでしかやれないやり方で」
政治部出身の清水氏ならではの切り口で発信される記事が楽しみだ。そして「ホウドウキョク」のコンテンツがどんな変化を見せ、どんなユーザーに届けられるのかにも注目していきたい。
――プロフィール
ホウドウキョク運営責任者 清水俊宏さん
コンテンツ事業局 ニュースコンテンツプロジェクトリーダー。2002年の入社以来、政治部などで活躍。自民党、民主党、公明党と与野党問わず取材を続けてきた実績を持つほか、『新報道2001』のディレクター、『スーパーニュース』のプログラムディレクター、『ニュースJAPAN』のプロデューサーなどに関わる。