テレ朝、エイベックス、博報堂DYメディアパートナーズが企画する「プロマーシャル」が生み出す“Win-Win-Win-Win”な関係<vol. 1>
編集部
アーティストのプロモーションビデオとコマーシャルを融合させた企画「プロマーシャル」は、株式会社テレビ朝日(以下、テレビ朝日)、エイベックス・エンタテインメント株式会社(以下、エイベックス)、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ(以下、博報堂DYMP)が2005年から展開している。
昨年度まで「プロマーシャル」の映像は地上波で放送されるのみだったが、本年度からAbemaTVへの展開と「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION」と絡めたリアルイベントの仕掛けも行われ、多彩なメディア展開で注目を集めた。
今回、この企画に携わったテレビ朝日の寺田祐樹氏(写真:左)、エイベックスの八戸輝樹氏(写真:左から2番目)、博報堂DYMPの佐藤憶人氏(写真:中央)、木村謙太氏(写真:右から2番目)、前田雄一朗氏(写真:右)に集まっていただき、「プロマーシャル」制作の舞台裏や新展開の狙い、今後の可能性などを伺った。
■プロモーションビデオ×コマーシャル=プロマーシャル
――「プロマーシャル」とはどういう企画なのですか?
寺田氏:アーティストのプロモーションビデオとコマーシャルを融合した企画で、クライアントが訴求したいことやブランディングしたいことを、より自然なかたちで深く視聴者に浸透させることを狙っています。2005年にスタートして、これまでGReeeeNとBACK-ONのスペシャルユニットBAReeeeeeeeeeNや、土屋アンナ、絢香、TRF、AAA、lolなどのトップアーティストとコラボし、大きな注目を集めてきました。
――2005年にこの企画が立ち上がった背景は?
八戸氏:テレビCMのひとつの形態であるインフォマーシャルについてテレビ朝日様から相談を受けたのがきっかけです。アーティストのプロモーションビデオをうまく利用して、各クライアントの商品を入れてうまく合わせたら、映像的にもクオリティの高いものができてお互いにWin-Winだよね、という話が出ました。
寺田氏:クリエイティブや世界観を優先させた、新しい形のインフォマーシャルでしか伝えられないものもあると考え、通常のインフォマーシャルとは違った毛色のものを作ろうという試みで、エイベックス様に制作のセクションを担ってもらうことによって、スタイリッシュなものが作れるのではないかということでした。
――これまでの「プロマーシャル」展開の経緯は?
八戸氏 :2005年にLUNA SEAの河村隆一とINORAN、作曲家の葉山拓亮によるユニット、Tourbillon(トゥールビヨン)を起用するかたちでスタートしましたが、当時はまだ手探り状態で非常に苦労しました。この反省を活かし、翌年はASIAN2という新人アーティストを起用して業界内で話題になり、第21回日本ゴールドディスク大賞「ザ・ベスト10ニューアーティスト」を受賞しました。その時の楽曲「遠く」の2018年バージョンが今年の楽曲「遠く2018」です。
寺田氏:様々なチャレンジが「プロマーシャル」の歴史だと感じています。映画仕立ての世界観を採り入れて「シネマーシャル」とした年もありましたね。
■テレビ朝日、エイベックス、博報堂DYMPの共同作業で生まれる作品
――「プロマーシャル」展開における、3社それぞれの役割を教えてください。
寺田氏:「プロマーシャル」を放送するセクションを担っているのがテレビ朝日です。併せて、制作とクライアントを担当されているエイベックス様、博報堂DYMP様をつなぐ役割も担っています。
八戸氏:エイベックスは「プロマーシャル」自体の制作を行っています。どのアーティストで、どの楽曲で、どういう映像にしようか、という所ですね。各クライアントの商品が映像の中に入ってくるので、違和感なくプロモーションビデオに入れるために、当社と制作会社の監督を中心にやり取りをして、テレビ朝日、博報堂DYMP、そしてクライアントの確認を取って進めています。
佐藤氏:博報堂DYMPの業務は各クライアントへの企画セールスです。企画段階から一緒に入って、例えば、「AbemaTVのようなWeb展開もできればやりたい」というようなアイデア出しも行っています。メインクライアントが決定した後は、商品への想いや希望する露出方法などの意向を踏まえ、クリエイティブに落とし込んでいくための橋渡しをしています。
■制作について今年の展開
――今年の「プロマーシャル」に出演しているのは?
寺田氏:2018年のタイアップソングは、2006年のASIAN2による「遠く」のリブートとなる「遠く2018」です。歌うのはこの曲がデビューソングとなる「Karin & Rei©hi」。女優、歌手として活躍する宮城夏鈴(左)さんと、女性ラッパーのRei©hi(右)さんのユニットです。
――「プロマーシャル」の制作は通常のPV制作とはどのように違いますか?
八戸氏:すごく難しいです。プロモーションビデオに商品をただ入れればいいというわけではなくて、商品がストーリーに溶け込んでいないと不自然になりますし、アーティストの所属事務所様とも微妙なやり取りが何度も必要になってきます。今年は所属事務所様にも大変協力頂き、クライアント様も含めて、Win-Win-Win-Winになれる図式が整えられたと思っています。
――今年の制作に関して感じたことは?
木村氏:今回は企画立案のタイミングでアーティスト選定から参加して、加えてメディア選定にも関わらせてもらって、企画のセールスをする際に間口が広がった感じがあって、いろんなクライアントに声をかけやすくなりましたね。
寺田氏:アーティストさんや楽曲の世界感も相まって、通常のコマーシャルとはまた違った魅力を伝えられているのではないかと考えています。今回の協賛社となった株式会社キューブ様、株式会社センチュリー21・ジャパン様、株式会社三城様の3社に関しても、普段とは別の世界観を伝えられたと言っていただけたら嬉しいです。
前田氏:「プロマーシャル」の協賛クライアントが同じタイミングで別のキャンペーンも展開しているケースもあったのですが、相乗効果が生まれてより盛り上がりを感じました。クライアントの方に出演してもらったものも非常に満足度が高くて、こういうセールスの仕方があるのだと気付かされました。
3社の良好な関係性から生まれた「プロマーシャル」。後半は、本年行った「プロマーシャル」の新しい展開と今後の展望について伺う。