綾瀬はるか演じる亜希子と名刺交換!TBSドラマ『義母と娘のブルース』双方向プロモーション担当者に聞く
編集部
綾瀬はるかが主演するドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系、毎週火曜22:00〜)。桜沢鈴の同名4コマ漫画をドラマ化したもので、綾瀬演じる無敵のキャリアウーマン・岩木亜希子が、娘を持つサラリーマンと突然結婚し、母親になろうと畑違いの家事や育児に一生懸命に奔走、家族と過ごす日々が描かれている。
7月10日にスタートした本作だが、放送前から綾瀬演じる主人公・亜希子が名刺を差し出すビジュアルがポスター等で大体的に展開。ドラマの展開もさることながら、Sansan株式会社が提供する名刺アプリ「Eight」とコラボし、亜希子との“名刺交換”も実現するなど全く新しいプロモーションを仕掛けたことが話題になっている。
ポスターにある亜希子が差し出している名刺のQRコードをアプリ上で撮影することで亜希子のアカウントとコネクトでき、Eight上で亜希子からのSNSの投稿を受け取れたり、これまでの彼女のキャリア(の設定)などが記載されているプロフィールを閲覧できる。また、名刺に記載されている電話番号へ電話をかけると亜希子をはじめとするキャスト陣と会話が楽しめるという仕掛けを提供している。
このように双方向型でユーザーが楽しめるプロモーションを立ち上げた経緯について、株式会社TBSテレビ 編成局宣伝部・宣伝プロデュースグループ 兼 総合戦略局総合編成部 川鍋昌彦氏と、Sansan株式会社 Eight事業部 ブランドマーケティング 小林佑太朗氏に話を伺った。
■ドラマの展開に応じて、アプリ内の名刺情報も更新
――まずは、実施の経緯について伺えますか?
川鍋氏:名刺交換については、原作にもともとそのようなシーンがあり、それが脚本にも生かされていました。そのような経緯がありビジュアルにも反映されたのですが、いつもご一緒させて頂いている、電通のコミュニケーションディレクター・梅田悟司氏と「せっかくやるなら視聴者と接点をつくったほうが面白いだろう」と話をしまして、実際に(亜希子と)繋がる電話番号を用意したことが最初の動きです。そのあと、(名刺交換に関して)いくつかアプリがある中で私がもっとも使っていて、周りも使っている名刺アプリEightを展開されているSansanさんにコラボレーションのご相談をしました。
小林氏:最初に(名刺交換の)ポスターのビジュアルを見せていただいて、率直に「Eightにとても合うドラマだな」と思いました(笑)。ドラマと連動して企画をやることは我々だけでは想像しなかったところなので、お話を頂いた時にとても驚いたのが正直なところです。名刺アプリEightはビジネスパーソンを応援するアプリです。綾瀬さん演じる亜希子も、キャリアウーマンから義母になり奮闘する。そのストーリーをEightとして応援したいと、コラボレーションを決めました。
――ポスターの作り込みでこだわった点を教えてください
川鍋氏:名刺部分に記載されている電話番号は実は放送開始日の0710になっています。また、住所も1-7-10という数字になっています。住所が大手町なのは(作中の)光友金属の所在地を大手町に設定しているという点からです。また、ホームページもメールアドレスも、実際にサーバー含めて準備しました。
――Eightでこの名刺部分をスキャンすると、亜希子のアカウントとつながるということですね
小林氏:そうです。Eightは、ビジネスの出会いである、名刺交換を次につなげることができるアプリです。正確な名刺管理だけでなく、名刺交換相手がEightユーザーであれば、Eight上で「つながる」というアクションが起こります。今回のこの仕組みをプロモーションに取り込みました。この名刺のQRコードをEightで読み込むと、綾瀬はるかさん演じる亜希子さんとつながり、ドラマの展開に応じた(亜希子からの)ビジネスSNS上での投稿が閲覧できます。
結婚して名刺が更新される(名字が変わる)シーンがあり、その話題の投稿は「いいね」の数がこれまででは最も多かったです。実社会でも、名刺の肩書きが変わるとその人にとっては一大事ですよね。例えば、昇進の裏側には努力や感動的なチームワークがあったり、転職の裏側にはドラマがあったりします。そのような動きを、ドラマとのアプリの更新の連動で体感していただけています。また、Eightは、(アプリ上で、プロフィール、投稿など)「名刺以上の情報がわかる」ということがひとつの価値なので、その価値を示唆的に体験いただける機会になりました。
川鍋氏:作中で名前が変わることは事前にわかっていたので、そこでEight上でも更新をしたいということは早めの段階でお伝えしていました。
ーー名刺に書かれた番号に実際に電話ができるという施策も、Eight連動施策と共に行われましたね
小林氏:(ポスターを見て電話をかけるだけではなく)Eight上の名刺情報を見て電話をかけてみてください、という動きはEight上での「名刺管理」(名刺に記載された情報の管理)という価値の一つになるので、この取り組みは我々にとっても嬉しかったですね。
川鍋氏:ちなみに、パン屋さんに転職になったタイミングで新たな電話番号をとって、パン屋さんにかかるという設定にもしています。
ーー反響として印象に残っている点はありますか?
小林氏:開始2週間で、Eight上で2000名以上のユーザーが亜希子さんとつながった反響の大きさがまず印象的でした。また、つながったユーザーは、亜希子さんの投稿に熱量のあるコメントを返しています。さながら亜希子さんが本当に現代に入るように錯覚する。そんな結果を残せたことは新しい発見でした。
川鍋氏:名刺は配布用に実際に製作しましたが、1万刷ってあっという間になくなったので、増刷して更に2万枚配布しました。赤坂サカスでのイベント(TBS夏サカス2018)でも配布しましたが、予想以上にはけていきました。また(インナーの反響として)、実はドラマのプロデューサーも元々Eightを使っていたこともあり、制作チームもこの施策を面白がってくれました。
■対スタッフより、対ドラマの登場人物へのアクションが増えてきた
――これからクライマックスに向けてというところですが、現状の『義母と娘のブルース』に対する総括としてはいかがでしょうか?
川鍋氏:ドラマのSNSへの反応は通常、番組そのものに向けてというものが多いものですが、このEightとの施策に関してはあくまで亜希子さんに向けてのアクションが増えてきたのが面白いところです。視聴者がドラマの世界に入るということはもちろん、ドラマの中にいた亜希子さんが実際の世界の中にいるように錯覚するようなことになれたのかなと。これは最もやりたかったことです。過去のプロモーションの中でもかなり上位といえる手応えを感じています。
――TBSといえば様々なドラマ作品が著名ですが、宣伝をされる上で意識されている点はありますか?
川鍋氏:ドラマの制作チームはとにかく(その作品を)作り込む、これはTBSの伝統的な面もあると思いますが、その作り込みがあるからこそ、我々(宣伝部)はうまくその作品の要素を抽出することで、(視聴者に)面白いと思っていただける展開ができるのではないかと思います。
――Sansanさんは今回の施策への手応えはいかがでしょうか?
小林氏:もともとEightのサービス設計思想には、単に名刺をスマホで便利に管理できるだけでなく、ユーザー同士がEightでつながることで、これまで紙の名刺だけでは難しかったような出会いの新たな可能性に挑戦したい、それによってユーザーのビジネスのさらなる成功を後押ししたい、という想いがあります。今回の施策は、亜希子さんを後押しするというコンセプトで作っていったことがハマった理由なのかなと思います。また、Eightはビジネスタイムにアクティブに使われており、その時間帯にユーザーにリーチできることが(他の SNSの使用時間帯と比べて)面白い点なのではと思っています。今回のドラマの成功も少しでも後押しできていたら、サービス提供者として嬉しいです。
――最後に、今後予定されていることがあれば教えていただけますか?
川鍋氏:クライマックスの展開に応じて、感動的な名刺の肩書きチェンジができればいいなと思っています。最終回まで、乞うご期待ください。