CMが待ち遠しい!広告とドラマが融合した“アドフュージョン”ドラマ視聴レポ
編集部
フジテレビは6月20日、広告とドラマが融合した史上初のアドフュージョン(広告融合)ドラマ『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』(フジテレビ系、24:30~25:30)を放送。編集部では、ドラマとCMがどう融合されたドラマなのかを調査するために、リアルタイム・TVerでの視聴を行った。
■史上初・広告融合型コンテンツ“アドフュージョン”ドラマ概要
『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』は、名探偵本人(金子ノブアキ)が事件の被害者になってしまうという奇想天外なストーリーを、ドラマ本編の中にCMを融合させる“アドフュージョン”という新しい手法で描いた作品だ。フジテレビが電通と企画、制作を行った史上初のアドフュージョンドラマということで、放送前から話題となっていた。
番組趣旨に企画賛同したのは、サントリーホールディングス株式会社、エクスコムグローバル株式会社、LINE株式会社の3社。一体どのような形でそれぞれの商品がドラマ本編に組み込まれるのか、さっそく紹介したい。
■突然コマーシャルが挿入されることをドラマ冒頭で告知
冒頭、ストーリーテラー役の滝藤賢一より、「テレビドラマが無料で見られるのはCM(コマーシャル)のお陰。民放でドラマを見るにはCMが不可欠である」と語られ、「(テレビ視聴中に)次はどんなCMが流れるの? と思っている人は正直あまりいないはず」と視聴者心理を推測した上で、そうした視聴者でも「CMが気になって仕方がない、未知なる世界にお連れします」という出だしで視聴者の心を惹きつけた後、本ドラマがアドフュージョンドラマであり、4つの商品コマーシャルがドラマの中で突然はじまることが予告された。
■いつくる? 突然コマーシャルのタイミング
本編が始まると、上部バナーに“突然コマーシャルドラマ いつ何を宣伝? 商品A 商品B 商品C 商品D”と表示。
そしてスタートから5分でサントリーホールディングスの「クラフトボス ブラウン」を出演者が飲むシーンが放送され、上部の表示が“突然コマーシャルドラマ ただいまCM中 クラフトボス ブラウン”と、CMであることが分かりやすく提示された。
他の商品も同様、物語の中に組み込まれる形で、23分過ぎにLINEの「LINE Clova Friends mini」が取り上げられ、
32分過ぎからは再びサントリーホールディングスの「デカビタC ダブルスーパーチャージ」が。そして37分台に、エクスコムグローバルの「イモトのWiFi」が、それぞれ1分30秒のコマーシャルタイムの中で登場した。
CM中には商品の魅力を出演者が語るシーンがあり、飲料であればその美味しさを、LINE Clova Friends miniについては使用法のレクチャーを、イモトのWiFiでは普段放送されているお馴染みのCMソングを役者が口ずさむなど、首尾よく宣伝しつつ、犯人を推理する上でも、商品がキーアイテムとなる構成だった。
そして4商品紹介後も、上部バナーには“宣伝終了だけど波乱のクライマックスへ”とあり、商品の回想シーンや、再び商品を利用したシーンが流れ、CM商品が登場する形をとっていた。
■リアルタイム・見逃し視聴の違いは?
リアルタイム視聴と、放送後すぐに行われた見逃し配信では、構成に違いがあるのか? TVerなどの広告付き無料配信(ADVOD)の場合、作品の途中で画面が切り替わり、CM(プリロール・ミッドロール・エンドロール)が入る。しかし、今回作品の中で登場する“突然コマーシャル”がその役割を果たしているため、見逃し配信でも放送と同様の(CMで画面が切り替わり、本編から離れることのない)構成で配信されていた。
番組の最後には、再びストーリーテラー役の滝藤賢一が登場し、「CMが不可欠な存在でしたね、まさか事件解決にここまで必要なアイテムになっていたとは。次、どんな感じでCMがスネイクインしてくるのか気になっちゃいますよね。こんなテレビの楽しみ方があってもいいと思いませんか?」と呼びかけた。物語の終わり方も、放送と同様、配信でも届けられた。
■CMが見たくなる!アドフュージョンドラマの魅力
放送前は、商品がどのように物語に組み込まれるのか注目を集めていた今回の企画だが、見れば納得。コメディータッチな推理ドラマ故か、ストーリー性に不自然さはなく、あえて出演者がCMっぽく演じているのもまた見どころの一つになったように感じる。また、CM商品が物語では犯人を推理する上で重要なアイテムになるよう作られていたため、CM後も商品が出てくるたびに自然と視線がいくような仕掛けがなされていた。
■スポンサーの感想
放送のラスト、エンドロールでは、スポンサーとなった3社からの感想が紹介された。サントリーからは、「商品を面白く紹介してくださりありがとうございます。結子のデカビタCを飲んで覚醒するくだり、最高でした!」。続くLINEからは、「うまくこの子の機能を盛り込んでいただいてありがとうございました」というメッセージが届けられた。最後にエクスコムグローバル株式会社からは社長が出演し、「ドラマは面白かったんですけど、僕を出演させてくださいってお願いしましたよね?」と直訴。第二弾があるのかは定かではないが、次回作では出演する意向を語り、最後まで視聴者を楽しませてくれる内容となっていた。
今回の企画は、SNS上でも放送前から「これ絶対みる。こういうのほんと素敵!」といった声が寄せられており、放送後には「CMがドラマ内にあるから、CMでテンポが崩れることはないし、次に何がくるのかワクワクさせる作りが上手」「おもしろかったです。単純に笑えました。CMがしつこくて良かった」という声が多数寄せられていた。