仙台放送「運転技能向上トレーニング・アプリBTOC」を「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に日本生命と共同出展【無料体験可能なブースをレポート】
編集部
仙台放送ニュービジネス事業部長 太田茂氏、女優 玉田志織さん
株式会社仙台放送(以下「仙台放送」)および日本生命保険相互会社(以下「日本生命」)は、安全運転の啓発に向けて、2023年10月25日より東京ビッグサイトで開催の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」(旧:東京モーターショー、10月25日〜11月5日)に共同出展し、仙台放送と東北大学加齢医学研究所の共同開発による運転技能向上トレーニング・アプリ「BTOC(ビートック)」などを無料で体験できるブースを設置した。
「BTOC」は、「Brain Trainer On Cloud」の略で、女優の玉田志織さんがレギュラー出演する仙台放送の番組『川島隆太教授のテレビいきいき脳体操』(制作:仙台放送)の内容を元に、「交通事故ゼロ社会の実現」を目指して制作された新ソリューション。AI(人工知能)搭載の1回1分の脳のトレーニングで、運転技能の維持・向上を図ることができる。
編集部では、10月28日からの一般来場に先駆けてプレスデーに会場を訪れ、「BTOC」事業を担当する株式会社仙台放送 ニュービジネス事業部 部長の太田 茂氏と、「BTOC」のCMに出演する玉田さんにインタビュー取材した。
■脳科学を使って世の中の社会課題を解決したい
仙台放送は、宮城県を放送地域とするフジテレビ系列の放送局。展示ブースには「BTOC」を体験できるモニターなどが設置された。
太田氏は本プロジェクトを立ち上げたきっかけについて、脳科学を研究する東北大学加齢医学研究所・川島隆太教授が監修する番組『川島隆太教授のテレビいきいき脳体操』の存在を挙げ、「川島先生は研究していることをただ伝えるだけではなく、社会課題を解決したいという強い思いを持たれています。当時、高齢ドライバーによる交通事故が増え始めており、運転が上手になるアプリを作ろうという話になったんです」とプロジェクト発足の経緯を説明する。
川島氏と仙台放送は、2018年に「運転技能向上に効果がある脳のトレーニング」に関する特許を共同取得。東北大学の研究でアプリ利用者の「自動車運転技能」「認知機能」「感情状態」の向上も実証された。その後、高齢者だけでなく、若いドライバーにも効果があることが分かり、仕事でクルマを運転する様々な業界・企業・自治体から導入したいとオファーが届くようになった。
■脳の状態に合わせてAIがその人に最適なトレーニングを実施
当初は自社アプリを持つ大手企業を対象にサービスを提供していたが、アプリを持たない中小企業や自治体にも使いやすいようにと、クラウドから簡単にダウンロードできる新サービス「BTOC」を開発。現在は、日本交通株式会社など大手のタクシー会社や運輸会社、引越事業者など、社有車を多く保有する企業等がこのアプリを業務の中に取り入れている。
太田氏は、働き方改革関連法の施行に伴い2024年4月1日から「自動車運転の業務」の時間外労働が年960時間と上限規制されることに起因とする「物流の2024年問題」にも着眼しており、「ドライバーと安全運転の管理は、物流業界にとって非常にナーバスな問題です。ベテランのドライバーの確保が難しい中、事故を減らすにはどうすればいいかをどの企業も考えています」と物流業界の各社が本アプリを導入する理由を分析。
「今までの安全運行管理はドライブレコーダーを使った見守りや定期的な安全研修に力点を置いていたんですけど、『BTOC』は一人ひとりの脳の状態に合わせてAIがその人に最適なトレーニングを実施します。全く新しいアプローチなので、今までの安全運転管理の概念を変える力があるんじゃないかと私たちは考えています」と話す。
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■使用者のモチベーションを高める工夫もアプリに盛り込む
導入された企業での使用例について太田氏は「クルマを運転する前に、アルコール検知器の検査を受けるのが一般的ですが、その隣にタブレット機器を用意して、各個人のQRコードをかざすと、AさんならAさんのトレーニング画面が出る仕組みになっています。毎回1回あたり1分ほどのミニトレーニングを習慣化して、クルマで出発してもらうことが多いです」と紹介する。「AIが個人を識別し、その人に合わせたトレーニング画面が出て来るのも特徴です」と話す。トレーニングは法人の端末だけでなく、自分のスマートフォンでも行うことができる。
「BTOC」では、一人ひとりのトレーニング内容を会社側が管理することができるのが特徴です」「頑張った人はランキングの上位に上がって表彰されたり、取り組んでいない人には指導できたりという感じで、利用者のモチベーションを高める仕組みを盛り込んでいます」と話す。
また車の運転以外の分野にも目を向けているといい、太田氏は「『BTOC』がカバーできる分野としては、クルマの運転のほか、マシンオペレーター全般にも可能性を感じています。電車の運転士や、フォークリフトの操縦者等にお使いいただくことも、各方面で導入に向けて動きが出ています」と話す。
■生保大手の日本生命との共同出展の狙い
今回、仙台放送は、生保業界大手の日本生命と「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に共同出展している。そのコンセプトは「目から安全運転 脳から安全運転」というもの。
その目的について、「今、東北大学と共同開発した目の疾患の早期発見に寄与する新しいVRアプリ(メテオブラスター)を本格的に社会実装しようとしています。目の健康に強い関心を持たれている日本生命様とご一緒することで、全国の法人だけでなく、自治体や団体等にもご協力いただきながら、「脳」と「目」の両方から安全運転を支援していくさまざまな活動を広げていきたい」と話していた。
■玉田志織は「BTOC」のアンバサダー的な存在「事故が減っていく社会になれば嬉しい」
玉田さんは宮城県仙台市出身の若手の女優で『川島隆太教授のテレビいきいき脳体操』で、体を動かして脳を鍛えるフィットネスのコーナーに出演している。太田氏は玉田さんのCM起用についても「「いきいき脳体操」のスピンオフとして誕生した『BTOC』ですので、玉田さんにご出演いただきたいとお願いしました」とし、「アンバサダー的に玉田さんがBTOCを応援してくれています」と玉田さんの貢献にも感謝する。
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その玉田さんも「BTOC」のプロジェクトに携わることにやりがいを感じているといい、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」の展示ブースでの「BTOC」体験を嬉しそうにコメント。「番組に出演している時も、プログラムをこなしながら、脳を使っている実感がすごくあったんですけど、BTOCでも同じことを感じました。これを運転前にすると、本当に運転技能が向上して事故が減るんじゃないかなと実感できました」とし、ゲームの難易度についても「シンプルな動きを要求されるんですけど、レベルが上がっていくと難しくなっていくのでやっていて楽しいです」と感想を述べた。
玉田さんは「CMの撮影時から『BTOC』を多くの人に伝えていきたいという気持ちを持って取り組んでいました。『JAPAN MOBILITY SHOW 2023』という大きな舞台での展示にも呼んでいただいて本当に光栄です」と感激する。「BTOC」の魅力についても「私の家族も運転する機会が多いんです。交通事故が増えているとニュースを見ていて思うことが多いので、このアプリを使うことで一つでも事故が減っていく社会になれば嬉しいです」と今後の展望にも期待を寄せていた。