テレビの強みを活かしたJ:COM PMPの活用事例とその効果とは?インタビュー【後編】
編集部
『J:COM』ブランドで日本最大級のケーブルテレビ事業を展開する株式会社ジュピターテレコム(以下J:COM)は、複数のCS放送局と連携し広告在庫をネットワーク化したマーケットプレイス『J:COM PMP(Private Market Place)』を展開。
国内の有料ケーブルテレビシェア51%、国内におけるテレビ受信インフラの約24%を占める同社が新たに打ち出す、データドリブンなテレビ広告の形とは──。立ち上げの経緯から具体的なシステム、そして広告主へ提供するメリットについて、同社広告事業本部 広告営業推進部 事業開発グループ マネージャー 丸山博幸氏(写真:左)、とメディア・エンタテインメント事業統括室 マネージャー 遠田智洋氏(写真:右)にインタビュー。
今回は後編として『J:COM PMP』の具体的な活用事例から“これから”の可能性について伺った。
──『J:COM PMP』の具体的な活用事例を教えて下さい。
丸山氏:とあるハイグレード系のホテルのリブランディング施策の事例なのですが、50代男性をターゲットにデジタルプロモーションを展開していたものの、属性上、WEBでは認知度が十分に得られなかったというのです。そこでJ:COM PMPを活用し、テレビでのアプローチを提案したところ、ターゲットの認知度を実際に上げることに成功し、ご評価いただけました。
──デジタル広告の弱みだった部分を、テレビ広告が補完するのですね。
丸山氏:テレビ、とくにチャンネルごとのテーマ性が強いCS放送には、より商品イメージをダイレクトにターゲットへ訴求できる強みがあります。こちらは、とある趣味用品メーカーの事例なのですが、それまでWEBでECやリスティング広告・リターゲティング広告で潜在層に訴求するというCPA(Cost Per Action:アクションあたりの費用)重視の施策を行っていましたが、商品の特徴やイメージが伝わりづらいという声を伺いました。当初はWEB上で動画広告を展開されていたのですが、J:COM PMPを活用して同じ素材をCS放送でターゲットの主婦に向けCM放映したところ、完視聴にかかるコスト単価が動画広告よりもよい結果が出たのです。
──動画広告と同じ素材をそのままテレビCM素材として利用できるメリットは大きいですね。
遠田氏:WEBの延長線上でPMPを使っていただける流れができたと考えています。動画素材をお持ちなら、そのままCM出稿も可能。また、お持ちでない場合、J:COMグループの動画マーケティング会社プルークスでの制作も可能です。しかも、テレビとデジタル両方とも同じ指標で効果測定が可能です。これによって、さらなる収益の確保にもつなげられるのではないかと思います。
──テレビCM素材の搬入においては細かな規定がありますが、これらに当てはまらない素材が流れる恐れはないのでしょうか。
丸山氏:ご指摘の通り、テレビCMにおいては「冒頭0.5秒を無音にする」「画面のセーフティ(余白)領域を確保する」といった素材規定があります。これらも事前にフォーマット規定として開示することで、テレビとしてのクオリティを担保し、事故の起こらない仕組みを構築しています。
──動画配信サービスも発展し、映像コンテンツの視聴経路も大幅に増加しました。この状況において、テレビが持つ強みはどんなところにあるのでしょうか?
丸山氏:メディアとしてのテレビには長い歴史の中で培ってきたブランドセーフティという強みがありますし、デバイスとしてのテレビには高画質の映像を大きな画面で見られるという大きなアドバンテージがあります。2019年12月1日からスタートした『J:COM LINK』では、既存のCS放送に加えてTVerやNetflixなどの動画配信サービスもテレビ画面を通じて視聴できるようになりました。ビューアビリティという観点で見たとき、テレビならば同じクリエイティブでもより高い広告施策が可能なのです。
──CS放送におけるデータドリブンな広告のかたちとして、J:COM PMPには大きな可能性を感じますが、CS放送、ひいてはテレビ以外にも展開していく予定はありますか?
遠田氏:J:COMグループにはさまざまな専門チャンネルや映画配給会社、そしてイベント興行会社が傘下にあり、放送からデジタル、そしてリアルなタッチポイントまで網羅しています。これらのアセットを組み合わせ、たんにCMを流すということにとどまらず、広告主様におけるより上流の課題解決にも取り組んでいきたいと思います。
漠然としたイメージを担保とした取引から脱却し、デジタル広告とほぼ同等の効果測定を可能にするJ:COM PMP。今後の展開に引き続き注目したい。