時代はオンライン動画! PDCAサイクルを回す成功マーケティング法とは?
編集部
動画広告が出始めてから数年が経ち、だいぶ馴染みが出てきているだろう。しかし、なかにはまだ、リスティング広告の方が見慣れていると感じる人もいるはずだ。では、実際のところ、動画広告市場はどのくらい盛り上がりを見せているのか?
今後の動画広告市場の展望もふくめ、Crevo株式会社代表取締役 柴田憲佑氏に聞いてきた。
■テレビCMにはないWeb動画広告のメリット
動画の視聴がテレビからネットにシフトしてきていることや動画視聴サービスの充実、スマホ利用者の拡大が関係しているほかにも、動画広告の特徴として、ユーザーの印象に残りやすいという利点があげられるのではないだろうか。
「テレビCMは不特定多数に見てもらえるという利点がありますが、ながら見になるなど、耳に刷り込む形で情報が残りますよね。けれどWebCM は、ユーザーが画面に集中する形で見てもらえるので認識されやすいという利点があります。ただその分、WebCMは数回見ると飽きられてしまうので、違うバージョンを用意して頻繁に差し替える必要があります」
効果を見ながら改善を繰り返し、次々と新しいものを創出し続ける運用型動画マーケティングを得意とする同社。Webとの相性が良いというのは、こうした理由があるからだろう。
「テレビとWebではブライングの仕方 が違う、ということがやっと一般化されてきました。そのため、ここにきてWeb動画 を使ったマーケティングをしてみようという企業が急増しています。まずは安価にトライアルチャレンジといった企業もありますが、クリエイティブをしっかり作りこまないと効果は出ないとわかっている企業は、安く中途半端に終わらせるよりも、しっかり作りこんで効果を出そうとする動きがあります」と柴田氏は言う。
Webはコンバージョンや効果がきちんと測定できることと 、細かくターゲティングできるのが特徴だ。どういうセグメントを狙っていく かなどについて、柴田氏は「こちらとしても提案しやすく、また効果が期待できるので、せっかく動画制作を行うのであれば一度きりの配信というのは避けたいところです」と語った。
動画の使われ方が多様化してきている今、静止画コンテンツが動画コンテンツに差し変わったり、用途に合わせて長尺・短尺を切り替えたりと、今後はさらにオンライン動画が主流となる日が訪れるのだろう。では、同社では動画を活用したマーケティングをどのように行っているのかを続けて聞いてみた。
■マーケティングに不可欠なPDCA
柴田氏によると、情報量が増大する中で競合に負けずお客様に情報を届けるためには、継続的にPDCAサイクルを回したマーケティング活動が必要だという。
・Plan=計画
・Do=実行
・Check=評価
・Action=改善
「PDCAそれぞれを個別に考えるのではなく、横断的なPを考える必要があります。というのも、検証できない施策からは知見を得ることが難しいからです。改善の余地がない施策は、知見を得ても活用できないですよね」
「例えば次の3人に、ダイエットをしてもらいます。この中で検証できるのはどの人でしょうか?
Aさん:毎日何かダイエットによさそうなことをやってみる
Bさん:時間ができた時や天気の良い日にジョギングする
Cさん:3か月間、自転車でダイエットしてみる
正解はCさんです。Aさんの方法では、何がダイエットに良かったのか検証できません。同様にBさんも、不定期なジョギングでは効果が計れません。けれどCさんであれば、期間もしくは自転車という方法について検証、改善可能が可能です」
では、どのようにPDCAを横断的に回せばいいのだろうか?
「大事なのは仮説を持ってクリエイティブを制作することです。例えば、いま主流のスマホ向けに広告を出すのであれば、何よりもまず小さな画面でも一瞬で目を引くインパクトが重要ですよね。PDCAを意識するなら、冒頭のキャッチコピーや映像が異なるWebCMを複数パターン作成し、同じタイミングで配信します。さらに冒頭以外の部分は全て同じ内容にしておく。そうすることで配信結果を見て、冒頭がどういうパターンになっている動画だと一番効果が高いのかわかり、勝ちパターンを見つけられる。一度勝ちパターンが見つかれば広告効果は目に見えて改善していきます」
■“正解”を追求する運用型動画マーケティング
ただ作るだけではなくて、どう効果を出すか。そこに注力し続けていくと、クライアントが求める効果を出すためのPDCAサイクルを回すことに常に意識を向けていくことが重要であり、ユーザーに好まれる“正解”へとつながるのだ。柴田氏は、次のように語っている。
「オンライン動画の良いところは、1回制作してダメだった……で終わるのではなく、分析と改善を繰り返して効果を得られる点にあります。時には10パターンの動画を制作して、ユーザーの反応を見ながら効果の良いものを残し、改善する施策をとることもあります。このような運用型動画マーケティングが行えるのは、テレビCMと違い、オンライン動画ならではの強み。その分、コストパフォーマンスや多くのパターンの動画制作が必要になってきますが、クラウドソーシングによってクライアントのニーズに応えられるようになっているのも弊社を選んでいただける一つの理由だと思っています」
インタビューで柴田氏は、何回も“PDCAサイクルを回すためには、プランニングおよびプリプロダクション工程 が重要”と語っていた。すなわち、意図を持ったクリエイティブ設計 に力を入れていかないと、継続的な効果は出せないということ。企業側としてはそれなりに予算がかかってしまうが、きちんとしたクリエイティブ制作をしなければ、効果に結びつかず“やって終わり”という事態を招きかねない。そのため、やるからには本格的に力を入れなければ、動画制作で効果を得るのは難しいのが現状のようだ。
次回はこの「良いクリエイティブ」という部分にフォーカスし、柴田氏にインタビューを行った。
――Crevo株式会社 代表取締役 柴田憲佑氏プロフィール
1985年生まれ。愛知県名古屋市出身。高校時代にカナダへ留学し、卒業とともに帰国。中央大学商学部卒業後、ソフトバンク株式会社にて法人営業・営業企画を担当し、同時期にソフトバンクアカデミアに一期生として参加。2012年、PurpleCow株式会社を設立し代表取締役へ就任。2015年に社名をCrevo株式会社へ変更。趣味は映画鑑賞とテニス。自身の人生に影響を与えた作品は「天空の城ラピュタ」、注目しているテーマは「VR」。