有料動画配信サービス利用率は15.0% インプレスが『動画配信ビジネス調査報告書2018』を発表
編集部
インプレス総合研究所は19日、新産業調査レポート『動画配信ビジネス調査報告書2018[リニア配信・広告・オリジナルコンテンツ等、差別化を図る事業者の戦略を追う]』を発表した。
■動画配信市場の現状
これまでの動画配信市場はオンデマンド配信が主流だったが、2016年度に開始されたリニア配信(リアルタイム)配信のAbemaTVやDAZNが着々と利用者数を増やしており、2017年にはdTVチャンネルも開始された。
2017年度は、リニア配信のAbemaTVが話題性のある多額の制作費をかけたオリジナルコンテンツを配信する一方で、Amazonプライム・ビデオやNetflix等のVODの各サービスもオリジナルコンテンツを精力的に増強した。配信者が撮影をしながら視聴者にリアルタイムの動画を配信するLIVE動画サービスも利用者が増えており、ギフティング(いわゆる投げ銭)市場も立ち上がってきている。動画配信市場は、オンデマンド配信・リニア配信・ライブ配信、有料・広告・ギフティングのサービスが入り乱れて競争が激化しているのが現状だ
■有料動画利用率及び映像・動画全体の視聴状況調査の結果
有料動画配信サービスの利用率は15.0%で、昨年から5.4ポイントと大きく増加した。各サービスでTVCMなどのプロモーションがより一層強化されたことや、話題となるオリジナルコンテンツが相次いで配信されていることなどが要因と考えられる。
性年代別に見ると、有料利用率は男性30代が24.6%で最も高く、男性20代が23.1%、女性20代が20.1%と続く。高年代になるほど比率は低下する傾向も見られる。
よく視聴する映像・動画の種類の項目では、「リアルタイムのTV番組」が69.9%で最も高く、続く「録画したTV番組」が56.4%と、TV番組が上位を占める。次いで、YouTubeなどの「動画共有サービス」が36.8%、AbemaTVやTVerなどの「無料の動画配信サービス」が25.5%と、無料のインターネット動画がよく見られている
一方で、性年代別に見ると、男性10代では「動画共有サービス」が59.0%で最も高く、「リアルタイムのTVが番組」や「録画したTV番組」を上回ります。また、男性20代でも「動画共有サービス」が「リアルタイムのTV番組」に次いで2位に位置している。
一方、同年代である女性10代、20代においては「リアルタイムのTV番組」が最上位を維持している。動画共有サービスが強いのは若年層の男性特有の傾向であることも見逃せない。「TV番組が若年層の男性への訴求に乏しい傾向がある」ことと「動画共有サービスのコンテンツが若年層の若者に刺さっている」ことの両面から検討が必要ではないだろうか。
「SNS上の動画」に注目すると、女性10代で45.7%と他の年代より突出して高い。また、「LIVE動画/LIVE配信」についても男女10代で20%超の比率で高く、若年層において動画によるコミュニケーションが拡大していることも推察される。
その結果、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合が38.4%(2,306億ドル)にまで拡大し、テレビ広告費の35.5%(2,132億ドル)を初めて上回った。また、2018年には、調査対象の59カ国・地域のうち、21カ国・地域でデジタルが媒体別広告費でトップになると予測されている。
■無料動画、LIVE動画/LIVE配信利用者の利用状況調査の注目の結果
「動画共有サービス」、「無料の動画配信サービス」、「SNSの動画」をよく視聴すると回答したユーザーに対して、利用しているサービス名を聞いたところ、「YouTube」(97.4%)、「ニコニコ動画」(42.9%)の動画共有サービスが上位を占めた。以下、SNSの「Twitter」「LINE」が3位、4位と続き、リニア配信の「AbemaTV」は30.1%、「GYAO!」は23.4%。民放が共同で見逃し配信を提供している「TVer」は18.6%となった。
また、よく視聴する無料動画の制作者では、「一般の人」が53.9%で最も高く、「テレビ放送局」が49.0%、「YouTuberなどネット動画で有名な人」が38.6%で続いている。テレビ放送局や音楽制作会社などプロフェッショナルが制作した動画以上に、一般の人やYouTuberなどが制作した動画を視聴するユーザーの比率が高いことが注目される。
また、よく視聴するLIVE動画の配信者では、「タレント、芸能人」が50.7%、「ネット動画で有名な人(YouTuberなど)」が44.3%、「知り合いではない一般人」が31.2%、「企業」が25.9%、「スポーツ選手、スポーツチーム」が24.1%と続いている。タレントやアーティストなどの公式チャンネルでのLIVE配信が増えていることや、YouTuberの人気ぶりを反映した結果といえる。。