21 FEB

NTTグループ、大阪・関西万博におけるIOWN APNを活用したリモートプロダクション環境を共同利用化

編集部 2025/2/21 17:15

NTTグループは2025年大阪・関西万博において、低消費電力、大容量高品質、低遅延伝送を兼ね備えた「オールフォトニクス・ネットワーク(以下、IOWN APN)」を夢洲会場内のパビリオン・催事施設等の主要施設間に提供することで、多くのパートナーと共創し未来を先取りした体験を提供することを発表(※1)した。

今回、NTT西日本グループ(※2)はIOWN APNを活用した放送業界DXの取り組みの一環として、大阪・関西万博会期中に複数の放送局が共同利用可能なリモートプロダクション(※3)設備を提供し、在阪放送局と共同で実証実験を実施すると共に、IOWN APNを活用したリモートプロダクションの普及拡大に取り組んでいく。本取り組みによって、番組制作ワークフローの効率化と設備コスト削減の実現を目指す。

※1:2023年7月20日報道発表 NTT、大阪・関西万博 夢洲会場へのオールフォトニクス・ネットワーク提供を決定
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/07/20/230720a.html
※2:NTT西日本グループは、西日本電信電話(株)、NTTビジネスソリューションズ(株)、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト(株)、および(株)NTTSportictが対象
※3:イベント会場等の中継先と放送局をIPネットワークで接続し、放送局から中継先のカメラ等の機材を遠隔操作することで、リモートで番組制作を行う手法のこと

■①背景

現在、イベント会場での映像制作については各種制作機器を搭載した中継車を使うのが一般的だが、中継車の維持コスト、スタッフを含めた現地派遣コストに加えて、制作環境構築のためのリードタイムが発生することから制作ワークフロー全体の効率化が求められている。

■②取り組みの概要

本取り組みでは、データセンターと万博会場および放送局を、IOWN APNの技術を活用した「All-Photonics Connect powered by IOWN(※4)(以下、All-Photonics Connect)」にて接続した上で、データセンター上に制作設備を設置し、複数の放送局が接続できるようにすることで、リモートプロダクション環境の共同利用化を実現する。

これにより、番組制作稼働の効率化、個別の設備投資・維持管理コスト、構築リードタイムの削減を可能にする。

※4:2024年11月18日報道発表 世界最高水準となる最大800Gbpsのユーザー拠点間帯域保証型通信サービス「All-Photonics Connect powered by IOWN」の提供開始
https://www.ntt-west.co.jp/news/2411/241118a.html

図1:万博会期中における提供イメージ

※5:エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社のデータセンターを利用
※6:KAIROS(ケイロス)「AT-KC200T」:パナソニック コネクト社製品。ST2110に対応したIPスイッチャーとして採用
※7:MediaRouterX V2:NTTイノベーティブデバイス社製品。IOWN APNを活用したリモートプロダクションに適したネットワーク機器として採用(ハードウェア:UfiSpace社製、ネットワークOS:IP Infusion社製)

■③本取り組みのポイント

▼運用観点
共同利用型のリモートプロダクションサービスを実際の放送向けに利用することを前提に、実運用上の課題を明確化。また、最適なワークフローの具体化を行うことで、商用サービス化を推進する。

▼技術観点
データセンターからの時刻同期信号の配布、およびデータセンター設置の制作機器接続に伴う冗長性、遅延量について評価する。

■④各社の役割

本取り組みは、以下の各社が連携して進めていく。

・西日本電信電話株式会社
All-Photonics Connectの提供
・NTTビジネスソリューションズ株式会社
データセンターを活用したリモートプロダクションの企画、および放送局との調整
・エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社
本実証実験の全体統括、IOWNネットワークの設計・構築・保守運用、データセンターの提供、リモートプロダクション設備の構築・保守運用
・株式会社NTTSportict
リモートプロダクション環境の設計・構築・運用支援
・日本電信電話株式会社
大阪・関西万博におけるIOWN活用の推進、および、ステークホルダー様との共同PRの検討
・NTTイノベーティブデバイス株式会社
万博会場・放送局設置のMedia over IP(※8)対応光パケットスイッチポンダ(MediaRouterX V2)の提供、各拠点のネットワーク設計の支援
・パナソニック コネクト株式会社
IPスイッチャー(※9)(KAIROS)および周辺機器の提供・オペレーション支援、並びにリモートプロダクション環境の設計・構築支援
・日本放送協会、朝日放送テレビ株式会社、関西テレビ放送株式会社、讀賣テレビ放送株式会社
Media over IPシステムに関する技術的知見の共有、およびリモートプロダクション環境の最適化と操作性・運用の評価・課題抽出

※8:映像や音声などのメディアコンテンツをIPを利用して送受信する技術
※9:IPネットワークを利用して、複数の映像や音声ソースを切り替える機器やソフトウェアの総称

■⑤今後の展開

NTT西日本グループは、今回提供するデータセンターをハブとして複数のイベント会場と制作拠点をAll-Photonics Connectで接続し、リモートプロダクション設備を共同利用型で提供する「メディアハブ(仮称)」のサービス化の検討を進めていく。

さらに、メディアハブ(仮称)のエリア拡大やAIを活用した映像分析・編集支援などの機能拡充により、映像制作のDXだけでなく、コンテンツの品質向上にも貢献することで、メディア業界全体の発展に貢献していくという。

図2:メディアハブのイメージ