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民放5局共同でCM考査を効率化 新組織「テレビCM考査センター」 テレビカンファレンス2024レポート(後編)

編集部 2024/12/23 06:00

2024年11月7日、東京国際フォーラムにて、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビの民放キー局5社による「テレビカンファレンス2024」が開催された。

今年で2回目となる同カンファレンスのテーマは「もっと伝えたい、テレビのこと~ビジネスを加速させるテレビマーケティング最前線~」。テレビCM、動画広告から、IP、イベント、テクノロジーなど、テレビ局が取り組む様々なソリューションが紹介された。

スペシャルステージ、サイドステージに分かれて行われたセッションのうち、本記事では前・中・後編にわたってサイドステージの模様をレポート(スペシャルステージのレポートも後日アップする)。後編にあたる今回は、株式会社TBSテレビ 営業局 CM部 ゼネラルマネージャーの須永太郎氏による「『テレビCM考査センター』設立にあたって」をお送りする。

本セッションでは、民放5局と広告会社間でテレビCM考査業務を効率化することを目的に設立された組織「テレビCM考査センター」について解説。業務の詳細ととともに、設立に伴って運用を開始する考査システム「ICCOU(イッコウ)」について紹介する。

■広告会社が放送局ごとに行っていた考査依頼を一元化「素材制作も1本で済む」

「これまでは広告会社が放送局ごとに個別の考査依頼を行い、その回答を集約する必要があった」と、須永氏はセンター立ち上げの背景を説明。「従来のフローでは複数の回答をまとめるためのコストや時間がかかり、場合によっては複数の広告素材を制作する必要が生じていたが、『テレビCM考査センター』を通じて回答を一元化することで負担を軽減し、素材制作も1本で済むようになると語る。

「テレビCM考査センター」では、広告素材の表現考査を「A判定(修正不要で放送可能)」「B判定(キャラクター使用など、各局確認が必要な特定要素が存在)」「C判定(センターで判断できず、従来通り各局ごとに考査が必要)」「D判定(その他)」の4段階で実施。

須永氏は「センターの役割は『予備審査』であり、最終的な放送可否は引き続き各局に委ねる」としつつ、初期審査による効率化と、放送局ごとの独立性や放送責任の維持を担保することを目指すとした。

■WEBシステム「ICCOU」で考査依頼と進捗確認が可能 放送局未定でも先に審査OK

「テレビCM考査センター」では、広告会社、放送局間での考査業務を効率的に進めるべく、WEBベースの新システム「ICCOU(イッコウ)」を導入。広告会社はシステムにログインして考査依頼を提出し、進捗や判定結果を確認できる。また、APIにより、考査結果を放送局と共有することも可能。追加確認や個別対応が必要な一部のケースを除き、再依頼や個別確認の負担を軽減できるという。

CMを放送する局の指定については考査依頼時に入力する仕組みだが、依頼時点で未定の場合でも、一時的に考査依頼を行って早期に素材審査を受けることが可能。後日、放送局が確定した時点で追加情報を入力し、再依頼が行える。須永氏は「このシステムにより考査内容の透明性が高まり、関係者間の負担が大幅に軽減される」と述べた。

■今秋、大手広告3社と実証実験 広告会社向けの説明会を2025年1月に実施予定

「テレビCM考査センター」では電通、博報堂DYメディアパートナーズ、ADKマーケティングソリューションズの大手広告3社とともに、10月15日から11月中旬まで実証実験を実施している(※テレビカンファレンス開催の11月7日時点の情報)。

実験では1日10〜20件程度の案件を扱いながら、考査センター内での作業フローや広告会社との連携、放送局の考査チームとのやり取りを確認するほか、「ICCOU」システムの画面構成や操作性、APIを利用した判定結果の共有プロセスを検証中。今後、広告会社向けの説明会も検討しているという。

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