25 OCT

関西テレビ『ザ・ドキュメント The indigo BUAISOUのつくるいろ』がABU賞「ABUの視点部門」で審査員賞を受賞

編集部 2024/10/25 12:00

アジア太平洋放送連合(ABU)が、優れたテレビやラジオ番組などを表彰するABU賞の授賞式が現地22日夜にトルコ・イスタンブールで開催された。

このうち「ABUの視点部門(2024年のテーマ「未来」)」で、世界を舞台に活躍する藍染め集団に密着取材した関西テレビ放送株式会社(以下、関西テレビ、カンテレ)のドキュメンタリー番組『ザ・ドキュメント The indigo BUAISOUのつくるいろ』が審査員賞を受賞した。

なお、今年、ABU賞全体では、テレビ182作品、ラジオ110作品、デジタルメディア50作品の計342作品の応募があった。

審査員のコメント

4K技術を駆使して、彼らが生み出すユニークな「色」にスポットを当て、その技を視覚的に魅せる革新的な視点を提供している。「The indigo」は個々の物語を通して世界的な問題を説明する作品だ。ストーリーは非常に感動的かつ素晴らしいもので、人として深く共感できるものだった。

赤穂雄大ディレクター(報道情報局報道センター)のコメント

多くの方々のお力添えを頂き、このような賞を頂けて非常に光栄です。青い手と彼らのスタイルに魅了されて始めた取材でしたが、想像以上の苦悩も知りました。「ものづくりで生きていく」苦しみと、そして希望を教えてもらいました。この賞はそんなBUAISOUの魅力がとらせてくれたと思っています。

赤穂雄大ディレクター

■『ザ・ドキュメント The indigo BUAISOUのつくるいろ』

徳島県上板町で活動をする藍染集団「BUAISOU」。その工房には世界の有名企業(スタジオジブリ・ナイキ・ジミーチュウ等)や著名人が訪れる。

彼らが評価される大きな理由のひとつは、自分たちで藍(植物)を育て“すくも”(染料)を作り、染めるという工程を一貫して行っているところにある。藍染め業界の常識は分業制。しかし、彼らはすべて自分たちで行い「BUAISOUのいろ」を作ることにこだわる。1年をかけて生まれる藍色が触れた人の心を掴むのだ。 

一方で、取材した2年間は彼らにとって試練の連続だった。代表・楮覚郎(かじかくお)の相棒だった創立メンバーが退社。その後に採用した新卒社員の育成。ふりかかった経営危機。職人と経営者の間で揺れる楮の葛藤と長年の夢といえる特別なジーンズ制作の過程を追う。

■放送
2024年3月29日(金)25:25~26:25

■スタッフ
ディレクター:赤穂雄大
撮影:樋口耕平
編集:芳本武
英語版:端崎優子
プロデューサー:宮田輝美

■制作著作
カンテレ

近年の同賞での関西テレビ番組の受賞

■2022年「スポーツ部門」
4Kドキュメンタリー番組『希容の形』:最優秀賞

■2016年「テレビドキュメンタリー部門」
『京の摺師~パリに渡った浮世絵』:審査員賞など

ABU賞

ABU(アジア太平洋放送連合)はアジア太平洋地域の放送発展を目的に1964年に設立され、現在は約70の国と地域の放送局、および放送関連団体が所属する世界有数規模の連合。ABU賞は加盟機関の放送番組制作力や教育・文化水準の向上、相互の国際理解の促進を目的に、ABU設立と同時に創設された、番組のコンクールとしてはアジア太平洋地域で最大級の賞。

ABUの視点賞

ABU会員が選んだ世界的な課題をテーマに、ABUの視点のメッセージを最もよく伝え、その地域の課題をあらゆる形で表現した番組が対象。24年のテーマ“未来”は「イノベーション、科学、技術、個人の努力など、来るべきものの形について対話を促し、将来がもたらす可能性を描く番組。小規模でローカルなものから、大規模でグローバルなものまで、幅広い応募が可能」としている。