仙台放送のソリューションの広報にも関わってきた女優・玉田志織さんも来場
仙台放送、日本生命&ニチイ学館と「健康サポートEXPO東京」に共同出展 放送知見を活かし目や脳の社会課題の解決を目指す
編集部 2024/10/24 08:00
株式会社仙台放送(以下「仙台放送」)および日本生命保険相互会社(以下「日本生命」)、株式会社ニチイ学館(以下「ニチイ学館」)は、10月9日(水)から11日(金)まで幕張メッセで開催された「メディカルジャパン 健康サポートEXPO東京」に共同出展し、仙台放送が東北大学大学院医学系研究科と開発した視野状態を簡易チェックできるアプリ「メテオブラスターVR」を体験できるブースを設置。国内のヘルスケアイベントとしては最大級となる「メディカルジャパン」にテレビ局が出展するのは初とのこと。
仙台放送では、この「メテオブラスターVR」を活用した、眼の健康に対する気づきの機会を提供する様々な活動を行っている。仙台放送ニュービジネス事業部 部長の太田茂氏によれば、眼疾患の早期発見に寄与する新しいソリューションを通して、「眼の健康」に対する市民の関心を高め、社会課題の解決につなげる目的があるという。
編集部は、10月9日、実際に会場を訪れ、仙台放送が取り組むソリューションやその取り組みの意義について、詳しく話を聞いてきた。
■放送や通信分野で培った知見を社会課題解決のために役立てる
「眼の疾患を早期に発見できるかどうか」は、私たちが健康で豊かな一生を送れるかどうかを左右する要素と言われている。特に緑内障は、日本人の失明原因の1位であり、40代以上の5%がかかる病で、一度罹患すると完治が難しいとされる。その一方で、緑内障は本人が自覚しにくいのも特徴で、いかに日常生活の中で「眼の健康」に対する気づきを与え、早期に医療との接点を生み出していくのか、は大きな課題とされていた。
こうした社会課題の解決を目指して、仙台放送は東北大学大学院医学系研究科と共に緑内障の早期発見に寄与するアプリ「メテオブラスターVR」を開発。2024年10月から法人向けにサービスを開始した。このアプリを使うと、360度が宇宙空間というVRの没入感の中、画面中央の隕石を破壊する等の簡単な操作に約5分間取り組むだけで、利用者の視野状態の簡易判定が可能だという。
太田氏は「仙台放送では、様々な社会課題を解決するために、放送や通信での知見を活かした新たな事業創出を目指しています。眼疾患の早期発見も社会課題の1つであり、参加する意義を感じ、『メテオブラスターVR』の開発に取り組みました」とこの分野に取り組んだ背景を説明する。
仙台放送では、「交通事故ゼロ社会」の実現に向けて、「運転技能」「認知機能」「心理状態」を高めることを目的としたトレーニングアプリ「BTOC(ビートック)」を東北大学と開発、実装してきた実績がある。
「東北大学との産学連携を通して、様々な共同研究を行ってきました。最近の研究では、眼球の寿命は約70歳が限界とも言われており、人生100年時代とのギャップが30年も生じています。目の具合が悪くなって初めて病院に行くのでなく、未病の状態からリスクを明らかにして、早く医療にタッチしてもらう必要があるのです。そこで、放送の知見を生かしながら、人々の行動変容を促すような仕組みを生み出すことで、社会課題の解決に協力することができれば」(太田氏)と言葉に力を込める。
■日本生命やニチイ学館も共同出展
日本生命は、眼疾患の早期発見・予防というテーマに早くから取り組んでおり、仙台放送の「メテオブラスターVR」の取り組みに賛同し、連携協定を締結するなど、普及・啓発活動で行動を共にしている。今回から加わったニチイ学館は、「地域連携営業支援サービス」の提供を開始しており、病院の紹介患者獲得に向けて、広報活動を支援している。全国に約7000もの医療機関との関係を持っており、今後ヘルスケア業界への実装において、シナジー効果が期待できるとしている。
日本生命のヘルスケア事業部 課長代理の早坂遼太氏は仙台放送との協業について、「日本生命は仙台放送と目の健康に関するソリューションと、脳の認知機能の向上に対するソリューションの分野でタッグを組んで、協力しあっています。多種多様なヘルスケア事業に取り組む中、仙台放送が東北大学と目の健康、認知機能の向上の取り組みを行なっているのを知り、安全運転などの分野でも大事なことであるため、一緒に取り組むことになりました」と説明する。
ニチイ学館の事業統括本部事業企画室のシニアマネージャーの井𡈽兼利氏は、ニチイ学館が日本生命グループの一員になったことを説明した上で、「医療の機能分化が進む中、地域医療連携及びその推進機能である地域医療連携室の重要性が高まっていますが、地域医療連携室のマンパワー不足や活動の継続性も課題となっています。へルスケア事業における様々な社会課題の解決につなげるため、今回の出展に参加することになりました」と共同出展の理由を明かしていた。
■番組は一つのきっかけ テレビ局発の社会貢献ソリューション開発を推進
放送局がヘルスケア分野での社会貢献に取り組むことについて、太田氏は「仙台放送の新規事業も、当初は自社番組のマルチ展開等からスタートしましたが、現在では、大学との産学連携から知的財産を生み出し、社会課題解決の仕組みを構築するという形に変化してきました。当初はテレビ番組が入口だったとしても、途中で多くのプレイヤーとの共創があり、また出口も多種多様になってきました」とし、新規事業のフィールドとしては、放送や番組という枠組みにこだわっていないとする。
一方で、「テレビ番組を通してソリューションを広げることも重要なテーマです。放送局には、世の中に必要なものをプロデュースするという役割があり、一時期はソリューションやサービスが先行していたとしても、どこかで放送や番組を活用することで生まれる価値や影響力が必要とされるように思います」(太田氏)と語っていた。
■玉田志織さんが「メテオブラスターVR」を実際に体験
この日、仙台放送、日本生命、ニチイ学館のブースには宮城県仙台市出身の女優で、仙台放送の『川島隆太教授のテレビいきいき脳体操』への出演を通じ、仙台放送のソリューションの広報にも関わってきた玉田志織さんも来場して、「メテオブラスターVR」を実際に体験した。
「メテオブラスターVR」はゴーグルを装着し、画面に映し出されたゲームをすることで視野の健康状態を確認することができるという内容になっている。宇宙空間を舞台とし、やってくる隕石を破壊することで、ゲームの結果とともに、両目の視野の状況も画面に表示され、自分の目の健康状態を知ることができる。玉田さんは実際にアプリをプレイし、「ゲームを楽しんで、目の健康がわかるというのは画期的だなと思いました。私もこのアプリをもっといろんな人に発信していけたらいいなと思いました」と笑顔で話していた。
放送局が自らの知見を生かし、より多様な社会課題に取り組む動きが今後、活発していくのかもしれない。