26 JAN

TSSテレビ新広島、『Hiroshima Peace Program TSSアーカイブプロジェクト』で平和推進番組を世界に配信

編集部 2024/1/26 10:30

テレビ新広島(TSS)が、“被爆地・広島”を知ってもらうための平和推進プロジェクト『Hiroshima Peace Program TSSアーカイブプロジェクト』で、原爆をテーマにした報道特別番組やミニ番組を、被爆者証言に英語字幕を付けて国内外の方々が視聴できるように世界配信をしている。

インターネットを通じて世界中の方々に視聴してもらうことで、争いのない平和な世界の実現を目指すとともに、戦争によって街が破壊され愛する人たちを失った紛争地域の方々にも、戦禍を乗り越え緑に包まれた現在の広島の姿を観ていただくことで、未来への希望を見出してもらいたいという祈りと願いを込めている。

『語られなかった真実~原爆で死んだアメリカ兵~』初回放送:2004年8月6日
『刻みつけられた地獄 最初で最後のヒロシマPTSD調査』初回放送:2010年8月6日
『ヒロシマを遺した男』初回放送:2014年8月6日
『原爆ドーム~その名に遺されたもの~』初回放送:2019年8月6日
『誰がための放影研』初回放送:2020年8月6日

TSS報道特別番組『アイ アム アトミックボム サバイバー~小倉桂子が伝え続ける理由~』

2023年11月23日からは第8弾作品として、TSS報道特別番組『アイ アム アトミックボム サバイバー~小倉桂子が伝え続ける理由~』(2023年8月6日放送)が世界に向けて配信中だ。

被爆者の高齢化が進み、被爆者たちは「自分に残された時間」と対峙している。2021年3月からカメラが追いかけたのは、小倉桂子(86)。英語で被爆証言をする数少ない語り部だ。今年5月、G7広島サミットで各国首脳との面会に一人で臨み注目された。

8歳のときに爆心地から2.4キロの牛田町で被爆し、長い間、日本国内で自らの被爆体験については口を閉ざしてきた。過去を語ることは心をえぐられるような思いであり、家族への差別も恐れていたからだ。結婚して専業主婦として家族と幸せに暮らしていたが、広島平和記念資料館の館長を務めていた夫が、平和宣言の草稿執筆中に急死。夫と交友のあった海外ジャーナリストからの後押しもあり、夫の遺志を継いで被爆証言者の通訳をするようになった。

証言活動を始めた頃は通訳に徹していた彼女だが、あるとき広島を訪れた外国人から「通訳では時間がもったいない。質問をする時間がなくなるから、桂子の被爆体験を聞きたい」と懇願されたことをきっかけに重い口を開くことに。それからは「見えない苦しみを伝えられるかもしれない」と、自らの被爆体験を伝えるようになった。夫の死後、年間2,000人のペースで約40年間、国内外へ発信を続けてきた。

今年5月、G7広島サミットでの各国首脳への被爆証言、さらに電撃来日したウクライナのゼレンスキー大統領との面会が急遽決まり、この歴史的瞬間に被爆者それぞれが強い思いを持つなか、彼女は「荷が重すぎる」と葛藤した。覚悟を決めてたった一人で重責を担った3日間に密着した。

いつかの時代、どこかの国の誰かが、『Hiroshima Peace Program TSSアーカイブプロジェクト』の番組を観たことがきっかけとなり、未来を大きく変えていくかもしれない。TSSは広島の放送局として、被爆地の情報を発信していく。

Hiroshima Peace Program TSSアーカイブプロジェクト