ニールセン、Z世代のスマートフォン利用動向を発表
編集部 2023/7/28 10:00
視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社は、スマートフォン視聴率情報「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView) 」のデータをもとに、Z世代に含まれる18歳~24歳のスマートフォン利用動向を発表した。
マーケティング担当者として、若年層とのコミュニケーションを考える際は、他の年代と比べてデジタルメディアの視聴が多いなど、メディア視聴状況の年代間の差異を把握した上でプランニングしているだろう。
Z世代は物心ついたときから動画サービスやSNSを自由に使うことができる環境が整っていたため、特に他の年代と比べてデジタルサービスを使いこなしていることは、広く知られているところ。しかし、デジタル業界では流行の移り変わりも早いため、マーケティング担当者としては最新の利用動向を正確に把握しておくことが非常に重要だ。
とはいえ、普段よく利用しているメディアでは、それほど大きな差異は見られないのでは無いかと考えがちかもしれないが、大きな違いが2点ある。
1つ目の差異は、どの年代にも多く利用されている上位サービスにおいても、Z世代では他年代よりも利用率が高い点。スマートフォン上でよく利用される上位15サービスをみると、確かに13個は同じサービスとなっており顔ぶれは似ている。しかし、利用率ではどのサービスでもZ世代の方が高くなっており、デジタルサービスを活発に利用している様子がうかがえる。特にTwitterやInstagramなどのSNSでは、全年代と比べてアクティブリーチが約20ptも高くなっている。
2つ目の差異は、他の年代では広くは浸透していないサービスが上位にランクインしてくる点。TOP15の中でも、Z世代では半数以上がTikTokを利用し、43%もの人が顔文字などを手軽に変換できるキーボードアプリ「Simeji」を利用していた(図表1)。
ターゲットとなる年代の中では当たり前のように利用されているサービスを理解していないと、彼らに広くリーチできる媒体を見落とすだけでなく、彼らに共感してもらえる方法で伝えることができずに、コミュニケーションの効果を高めることができないリスクにもなりえそうだ。
コミュニケーションを取っていく際には、何人にリーチできるのかという点に加えて、しっかり記憶にとどめてもらうために複数回接触できることも重要。その際に重要な指標として利用時間を把握しておくことも大切。世代間の差異は、上位サービスの利用時間においても見られる。スマートフォンの利用時間全体のうち利用時間上位6媒体が占める割合は全年代において58%となっているが、Z世代では11pt高い69%を占めている(図表2)。
主要メディアを活用したコミュニケーションが重要であることは多くのマーケティング担当者が理解するところだが、Z世代においてはその重要性がさらに高まると同時に、それだけ競合他社も含めた多くの広告に接触している時間であるということを理解した上で、効果的なコミュニケーション方法を試行錯誤していく必要性があることがわかる。
スマートフォン上で消費者が多くの時間を割いているカテゴリの一つに動画サービスがある。全年代においても、主要な動画7サービスの利用時間がスマートフォンの利用時間全体のうち14%も占めているが、Z世代ではさらに10pt高い24%を占めており、動画サービスがコミュニケーションの場として重要なことがよくわかる。また、それぞれのサービスのリーチをみても、全年代とZ世代では大きな差異がある。NHKやTVerなどのテレビ由来のサービスのリーチには大きな違いは見られないものの、その他のデジタル動画サービスのリーチはすべてZ世代のほうが高くなっており、特にAmazon Prime VideoやNetflixではその差異が大きくなっている様子がうかがえる。このように、Z世代では広告が表示されるサービスも広告が表示されない定額制のサービスもともに、多様なサービスを使いこなしながら、多くの時間を動画コンテンツの視聴に費やしていることがわかる。
当社シニアアナリストの高木史朗は、次のように述べている。
今回の分析結果から、Z世代は多くのサービスを使いながらも、主要なサービスにおいて他の年代よりも多くの時間を費やしていることがわかりました。つまり、それだけ特定のサービスにおいて多くの広告と接触する機会のある世代であるということもわかりました。このような特徴を理解せずに主要メディア上でコミュニケーションを取っていても、彼らの心を動かすことができない可能性があります。主要メディア上で競合他社との差別化を図って注目してもらえるようにすることや、他のメディアをうまく活用して効率的にリーチを拡大できる方法を計画するなど、ターゲットの最新のメディア視聴状況を理解した上でのコミュニケーション設計が重要になります。