連続スリラードラマ『THE HEAD』シーズン2メインキャストの福士蒼汰
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カンヌ日本発イベント復活の全貌~加速化するグローバル流通市場【MIPCOMカンヌ2022】レポート②
編集部 2022/11/11 08:00
今年のMIPCOMカンヌは3年ぶりに完全復活の開催となった。世界100か国から約1万1000人以上が参加し、その内200人強が現地入りした日本勢も以前のように各種セールス・プロモーションを活発化させた。一方で、世界のコンテンツ流通市場トレンドは変化も見せる。国際共同展開が活況を呈し、オープニング・キーノートを務めたイギリスBBCスタジオの事業戦略やプロデューサー対象の新企画イベントが注目を集めた。キーワードは「加速化する変革の波」だ。10月に南仏カンヌで現地取材した「MIPCOMカンヌ2022」を3回に分けてレポートする。レポート②は日本発イベントを中心にお伝えする。
■WOWOWが2年連続グランプリ受賞
今年のMIPCOMカンヌは80を超える数のプログラムが組み込まれた。その内、約1割を占める数の日本発イベントが実施され、3年ぶりに日本勢のプロモーション活動が本格化した。
17日初日の朝8時から全プログラムのトップバッターを飾ったのが13回目を数えた国際ドラマフェスティバルin TOKYOによる「MIPCOM Buyers’ Award for Japanese Drama」授賞式だった。MIPTV/MIPCOM統括ディレクターのルーシー・スミス氏が冒頭挨拶を行い、「重要なMIPCOMイベントの1つです」と述べ、MIPCOM恒例イベントとして定着していることが強調された。なお、昨年のMIPCOMから朝食会スタイルに変わり、ホテル・バリエール・ル・マジェスティック・カンヌの一室で行われた。
審査員は約12か国からバイヤーや業界のキーマンが務め、その1人であるグローバルリサーチ会社代表のヴァージニア・ムスラー氏は「日本のドラマの進化に驚かされました。国際市場に適応しながら、扱うテーマとキャラクター、設定に普遍性を持ちながら、日本人らしさを保っています。プロデューサーの個性が現れているものもありました」と今年のノミネート作品を総括するコメントをメッセージビデオで寄せた。
WOWOWは2年連続で同賞のグランプリ獲得となった。『連続ドラマW 正体』を選んだ理由についてトルコの審査員イペック・カドュラー氏にコメントを求めると、「殺人事件を扱った作品は市場性が高く、配信プラットフォーム向きです。一番夢中になれた作品でした」と評価していた。
WOWOWは2年連続で同賞のグランプリ獲得となった。『連続ドラマW 正体』を選んだ理由についてトルコの審査員イペック・カドュラー氏にコメントを求めると、「殺人事件を扱った作品は市場性が高く、配信プラットフォーム向きです。一番夢中になれた作品でした」と評価していた。
■総務省支援、BEAJ主催で復活したバラエティプロモ
ドラマに続き、日本のバラエティ番組フォーマットのプロモーションイベント「TREASURE BOX JAPAN(以下、TBJ)」も実施された。総務省の支援により、一般社団法人放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)の主催でイベント企画が再構築された背景がある。
冒頭、MIPCOMカンヌに来場した総務省情報流通行政局コンテンツ振興課・放送コンテンツ海外流通推進室長の向井ちほみ氏が挨拶し、「紹介する8作品すべてが日本という地域性を活かし、唯一無二の宝石のような輝きを持つものです。きっとお土産にしたいものが見つかるはずです」などと述べた後、WIT社代表のヴァージニア・ムスラー氏とBEAJシニア・アドバイザーを務めるマチュー・ベジョー氏の司会でトークショー形式のライブプレゼンテーションが始まった。
フジテレビは日本が得意とするフィジカルショー(身体を張ったバラエティ)にクイズを組み合わせた『Battle of Brains and Muscles』(『インテリ&マッスル頂上決戦~パーフェクトワン~』)を、TBSはセット演出が印象的なクイズゲームショー『MEMORIZE THIS!』(『瞬間記憶バラエティー オボエロ!』)をテンポよく紹介していった。
TBJ初参加の吉本興業は日本テレビ恒例の大晦日特番『YOU LAUGH YOU LOSE』(『絶対に笑ってはいけない24時』)を紹介し、同じく初参加のカンテレは市場トレンドにあるデートショー企画として『Matching House』(『マッチング・ハウス』)をプレゼンした。定番人気のフードショーも揃った。読売テレビは低予算ながらユニークなキッチンスタジオを売りにした『Uprising Kitchen』(『下剋上キッチン』)を、テレビ東京は中国市場を主なターゲットに置いた『THE FIRST RECIPE』(『ザ・ファーストレシピ』)を並べた。
ここのところフォーマットセールスの成功例が続出する日本テレビはEコマース展開に可能性を見出す『Money or Junk』(『錬金バトル KASEGE』)を、そしてまた海外ヒット事例を持つテレビ朝日は新ジャンルに挑戦した『Fund My Fantasy』(『妄想会計』)を紹介した。プレゼンした8社それぞれが企画の狙いなど端的に説明し、充実した内容だった。それゆえに、企画者ないし企業の個々の個性が見える打ち出し方があっても良いのではないかとも思わせた。
■福士蒼汰、三浦透子もMIPCOMに来場
期間中、日本から華やかな話題も提供された。日本テレビグループ傘下のHuluジャパンが国際大型プロジェクトに参加する連続スリラードラマ『THE HEAD』シーズン2メインキャストの福士蒼汰が来場し、会場の注目を集めた。またアジアン・ワールド・プレミア・TV・スクリーニングとして、カンテレ制作による長澤まさみ主演ドラマ『エルピス -希望、あるいは災い-』(以下、『エルピス』)が世界初上映される大型プロモーションも実施され、出演する三浦透子と佐野亜裕美プロデューサーが来場した。
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業界注目のソニーのカンヌ特別セッションも3年ぶりに復活し、最新TVコンテンツ制作をテーマに「Content Creation Now」と題した3つのセッションが展開された。ソニーグループ・コーポレートテクノロジー戦略部門 Group1 統括部長の戸村朝子氏は「世界的なパンデミックの影響でバーチャルやリモートでコンテンツを制作する機会が増え、またコンテンツ配信の方法も大きく変化しました。この制作・配信の飛躍的な進化は、プロデューサーやクリエイターの表現の自由を広げ、より感動的なコンテンツを生み出すことにつながるとソニーは考えています」と挨拶し、クリエイターと技術者の相互作用を狙いセッションを企画したことを説明した。
数多くの日本発イベントが実施されるなか、MIPCOMマガジン編集長のジュリアン・ニュービー氏による最終日のラップアップセッションで唯一メンションされた日本の話題はTBSの恋愛バラエティ番組『LOVE by A.I.』単独プロモーションだった。世界ヒット番組『ザ・マスクド・シンガー』のアメリカ版をプロデュースしたクレイグ・プレスティス氏と共同開発した背景についてニュービー氏は触れながら、「アジアのアイデアをアメリカで成功させ、他の国にも大きく広げる可能性があるものとして興味深い」と語っていた。
国際共同展開を主軸とした加速化が市場トレンドであることを物語るものでもあった。日本の参加者たちはこの市場の変化をどのように捉えているのだろうか。レポート③に続く。
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