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静岡放送『おひさま家族~りんくん一家の17年~』がニューヨークフェスティバル2022銅賞を受賞

編集部 2022/5/1 09:00

静岡放送の難病を患う少年とその家族を10年以上にわたって追ったドキュメンタリー『おひさま家族~りんくん一家の17年~』が、第64回ニューヨークフェスティバルにてドキュメンタリー・コミュニティー・ポートレート部門銅賞を受賞した。

日が暮れてからの外遊び(6歳)

1957年設立のニューヨークフェスティバル(New York Festivals)は 世界50か国以上からエントリーがあり、テレビ番組、映画、ラジオ、広告、インターネットなどのあらゆるメディア表現を評価の対象とし、優れた作品を表彰する国際的なクリエイティブアワードだ。

今回、同アワードのドキュメンタリー・コミュニティー・ポートレート部門銅賞を受賞した『おひさま家族~りんくん一家の17年~』は、太陽の紫外線を浴びると高確率で皮膚がんを発症し、神経障害も伴いながら30歳を迎える頃には生涯を終えるといわれる難病、色素性乾皮症(A群)を患う少年とその家族(静岡県富士市)を、10年以上にわたって取材したドキュメンタリー番組。

本編は、2022年12月末まで、静岡新聞SBS動画プラットフォームのDoGAS(ドガス)で配信されるという。

DoGAS(ドガス)

静岡放送株式会社
中村潔ディレクター

私が清 麟太郎(せい・りんたろう)君と出会ったのは、彼が小学1年生の時でした。それから10年以上にわたり、取材をさせていただきましたが、いまだ忘れられないのは父・淳一さんの「長生きはして欲しいけど、麟太郎と一緒にあの世に行けたら。1人残されて、誰かに迷惑だと思われたらかわいそう」と言う言葉です。

取材を続けるということは、その分、りん君の「死」に近づいていくことにもなります。常に、最後まで撮影する覚悟はあるのか、懸命に生きる家族に、現実を突きつけることにならないかという葛藤がありましたが、番組放送後に、淳一さんから「良い番組を作ってくれてありがとう」という言葉をいただき救われた気がしました。

もし、生まれた時から生きる時間が決まっているとしたら、人は、家族は、どのような人生を歩むのでしょうか。「毎日が幸せ」と言い切るおひさま家族の姿を、これからも追い続けていきたいと思います。

『おひさま家族~りんくん一家の17年~』番組概要

静岡県富士市に住む清麟太郎(せいりんたろう)君(18)は、生後10ヵ月の時に病気の宣告を受ける。10歳で歩行困難が出現、15歳で起立不能、16歳で車椅子使用が平均的だという機能低下の経過を、りん君はほぼ時間通りに刻んでいく。彼にとって「生きる」事とは、死に向かっての確実なスケジュールを辿ることでしかない。

家族は、りん君の人生をできる限り豊かなものにしようと努力を続けてきた。静かに寄り添う祖父。孫の生きた証を残そうと、絵本を作った祖母。将来を見据え、介護の仕事に就いた母。他人に迷惑を掛けないよう、自分と同じ日に天寿を全うして欲しいと心密かに思う父。そして兄弟は……。

麟太郎君と家族の17年の歩みから、家族のあり様と生きる事とは何かを問い掛ける。

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