HTB、JGN回線を活かした8K非圧縮映像配信実験に成功
編集部 2022/2/14 17:00
HTB北海道テレビ放送株式会社は、2月5日(土)~2月11日(金・祝)に国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、神奈川工科大学、池上通信機株式会社などと共同でJGN回線を活用した超広帯域映像伝送実験「2022年NICT雪まつり実証実験」を実施。クラウドとエッジの連携による超高精細8K*非圧縮映像配信実験(1)、JPEG-XS符号化による長距離伝送実験(2)、および超広域でのNMOS運用実験(3)に成功したことを発表した。
JGN(Japan Gigabit Network)回線とは、NICTが運営する超高速研究開発ネットワークで、今回は、2030年代のあらゆる産業・社会の基盤になるとされる次世代情報通信基盤Beyond5G*の導入に向けた実証実験として行われた。主な実験内容と成果は以下のとおり。
■【2022年NICT雪まつり実証実験】概要
(1)クラウドとエッジの連携による超高精細 8K 非圧縮映像配信実験
Beyond5Gにより、ライブ配信など様々な映像アプリケーションも超高精細8K映像を用いられると想定されているが、大容量の8K映像処理をクラウドで行う場合には、処理速度、回線速度が圧倒的に不足するほか、回線速度や端末の種類に応じた適切な映像トランスコード技術が課題とされている。
今回の実験では、国内8Kクラウドと、エッジの映像処理機能(ソフトウェアベースの映像スイッチング機能とトランスコード機能)を連携させた高度な分散処理により、札幌(HTB局舎内)、大阪、沖縄の各拠点に設置した8Kカメラからの非圧縮映像の配信に成功した。
(2)JPEG-XS符号化による長距離伝送実験
札幌拠点からHD信号2系統をJPEG-XS符号化により東京拠点まで長距離伝送することに成功。JPEG-XSは、データ量を最大10分の1に圧縮しつつ、視覚的に損失のない画質を実現する符号化で、JPEG-XS符号化による帯域を有効活用したHD複数素材伝送は、スポーツ中継などのIPリモートプロダクション制作において有効な手段となることが期待される。
(3)超広域でのNMOS運用実験
NMOS(Network Media Open Specification)は、IPネットワークにおけるベンダーニュートラルな制御の共通規格。今回の実験では、札幌、大阪拠点に設置した4Kカメラの初期設定を遠隔で一括適用するほか、スイッチャー、測定器などへの信号割り付け、大阪拠点カメラのHD映像を札幌拠点カメラのリターン映像として瞬時割り付けするなど、超広域でのNMOS運用に成功した。
*8K
NHK放送技術研究所が中心となって開発されているテレビ規格。4Kの約4倍、現行のフルハイビジョンの約16倍にあたる3,300万画素を持つ。横7,680×縦4,320の画素数であり、横方向の画素数が約8,000であることから8Kと呼ばれる。
**Beyond5G
「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった5Gの特徴的機能のさらなる高度化に加え、「超低消費電力」「超安全・信頼性」「自律性」「拡張性」といった持続可能で新たな価値の創造に資する機能をもった5Gの次の世代の移動通信システム。