日本の広告市場はコネクテッドTVの伸長に期待 電通グループ「世界の広告費成長率予測(2021〜2024)」発表
編集部 2022/1/28 17:00
株式会社電通グループ(本社:東京都港区)は、世界59市場から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」を発表した。
「世界の広告費成長率予測」は毎年2回更新しており、今回は2021年7月発表の予測を更新。2021年は、成長率実績の確定、2022年は予測の改定、2023年と2024年は新規予測となる。
■2021年の広告費成長率は17.0%となり、規模は2019年水準を上回る6,825億米ドルに
2020年の成長率は、コロナ禍の影響でマイナス7.1%となったが、2021年は、7 月発表予測10.4%を大きく上回る17.0%となり、大幅な回復・成長となった。デジタル広告の成長率は29.1%となり、構成比が初めて50%を超過した。テレビ広告も、2010年以降では最高の7.9%を記録。
■2022年もデジタルが牽引し、実質GDP成長率※を4.7%pt上回る9.2%(7,450億米ドル)を予測
デジタル広告が14.8%成長で全体を牽引することで、2022年の広告費成長率は実質GDP成長率(予測)を上回る9.2%を予測。2008年の金融危機の2年後の成長率と、コロナ禍の2年後となる2022年の成長率を比較すると約3倍となる。この要因は、デジタル広告の浸透で生活者の広告へ接点が拡大したことにより、広告市場全体の回復・成長のスピードが加速したことにあると考察。
■2023年は4.6%、2024年は5.8%と、2019年の4.1%を超える水準で推移する見通し
デジタルは今後も世界の広告市場の成長を牽引し、2024年には構成比が約60%となる見通し。
2022年の世界の広告市場動向について
2022年の第1四半期は、北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催により、前年同期比8.9%の成長、第2、第3四半期は、11月に行われる米国中間選挙による広告支出の増加もあり、それぞれ同10.3%、10.7%の成長を予想。また、第4四半期は、主にFIFAワールドカップ・カタール大会などにより、同9.2%の成長を見込んでいる。
媒体別に見ると、引き続き世界の広告費を牽引するデジタルは、動画広告、コネクテッドTV、プログラマティック、eコマースなどにより14.8%成長し、2022年の広告費全体に占めるデジタルの割合は、初めてテレビの割合(26.9%)の2倍以上となる、55.5%(4,080億米ドル)が見込まれている。マス媒体では、テレビは3.8%の堅調な成長を見込む一方で、ラジオは成長率が鈍化して2.0%となり、新聞と雑誌は減少傾向が続く見通し。OOH(屋外/交通)とシネマは、それぞれ12.8%、23.4%の2桁成長となり、OOHは2019年の水準を上回る見通しだ。
日本の広告市場動向について
2022年の日本の広告市場は、デジタル広告(7.2%)とテレビ広告(3.2%)の牽引により、3.5%の成長を予測。デジタルは前年に引き続きeコマースやソーシャル広告、動画広告での増加を予想している。動画広告では、通常のテレビ番組を視聴しない世代へのアプローチとなるスマートフォン向けの広告に加え、テレビデバイスで視聴するオンライン動画を対象とする広告が注目を集め始めていることから、コネクテッドTVの伸長が期待される。