ビデオリサーチ×オルツ、アンケートモニターとして「デジタルクローン(仮想調査回答者)」を使用した“次世代リサーチ”を実現
編集部 2021/11/19 14:20
株式会社ビデオリサーチ(本社:東京都千代田区、以下「ビデオリサーチ」)は、 P.A.I.(パーソナル人工知能)を開発する株式会社オルツ(本社:東京都港区、以下「オルツ」)と共同で「デジタルクローンアンケートシステム」の実証実験を実施。その第一弾の成果として、アンケートモニター(実際の調査回答者)を再現したデジタルクローン(仮想の調査回答者)の生成に成功したことを発表した。
ビデオリサーチは、AI技術を活用した次世代のマーケティングリサーチ手法を「リサーチ4.0」※1と位置づけ、その実現に向け、オルツと2021年2月より共同研究をスタート。その成果として、ビデオリサーチが保有するアンケートモニター(実際の調査回答者)から取得したデータを元に、それらを再現したデジタルクローン(仮想の調査回答者)の生成に成功。オルツの「Nulltitude(ナルティテュード)」※2を通じてデジタルクローンにアンケートを実施し、安定して回答が得られることも確認できたという。
オルツ、世界初のAIクローンアンケート「Nulltitude」をアルファテスト公開
この結果、オルツのデジタルクローンに、ビデオリサーチが保有するアンケートモニターの性年齢・職業・収入等のデータを組み合わせることで、企画段階での番組視聴者の評価予測や、これまで調査をすることが難しかった詳細なターゲットに対する評価把握も可能になることが実証された。また、クローンは個人情報を保持しないため、同システムは市場調査が抱えるプライバシー保護の課題もクリアした手法となりそうだ。
今後も両社は、多様な設問形式への対応や文章による自由回答の生成を目指して、引き続き開発を進めていくという。
※1「リサーチ4.0」とは
AIによるデジタルクローンに代表される、新たな技術による次世代型のマーケティング技術、リサーチ技術。ビデオリサーチでは、「リサーチ1.0」=「人的対面調査」、「リサーチ2.0」=「PCインターネット調査」、「リサーチ3.0」=「ログ、センシングデータ」と位置付けている。
※2「Nulltitude(ナルティテュード)」とは
人間個人のデジタルクローンの群がアンケート調査に回答するAIクローンアンケートシステム。オルツの開発した、人間の思考や個性の特徴量を抽出する「Alt Clone Modeling Engine(オルツ・クローン・モデリング・エンジン)」が、元となる実際の人間のライフログを学習素材としてその思考をクローン。ここで生成されたデジタルクローンに対してアンケートを実施すると、その元となった人間の思考を反映した回答が得られる。「Nulltitude」はこれを複数のデジタルクローンに実施し、集計を取ってアンケート実施者に返す仕組み。