『THE完全犯罪』(英語タイトル「PLAY INNOCENT」)

15 NOV

日本の今を見逃すな!日テレ『錬金バトル』/YTV『THE完全犯罪』/カンテレ『ニッポン満足旅』の海外PR展開【TIFFCOM2021レポートⅢ】

編集部 2021/11/15 09:00

完全オンライン形式で開催された国際コンテンツマーケット「TIFFCOM」(会期:2021年11月1日~3日)で世界展開を目指す日本の最新放送コンテンツが紹介された。総務省支援により放送コンテンツ海外展開促進機構(以下、BEAJ)が企画したセミナー「Fresh Content from Japan日本の今を見逃すな!渾身の最新コンテンツをご紹介!」では5作品をラインナップし、海外向けに開発されたバラエティ番組や旅番組が揃った。海外バイヤーに向けてどのようなプロモーション展開が行われたのか。前回に続き、同セミナーについてレポートする。

■世界ヒット『マネ虎』に続け、新開発ビジネスサバイバルショー

国際映画製作者連盟公認の国際映画祭である「東京国際映画祭(TIFF)」に併催されるアジアを代表するコンテンツマーケットTIFFCOMで総務省支援により日本のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリーの海外展開促進活動の一環として、海外バイヤー等に向けて情報発信された。BEAJが企画したセミナー「Fresh Content from Japan日本の今を見逃すな!渾身の最新コンテンツをご紹介!」において今回は『錬金バトルKASEGE』(日本テレビ)、『THE完全犯罪』(読売テレビ)、旅番組『2人で5万円!ニッポン満足旅』(関西テレビ)の3作品について紹介する。

海外セールス向け最新コンテンツとして紹介された『錬金バトルKASEGE』(英語タイトル「Money or Junk」)は、世界的なヒット番組『¥マネーの虎』を制作した日本テレビが新たに開発したビジネスサバイバルショーとして、海外バイヤーやプロデューサーからの関心を誘うものである。

日本テレビ『錬金バトルKASEGE』(英語タイトル「Money or Junk」)

登壇した日本テレビ海外事業部セールス担当の神﨑萌絵氏は番組コンセプトについて「ビジネス“サバイバル”に加えて、“クラフト”も大きな要素にあります。ゼロからプロダクトを作るスキルとそれを新しい商品としてEコマースアプリ上で販売するビジネススキルの両方が試されるもの。さらに、3人の挑戦者は番組が用意したテントに3日間宿泊し、サバイバル能力も試されるのです」と説明した。

左からマチュー・ベジョー氏、日本テレビ海外事業部セールス担当の神﨑萌絵氏

日曜午後枠で単発特番として放送された『錬金バトルKASEGE』は世界展開なども見越して開発された番組であることもわかった。「日本テレビは日曜午後の枠を活用して、新たな企画に挑戦しています。日本テレビの若いクリエイターが企画・制作した番組を積極的に放送すると同時に、ビジネスチームは視聴者の反応を見ながら、国際的なフォーマット展開の可能性を検討しています」と、神崎氏と話す。『錬金バトルKASEGE』は好結果を残し、11月に新エピソードの放送を予定しているという。

また日本で放送されたオリジナルエピソードは約1時間尺で制作されているが、サバイバル要素をより重視したかたちのシリーズ化やトーナメント形式のサバイバルシリーズとしての展開も可能であることを強調していた。

時代性も売りにある。「Eコマースを利用する人は年々増加し、特にコロナ禍の影響を受けてさらに増えています。誰でも在宅ワークビジネスを始めることができる時代の流れを的確に取り入れているフォーマットなのです」という神崎氏のセールストークで締めくくられた。

■海外ヒットを見据えて開発した番組が全局1位を獲得

読売テレビ『THE完全犯罪』(英語タイトル「PLAY INNOCENT」)

続いて紹介された『THE完全犯罪』(英語タイトル「PLAY INNOCENT」)は読売テレビが企画段階から海外ヒットを見据えて開発した番組である。クイズ×人狼をコンセプトとする。登壇したのは企画した本人であり、番組開発から海外セールスまでこなす読売テレビコンテンツ事業部の古河雅彦氏。番組企画の背景から説明を始めた。

左からマチュー・ベジョー氏、読売テレビコンテンツ事業部の古河雅彦氏

「テレビは常に大衆向けのコンテンツを制作してきましたが、今はよりパーソナライズされたコンテンツが求められています。そこで私たちは、マスとパーソナライズの両方の要素を持ったゲームショーを作りたいと考えました。題材は若年層にも人気のある人狼ゲーム。視聴者は番組に参加しているような没入感を味わうことができます」

7月クールに深夜1時台に関西ローカルで放送された『THE完全犯罪』は同時間帯において全局1位の視聴率を獲得し、同局内でも同時間帯において年度最高の数字を記録したという(OA時点)。古河氏はユニークな視聴傾向があったことも報告した。

「一般的に深夜放送は時間が深くなるほど視聴率が下がる傾向があります。けれども、この番組の視聴率は、時間が遅くなるにつれて上昇する回もありました。これは、番組の面白さが視聴者の眠気に勝ったことを証明していると思いませんか?」

また人狼クイズに参加するプレイヤーの組み合わせも番組の肝にある。「プレイヤーの関係性によってさまざまなストーリーを生み出すことができます。それによって、どのエピソードも視聴者を飽きさせないでしょう」と、古河氏は自信を持って世界展開の可能性を語った。

■情報性の高さが売り、東南アジアをターゲットにした旅番組

関西テレビ『2人で5万円!ニッポン満足旅』(英語タイトル「Budget Trip in Japan」)

最後に紹介された作品は関西テレビ制作の旅番組『2人で5万円!ニッポン満足旅』(英語タイトル「Budget Trip in Japan」)である。今年4月からシンガポールの「GEM TV Asia」で全5話が放送され、好評を得て今年11月末からシーズン2の放送も予定されている。ターゲットの中心は東南アジアの視聴者。「日本への旅行は高価なものと思われていることから、リーズナブルに上質な食事や宿、アクティビティを楽しめる場所がたくさんあることを知ってもらいたいと思い作られた番組です。番組ホストが5万円という限られた予算で日本の各地域を旅していきます」と、登壇した関西テレビ東京コンテンツ事業部の金彩媛氏が説明した。

左からマチュー・ベジョー氏、関西テレビ東京コンテンツ事業部の金彩媛氏

ロケ先は東京、大阪、横浜などの王道エリアから、瀬戸内海の淡路島まで幅広い。インスタ映えするような場所に拘って選んでいるという。

一方で、旅番組は競合も多い。そこで金氏は「日本で多くみられるお喋り中心の旅番組ではなく、情報性の高さがこの番組の売りです。テンポよく、多くの情報を提供しています。現地の自治体や旅行会社から得た情報も参考にし、制作しています」と、差別化ポイントを挙げた。

以上がBEA企画セミナー「Fresh Content from Japan日本の今を見逃すな!渾身の最新コンテンツをご紹介!」でプロモーションを行った5作品の内容である。モデレーター役を務めた、世界のテレビコンテンツ業界に精通するBEAJシニア・アドバイザー、マチュー・ベジョー氏は「どの作品も今日的な話題を扱っているため、海外の視聴率にも響くことを確信しています」と、まとめた。

次回はベジョー氏に日本コンテンツの海外展開の可能性について独占インタビューした内容をお伝えする。

TIFFCOMオンラインセミナーは11月30日まで配信中。

【TIFFCOM2021レポートⅠ】総務省支援で初の試み、コンテンツ海外展開促進3団体がTIFFCOMと連携強化

【TIFFCOM2021レポートⅡ】日本の今を見逃すな!TBS『TOKYO MER』と東海TV『顔だけ先生』の海外PR展開

TIFFCOM開催詳細