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日本の今を見逃すな!TBS『TOKYO MER』と東海TV『顔だけ先生』の海外PR展開【TIFFCOM2021レポートⅡ】
編集部 2021/11/11 08:00
完全オンライン形式で開催された国際コンテンツマーケット「TIFFCOM」(会期:2021年11月1日~3日)で世界展開を目指す日本の最新放送コンテンツが紹介された。総務省支援により放送コンテンツ海外展開促進機構(以下、BEAJ)が企画したセミナー「Fresh Content from Japan日本の今を見逃すな!渾身の最新コンテンツをご紹介!」では5作品をラインナップし、ディズニーが初めて世界配信した日本のドラマとして知られる「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBSテレビ)も含まれた。海外バイヤーに向けてどのようなプロモーション展開が行われたのか。同セミナーについてレポートする。
■昨年より上回る世界52の国・地域から1935人が参加
TIFFCOMは国際映画製作者連盟公認の国際映画祭である「東京国際映画祭(TIFF)」に併催されるアジアを代表するコンテンツマーケットの1つである。昨年に続き、今年もオンライン形式で開催され、出展団体数は313団体(昨年250)、スクリーニング作品数は過去最多の104作品(同73)に上り、52の国・地域より、1,935人が参加した。参加国・地域数は昨年の45よりも増え、参加人数も昨年の1604人から大きく上回った。
海外コンテンツ展開にフォーカスした専門セミナーやピッチの企画数は15に及び、総務省支援によりBEAJが企画したセミナー「Fresh Content from Japan日本の今を見逃すな!渾身の最新コンテンツをご紹介!」では日本のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリーの海外展開促進活動の一環として、海外バイヤー等に向けて情報発信された。今回はその内、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBSテレビ)と『顔だけ先生』(東海テレビ)のドラマ2作品について紹介する。
同セミナーは世界のテレビコンテンツ業界に精通するBEAJシニア・アドバイザー、マチュー・ベジョー氏がモデレーター役を務め、日本の実務担当者へのインタビュー形式でコンテンツ紹介が行われた。フランス在住のベジョー氏と日本のスタジオを繋ぎ、リモート収録した映像が流れた。
■Disney+で世界配信に続き、狙うはリメイク展開
『TOKYO MER~走る緊急救命室~』を紹介したTBSテレビ海外コンテンツ開発部部次長・高島美穂氏は番組の企画背景について「パンデミックの最中にストーリーが構築され、同ドラマは医療従事者の使命感を表現した物語。“現場でしか救えない命がある”というのが、このシリーズの根底にあるメッセージです」と説明した。また具体的なストーリーの内容にも触れ、医療ドラマでありながら、政治的な要素も含まれた話であることや、鈴木亮平演じる主人公のチーフドクター・喜多見幸太のキャラクターの詳細も語った。さらに、海外バイヤーが注目する日本での実績については、2021年7月クールに日曜劇場(日曜よる9時)枠で放送され、「視聴率的にも成功し、全ての視聴者層に受け入れられた」と説明した。
『TOKYO MER~走る緊急救命室~』はグローバルプラットフォームのDisney+で展開されていることもPRポイントの1つにある。既に10月27日からDisney+で世界配信されていることから完パケセールスを行うことはできないが、リメイク展開可能な作品であることを高島氏は強調した。
「この作品はディズニーが初めて海外に配信した、日本で制作されたドラマです。各国でリメイク可能な作品ですから、リメイク化に向けて新たなパートナーを探しています。救急救命のプロフェッショナルチームが人々を救う姿は爽快感あるもの。他の地域の視聴者にも響くストーリーです。パリなど他の都市でも展開することを想定したタイトルでもあるのです」。
『TOKYO MER』に続いて“PARIS MER”や“SEOUL MER”など、ローカライズされたタイトルのリメイク作品が生まれることも期待したい。
■主演俳優の神尾楓珠も海外市場に向けて積極PRへ
日本で10月クールから放送が始まった『顔だけ先生』を紹介した東海テレビ放送コンテンツ事業部プロデューサー・伊藤真保氏は番組の見どころについて「日本の高校を舞台にしたスクールコメディです。毎話、様々なトラブルが起こりますが、ベテランの先生でも解決できないような問題を“顔だけ”先生が解決していきます」と説明した。
また世界のドラマトレンドの1つにあるフェミニズムやダイバーシティといった話題を取り入れていることも伊藤氏は強調した。「厳しい日本の校則や悪しき習慣に焦点を当て、現代の教育の問題点を浮き彫りにしています。これは普遍性のある社会問題だと思います」。
また若年層にターゲットを据えたドラマは世界トレンドにもある。伊藤氏は「東海テレビはこれまで30~40代の大人向けのドラマを制作してきましたが、このドラマではターゲットを10~30代の若い世代に切り替えています。東海テレビにとって新たな挑戦になりますが、これまでの経験を生かして、より幅広い層に愛されるドラマを作っていきたいと思います」と、局としての制作方針を説明した。
さらに『顔だけ先生』を海外セールスするにあたって、主演俳優の神尾楓珠を起用したことの狙いも明かされた。若い女性から人気のある神尾楓珠さんは日本だけでなく、アジアでの活躍も期待されていることから、「海外市場にも積極的にアピールしていく」ということだ。
次回は海外から注目度の高い日本のバラエティから『錬金バトルKASEGE』(日本テレビ)と「ザ・完全犯罪」(読売テレビ)、東南アジアを中心にニーズのある旅番組から『2人で5万円!ニッポン満足旅』(関西テレビ)の3作品のプロモーション展開をレポートする。
TIFFCOMオンラインセミナーは11月30日まで配信中。