小学生のデジタル事情【こども×デジタル研究①】~小学生のネット利用は増加傾向、子どものネット利用に対する親の意識も変化~
編集部 2021/10/11 08:00
一日のあらゆる場面でインターネットを利用し、今やインターネットが必要不可欠な時代になっています。そんな時代に生まれ育っている小学生は、どのようにインターネットと関わり、活用しているのでしょうか。今回は、子どものインターネット事情を、当社の「Kids/ex」のデータを元に考察してみました。
「Kids/ex」:子どもの生活者調査「Kids/ex」では、特定1週間のメディア接触や生活行動を日記式で調査しています
【目次】
【1】インターネット利用とゲーム機利用が増加傾向に
【2】タブレット端末の利用が急増
【3】「子どものインターネット」について親の考えもポジティブに変化
【4】インターネット利用で圧倒的1位は動画視聴
【5】まとめ
【1】インターネット利用とゲーム機利用が増加傾向に
小学生の起床在宅時間は、2019年から2020年にかけて1日当たり約50分増加しています。コロナ禍によって、外出を控える社会的な状況も起床在宅時間の増加に繋がっていると考えられます。また、自宅内でのインターネット利用とゲーム機利用でも2019年から2020年で10分以上も増え、一日の利用時間は1時間に迫っています。
【図表1 消費時間量(自宅内/週平均/1日あたり)】
【2】タブレット端末の利用が急増
インターネットの利用デバイスを見ると、最も高かったのはスマートフォンで、小学生の60%以上が利用しています。また、タブレット端末の利用の増加が著しく、2019年から2020年では約8pt増加し、スマートフォンの利用率に迫る勢いです。
コロナ禍での休校により、タブレット端末を使ったオンライン授業を実施した地域が多く、学習面での利用の拡大がタブレット端末の利用増の一因と考えられます。タブレット端末がない家庭には自治体が貸し出したり、学習塾などもオンライン学習が導入されたりと小学生の学習環境において、タブレット端末の利用が増えているようです。
また、テレビでのインターネット利用も増加しています。家庭で、テレビ端末をインターネットに結線する「コネクテッドTV」の利用率が上がり、それに伴って子どもの利用率も増加していると考えられます。
【図表2 デバイス別インターネット利用率(自宅内/週1回以上利用者)】
【3】「子どものインターネット」について親の考えもポジティブに変化
「子どものインターネット利用」に対する親の意識を見ると、肯定的な考えが年々増加していることが見てとれます。特に、「ネットで色々見るのはいいことだ」や「スマホ等を子どもに使わせても良い」は、どちらも2018年から10pt程上がっています。
一方で、「ネットで何を見ているのか気になる」に関しては、過去3年変わらず70%以上と高い割合をキープしています。子どもがインターネットで何を見ているのかを気にしたうえで、ネットやスマホの利用に肯定的な考えを持つ親が増えてきているようです。
【図表3 子どものメディア関連に対する父母意識】
【4】インターネット利用で圧倒的1位は動画視聴
子どものインターネット消費時間を比較すると、突出してネット動画の視聴時間が高くなっており、1日あたり平均41分を充てています。動画視聴以外の消費時間は過去3年でほとんど変化がないものの、動画視聴に関しては2019年から2020年にかけては10分も長くなっています。利用の内訳を見ると、小学生のインターネット利用の時間が伸びているのは、ネット動画の視聴の増加に起因していると分かります。
【図表4 消費時間量(自宅内/週平均/1日あたり)】
【5】まとめ
小学生のインターネット利用時間は増加傾向にあり、特に2020年では著しい増加が見られました。コロナ禍により、自宅内で過ごす時間が増えたことや、学習面のオンライン化がインターネットの利用増加に繋がっているようです。
また、年々、子どものインターネット利用に対して、親の意識も肯定的に変化しています。子どものインターネットでの行動を気にしながらも、インターネットで世界を広げてほしいと考える人も増えてきていることがうかがえます。
今回、小学生のインターネット利用では、突出してネット動画視聴が多いことが分かりました。こども研究(後編)では小学生のネット動画利用実態を深堀していきます。
【後編】小学生のネット動画事情【こども×デジタル研究②】~16-18時台と夕食後の20時台がネット動画視聴のゴールデンタイム「やってみた」系動画とゲーム実況が2強~