テレビ埼玉 報道制作局制作部次長 小針義史氏
全国の視聴者の期待が実現!テレビ埼玉の人気番組『いろはに千鳥』がTVerで配信されるまで
編集部 2021/8/27 08:00
株式会社テレビ埼玉(以下、テレ玉)は、7月6日(火)から民放公式テレビポータルTVerにおいて同局制作の人気番組『いろはに千鳥』(毎週火曜、23:00~23:30)のキャッチアップ配信をスタートさせた。
『いろはに千鳥』は、今や全国的な人気を誇る千鳥(大悟・ノブ)にとって関東初の冠番組。そしてテレ玉にとっては、初めてのキャッチアップ配信の取り組みとなる。
どうしてこの番組が局として最初のキャッチアップ配信、いわゆるAVOD(Advertising Video On Demand)コンテンツとして選ばれたのか、配信開始までの経緯や今後の展開などについて、報道制作局制作部次長の小針義史氏に伺った。
■SNSでの情報発信により、全国のファンの期待が高まる
――これまで、テレ玉として番組配信はどのような形で行っていたのですか?
小針氏:今回のTVerでの配信を始める前は、テレ玉の人気番組を全編動画配信する有料見逃し配信の「テレ玉オンデマンド」、テレ玉公式サイトに「テレ玉オンデマンドFREE」として無料のオリジナル動画を配信するページがありました。
また無料の「テレ玉公式YouTubeチャンネル」でも、一部の見逃し配信や予告動画、番組のオリジナルコンテンツなどの配信を行っていました。
――テレ玉のTwitter公式アカウントでも情報発信をしていますね。
小針氏:Twitterでの発信では全国どこにでも番組情報を届けることができるのですが、「テレ玉の番組が観られない」「全国で観られるようにして欲しい」というご要望があっても、番組を届けられないという悩みがありました。
■独立地方局の優良番組が、全国的な人気を得ていった
――今回TVerで配信を始めた『いろはに千鳥』の番組概要を説明していただけますか?
小針氏:『いろはに千鳥』は、2014年1月にスタートした、千鳥のお二人にとっては関東で初の冠番組です。最初のクールが終わってしばらく間が空きましたが、同年7月22日から再スタートして、今年の8月10日放送分で346回、8年を越える番組になりました。
今やバラエティで引っ張りだこである千鳥さんの、関東進出の足がかりにもなった番組ですが、二人が街の中をぶらぶら歩いて、グルメや面白いものを体験し「いろはカルタ」を作るバラエティ番組です。二人が見せるリアクションの良さや、選ぶワードのセンスが秀逸で、長年視聴者の方からご支援をいただいて、どんどんファンも増えてきた感じです。
――時間をかけて、独立地方局の優良番組に成長してきたのですね。
小針氏:この番組は、テレ玉ほか全国25局で放送しています。ただ、放送局によって1か月遅れ、遅いところでは1年遅れ、それ以上という現状があり、視聴者の方からさまざまな声をいただくようになりました。
前述のように、Twitterでは瞬時に全国に番組情報が流れるのに、「大阪ではリアルタイムで観られないのか」「埼玉から引っ越したけれども、続けて観たい」といった声が届きました。番組DVDも発売していますが、それでもリアルタイムとは言えない状況でしたので、どうにかしてお届けしたいという思いはずっと持っていました。
■視聴者の声と千鳥の存在感により、初のTVer配信番組となる
――テレビコンテンツのネット配信が普通になってきたという時代背景について、テレ玉ではどのような対応をしてきたのでしょうか?
小針氏:放送業界的にはネットでの即時配信という流れがありますので、さまざまな配信の可能性を探っていました。社内的にもDXを実現しようと、委員会という形で動いているところではありました。
――そういう流れの中で、この番組を最初に配信しようと決められた理由は何ですか?
小針氏:視聴者の方々の声が大きかったことと、やはり千鳥さんの存在感の大きさですね。
――実際に配信を始められて、手応えはどのようなものでしょうか?
小針氏:非常に人気をいただいていると感じています。配信スタートが7月6日で今までに8万を超える番組登録数をいただいています(8月17日時点。現在は91,778)。
■“いろはにちどらー”の佐藤健による激推しで思わぬ効果も
――配信開始には、番組のファンである“いろはにちどらー”の方々が歓喜されたようですね。思わぬ出来事もあったそうですが?
小針氏:配信スタートの一週間後、“いろはにちどらー”の代表格とも言える俳優の佐藤健さんが、ご自身のYouTubeチャンネルで『いろはに千鳥』のことを取り上げてくださっていた動画を公開されたのです。
収録されたのはまだTVerでの配信が発表される前のことだったと思いますが、「佐藤健×千鳥・ノブ 初の富山2人旅!」という企画の中で佐藤さんが「『いろはに千鳥』TVerに載せて欲しいんですけど」と発言する場面がありました。
そしてテロップで「健さんの念願叶い『いろはに千鳥』2021年7月よりTVer配信開始!」とフォローされ、佐藤さんのファンの方もたくさん登録していただいたのかなと思っています。
――佐藤健さんとは、番組上のつながりがあったのですか?
小針氏:ビデオ出演やイベントにコメントをいただいたことはありましたが、番組出演はありませんでした。佐藤さんは埼玉出身でもありますから、これだけ愛していただいているので、もし出演が叶ったらと思っております。
■番組の知名度向上により、埼玉県の魅力を全国に
――TVerの配信などにおいて、これから挑んでみたいことはありますか?
小針氏:第一回のTVerアワードで、関西ローカルで千鳥さんが出演する『相席食堂』(朝日放送テレビ)が特別賞を受賞されています。そして関東ローカルの『いろはに千鳥』も続いて賞がいただければ嬉しいですね。
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そして番組の認知度が上がり、過去の回も観てみたいという方へのDVD販売につながれば局としてはありがたいです。
――全国への配信がもたらす好影響はどのようなものとお考えですか?
小針氏:まず、TVerのようなプラットフォームを通して、埼玉県だけの県域局の番組が全国の方々にご覧いただけるのはありがたいことです。そして全国の視聴者から反響が届けば、番組制作スタッフのモチベーションも非常に盛り上がるということも期待できます。
最近はコロナ禍の影響でロケがあまりできていませんが、県内の企業やさまざまなスポット、美味しいものなどがネットを通じて全国に広がっていき、埼玉の魅力を知っていただけるきっかけになるというのは、県民としても嬉しいことです。