フジテレビ・デジタルデザイン部 冨士川 祐輔 企画担当部長
新しい遊び、体験を!フジテレビ『My Routine』で自社開発システムを使った視聴者参加型の新体験~担当者インタビュー
編集部 2020/11/9 08:00
フジテレビは、11月9日、16日、23日、30日の4回(※)にわたり、夜の時間帯の6分間番組『My Routine~太陽と星空の時間~』において、テレビ放送の本編とCMがリアルタイムでスマートフォンに連動する、視聴者参加型の新体験を提供する。
※放送時間は11月9日が23:09~23:15。16日、23日、30日が22:54~23:00。
この番組とCMは、フジテレビが自社開発した「C×M(シーバイエム)」というシステムを利用。視聴者参加のハードルが低く、高いコンバージョンが期待される新しいメディアコミュニケーションシステムとなっており、これについてフジテレビ・デジタルデザイン部の冨士川 祐輔 企画担当部長に話を伺った。
■『My Routine~太陽と星空の時間~』で行われる新たな取り組み
今回、このシステムが利用される番組『My Routine~太陽と星空の時間~』は、“小さな健康習慣が未来につながる”をコンセプトにして、各界の著名人の健康習慣、いわゆるルーティンを紹介するミニ枠の番組だ。
「人生100年と言われている現在、人々の健康寿命を考えたときに、日々の健康のルーティンが重要だということを著名人のゲストをお呼びして紹介し、視聴者の参考にしていただく番組です」
今回、同番組の11月の4回の放送回において、テレビとスマートフォンがリアルタイムに連動し、視聴者に新しい体験を提供する取り組みが行われることになった。この体験を可能にするのは、フジテレビが自社開発したシステム「C×M(シーバイエム)」だ。
■C×Mが実現するテレビコミュニケーション
「C×M」はテレビとスマートフォンをスムーズに接続するシステムで、テレビに映し出されたQRコードをスマートフォンで読み取って接続すると、連動するコンテンツがすぐに表示される。
今までも番組が提示するQRコードへの接続を求めるものはあったが、冨士川氏は「アプリをダウンロードする必要がないなど、非常に簡単にアクセスできることが一番の特徴」だと言う。
「視聴者にとっては新しいコミュニケーションを体験できて、個人情報の登録を行う必要もなく、なおかつお得情報やクーポンといったインセンティブも受け取れるという点が一番の売りです」
加えて「C×M」は、個人情報の登録が不要であるために視聴者の参加ハードルが低い一方で、「高いコンバージョンが実現する新しいメディアコミュニケーション」だと言う。今回はこの取り組みをさらに進化させ、番組本編とCMの両方を視聴者のスマートフォンとリアルタイムに連動させることが可能になる。
「番組ではこのシステムで視聴者に遊んでいただき、抽選でデジタルギフトがプレゼントされます。そしてCM(インフォマーシャル)ではスポンサーであるサンスターからのクイズに参加し、製品の割引クーポンなどをプレゼントする形になっています」
視聴者は番組とCMの両方で気軽に参加できるという、新しいテレビ体験をすることになる。
■C×Mが明らかにするテレビのパワー
この「C×M」による視聴者参加企画には実証実験を含め、昨年より数度の実施を行ってきている。特に今年1月の『第53回新春!爆笑ヒットパレード2020』においては、番組とスマートフォンをリアルタイムに連動させる企画を行い、好評を博した。
「今年1月の爆笑ヒットパレードではお年玉チャレンジのコーナーで、スマホをつなげるとお年玉がもらえるという企画を行いました。アクセスは非常に多くて、6時間の放送中に6回行って、延べ約500万のアクセス、ユニークユーザー数は約300万という結果を得ました」
QRコードを表示させて来るアクセスは、瞬間的には膨大な数になる。そのアクセスを処理するシステムはフジテレビが自社開発したもので、元になっているのは『めざましテレビ』のめざましじゃんけん・ボーナスチャンスのデータ放送プレゼントなのだと言う。
「このシステムは100万人、200万人が同時に体験することが可能になっています。デジタルコミュニケーションにおいては数千万や億単位の数字がよく出てきますが、重複も多いことが考えられますし、このテレビという舞台で、リアルタイムで短時間の間に、数百万人のリーチが得られるのは、テレビならではのパワーだと思います」
■気軽に利用できる反面、得られるコンバージョンも大きい
先に述べたように「C×M」の企画に視聴者が参加する際には、アプリケーションをダウンロードすることも、メールアドレスや氏名を登録する必要もないため、気軽にアクセスすることが可能だ。
一方で、「C×M」による施策を解析することで、さまざまなデータを導き出す試みも進められている。アクセス解析により年齢、性別、地域など参加者傾向を算出したり、オリジナルのアンケートによって目的に応じたデータ収集と解析を行ったりすることが可能になると言う。
「まだ研究レベルですが、実際の視聴データや特性データと突合させることで、非特定個人情報としてのデモグラフィックやサイコグラフィック、いわゆる視聴者像に拡大推計の形でどこまで迫れるか、ということも進めています。ちなみに視聴データには個人情報は含まれていないのですが、もちろんその取り扱いには細心の注意を払っています」
そして「C×M」の施策では、デジタルクーポンを配布することで、「リアルの店舗や場所への集客が可能になる」と言う。
「全国放送では全国にフランチャイズがある流通さんがターゲットになりますが、地域密着型の店舗でもターゲティングを可能にします。全国放送でもエリアごとに配布インセンティブを変えることは可能ですし、地方局に向けたスキームも作っていくことが可能です」
■QRコードが一般的になった時代の新しいテレビ体験
「スマホを持ちながらテレビを観ると、何かで遊べる、ちょっとお得なものが得られる、ということをなるべく多くの人に知ってもらいたいと思います。めざましボーナスチャンスのような、レギュラーの帯や枠にC×Mの施策を持って行きたいですね」
キャッシュレス決済が徐々に広がり、スマートフォンでQRコードを読み取るといった行為が幅広い世代に抵抗感なく受け入れられ始めている。この延長線上でテレビ視聴に関しても、「テレビとスマートフォンをつないで、新しい遊び、体験ができることをみなさんに知ってもらいたい」と冨士川氏は展望を語る。
スマートフォンを手にテレビを観るのはF1・F2層といった、流行に敏感な若い女性たちに多い傾向だったが、比較的視聴者の年齢層の高い『My Routine~太陽と星空の時間~』ではどのような結果が導き出されるのか、注目していきたい。
<番組概要>
【番組名】『My Routine~太陽と星空の時間~』
【放送日時】毎週(月)22時54分~23時 ※関東ローカル
※「C×M」を利用した特別企画は以下の4回
11月9日(月)23時9分~23時15分
11月16日(月)・23日(月)・30日(月)22時54分~23時